第7話(シヴァとエミーナ)
リウ・プロクター(リュウ・アーゼル)は、将来の帝國軍の侵攻に備えて、同盟国の丞相リョウ・シヴァとの懇親を深めることにした。
5度目の訪問は、1人の友人も連れてとなり、長く、そして有意義な滞在となりそうな予感があった......
4回目の西上国の首都星アイテール訪問から約1か月半後、リュウ・アーゼルは、5回目の会談の為、再び西上国へ向かっていた。
ここで少し時間を遡ってみると、
4回目の会談で、本契約と正式調印、式典を終えて、アルテミス王国に帰ってきたリュウ。
帰国をどこで知ったのか、早々にエミーナ・シュンゲンから、連絡が入る。
「リュウ、直ぐに会えない?」
「お願いした件、どうだったかは、まだ言わないで」
「リュウに会ってから、直接聞きたいから」
と、エミーナのゴリ押しに白旗を上げたリュウ。
前回会った場所で、1時間後に待ち合わせということとなった。
ASJ社本社の特別ラウンジに入ると、女性としてはかなり背の高いリュウを、先に来て席に座っていたエミーナは直ぐ見つけ、手を振る。
ラウンジ内の客人に、前回同様ずっと目で追われながら、リュウは席に着いた。
「どうして、ここの客は必ずジロジロ見るんだろうね」
と席に座るなり、不満を漏らすリュウ。
それに対しエミーナは、
「私が声を出して手を振るから、みんなが見ちゃうんだよね。 ごめんね~」
と言いつつ、
「リュウは超美貌だから、仕方ないよ。 背も高いし」
と
人に好奇の目で見られるのは諦めて
と暗に言われ、黙るリュウ。
「じゃあ早速結果だけど......」
と言いかけたところで、エミーナに口を塞がれ、
「待って。 まだ心の準備が出来てないから」
と、ひと呼吸待って欲しいとせがまれる。
その為、エミーナの準備が出来る迄、少し時間を置くリュウ。
暫くしてエミーナが
「お願いします」
と言ったので、
「今度、僕と一緒に丞相のところに行く予定で居てね」
と結果を教えると、エミーナは本当に嬉しそうな顔をした。
「それってOKってこと?」
と聞かれると、
「興味は持ってくれたみたいだよ。 会ってくれるって」
と丞相が言ったことを少し咀嚼して答えたのだった。
エミーナは、
「いつ行くの?」
と既にルンルン気分の様子。
「まだ決まって無いよ。 丞相だって忙しいから、直ぐにというわけにはいかないよ」
「それに......」
「それに?」
「エミーナは、随行員っていう形で行くんだからね。 あまり派手な格好はダメだよ。 シックな格好でね」
と、遊びじゃないよと嗜めると、
「そんなこと、分かっているよ~」
と少し不満そう。
「僕が丞相のところに行くのは、当面今回が最後。 以後暫くはノイエに戻って、リュウ・アーゼルは封印。 リウ・プロクター一本で行くから、丞相との関係を決めたいのだったら、頑張ってね。 応援してるから」
と、エミーナに話す。
要は、
最初で最後のチャンスになるかもしれないから肉食系で
と言っているのであった。
「そっか~。 ノイエに帰っちゃうのか~。 リュウが見られなくなるのは残念。 男のリウは、女のリュウに比べると、だいぶ落ちるからね~」
「リュウだと超カッコいい女の子なのに、リウだとなんか弱々しい男に見えるんだよね~」
とエミーナの個人的感想を述べた後、姿勢を正して、リュウに、
「無理を言ったのに、実行してくれて本当にありがとう。 リュウはいつも超自然体だけど、今回みたいなのはきっと凄い緊張したと思うんだ」
「だから、本当に感謝してる」
とキチンと礼儀正しくお礼を言ってから、
「とりあえず、お礼として、ここの飲み物奢るよ~。 何がイイ?」
その後は、楽しく会話をして、次会う約束を決めたのだった。
丞相シヴァとリュウ・アーゼルの5回目の会談というのは、今後の対帝國戦に向けた初期段階の話し合いで、財閥関連のものではない。
そしてリュウはいよいよ、リウ・プロクターとして母国ノイエ共和国軍艦隊の提督を目指すべく、その道を歩み始めることになる。
だから今後は、リョウ・シヴァ丞相と会うことも難しくなり、それぞれが遠く連携しながら、帝國の大規模遠征に備えることとなる。
そんなことを考えながらリュウは、エミーナを連れて、丞相の元に向かっているのだった......
首都星アイテールに到着してから直ぐに、リュウとエミーナは、アーゼル財閥系列のホテルに入った。
エミーナは、リュウが予約していた部屋に入るなり
「......」
絶句して無言のままだった。
リュウは、
「どうしたの?」
と突っ立ったままのエミーナに声を掛けると、
「予想はしてたけど、ここまで何も無い武骨な部屋を予約しているなんてね~」
と半ば呆れ顔。
「私はお嬢様だから、私の家を基準にしちゃいけないのはわかってるよ~」
「でも、ここまでビジネスライクな部屋に泊まって仕事していたとは思わなかった」
と、
『仕方ないなあ』
という感じで、滞在の準備を始めるエミーナ。
するとリュウは、
「本店の社員にいつも取って貰ってたホテルなんだけど......」
とこのホテルを選んだ理由を述べた。
それを聞いてエミーナは、
『財閥総帥の御曹司(正式にはお嬢様)が泊まる部屋を社員が頼まれて予約したのに、こういうビジネスライクな部屋なんてね......だから、アーゼル財閥はダントツナンバーワンなのね』
と納得したようだった。
今回の滞在は約1か月。
エミーナのことも有るのと、今後数年間は惑星アイテールに来ることが難しいだろうとみて、出来るだけ長めの滞在期間を設定して、シヴァ丞相等とリウやエミーナとの親睦を深める目的としていた。
ひとまず、シヴァ丞相とのアポイントメントを予約する為に、丞相府に赴いて最初の面会の予約をしたところ、翌日の昼休みからと決まった。
エミーナは、惑星アイテールに来るのは初めてだというので、案内がてらお茶をすることに。
アイテールは、人類が入植してから比較的年月の浅い惑星であるが、今や共和制国家第一位の国力を持つ国の首都なので、活気に溢れ、建設ラッシュとなっている。
緑が多く、最新鋭の建物群と自然の調和が取れた、非常に綺麗な惑星だ。
その気持ちの良い街中を歩いているリュウとエミーナ。
すれ違う人達も振り返る程の2人の姿は、非常に画になる光景だ。
しかし、エミーナはリュウの姿をみて、
「やっぱり、どこに行っても普段着は男女兼用のスポーツブランドのウエアーなのね。 リュウは」
「それでも、これだけ綺麗に見えるのだから、ちゃんとお洒落したら、もっと凄いのだろうけど......」
と嘆くので、リュウは、
「鍛え過ぎて筋肉量が多いから、普通の服がキツイんだよね~。 脚も太いから生足は見せられないよ」
と言うものの、エミーナは疑いの眼差しのまま。
そんな会話をしながらリュウは、アーゼル財閥系の超高級ホテルのカフェレストランに入った。
流石にエミーナも、この選択にはイチャモンを付けず......
「エミーナお嬢様に、万が一のことがあってはイケナイので、セキュリティーの高い場所にしました」
とリュウは言い、案内された席に座る2人。
「明日から、丞相と何回か逢うことになるけど、大丈夫?」
と心の準備をするようにとアドバイスするリュウ。
「そんなこと言うから、緊張してきたじゃん。 どうしよう」
と表情が固くなったエミーナ。
「ゴメン。 自然体に流れるがままにだね」
と、特に議題が決まっていない今回の訪問なので、どういう会話になるのかは、行き当たりばったりになるだろうということで、
「まあ、とにかく食べて、飲んで、明日に備えよう。 今日は奢るよ」
とリュウは言い、ウエイトレスを呼んで、適当に注文するのだった。
レストランを出る時に、テイクアウトで何かを買っていたリュウ。
ホテルに戻る途中、若い男4名の集団に突然、
「お二人さん、美人だね~ うちらと少し付き合ってよ」
と声を掛けられる。
リュウは、エミーナの前に立って、キーッと男達を睨み付け、
「......お断りします」
とひとことだけ発する。
エミーナはその横顔を見て、
『ヤバい、リュウちゃん怒ってる』
と、ちょっと心配に。
それでも、男達はナンパしようと絡んで来るので、リュウは
持っていた飲み物を握り潰して氷を粉々にし、廻し蹴りをワザと空振り
してみせた。
すると男達は、
「そんなに怒ることないじゃん」
と言いながらも、少し怯んだ様子。
そこに、丞相府の私服の警護官2名が駆け寄って来たので、男達は
「まずい、私服だ」
と言いながら、
2人の美女を監禁して、犯してしまおうという不逞な企み
を諦めて逃げ出したのであった。
リュウは、警護官の存在に随分前から気付いていたようで、
「お手数をお掛けして本当に申し訳ございません。 このまま真っ直ぐホテルに戻って、明日の午前中迄外出しませんので、お二人とも休んでくださいね」
と感謝の言葉を述べていた。
今迄見たこともないリュウの物腰しの柔らかさに、エミーナは唖然......
更に手際よく、さっきのカフェレストランで買ったテイクアウト品を警護官2名に手渡し、
「廻し蹴りしたので、中身が崩れていたらごめんなさいね」
と、怖いぐらい優しい言葉を掛けていた。
それに対し警護官は、
「ご丁寧な感謝の言葉、また差入れまで頂いて、本当にありがとうございます。 私達はこれが仕事なので、気を遣わないで下さい」
と、リュウの態度に警護官がかなり感激している様子だったので、エミーナは、
『こりゃイチコロだね。かなわないわ』
と、事前準備の良さや観察眼に舌を巻いたのであった。
その後、ホテルに戻ってからエミーナは、
「リュウは凄いね~ 美人でカッコイイし、優しいし」
「スポーツブランドのウエアーにも意味が有ったんだね、ごめんね、ちょっと馬鹿にしちゃって」
「でも、あの言葉遣いには驚いちゃいました」
と女性らしい言い回しを冷やかすと、リュウは、
「私だって、財閥の一族としての立場がありますもの。 言葉遣いには、いつも気を遣っているんですよ」
と、普段と全く異なる喋り方に、2人は顔を見合わせ大笑いするのであった。
翌日、昼前に丞相府に到着した2人。
手続きをしてから、待合室で待っていると昼休みの時間に。
すると、シヴァ丞相自ら待合室に現れ、
「お待たせしました。 どうぞ丞相室へ」
と言って、丞相の執務室へ移動することになったのである。
執務室には多くの側近がおり、丞相自ら連れてきた客人2名の方を見て、次々と会釈をする。
リュウは、
「丞相閣下自らお出迎え頂き、ありがとうございます。 こちらが前回少しお話しましたエミーナ・シュンゲンです」
と紹介すると、エミーナも
「丞相閣下、お初にお目にかかります。 アルテミス王国人のエミーナ・シュンゲンと申します。 どうぞよろしくお願い申し上げます」
と緊張した面持ちで挨拶をした。
丞相も緊張した面持ちで、
「リョウ・シヴァと申します。 どうぞよろしく」
と短い挨拶をしたところで、リュウが吹き出してしまった。
「失礼しました。 あまりにも硬い表情の2人に、いつもと違い過ぎて、思わず笑ってしまいました。 ごめんなさい」
と言いながら、かなりニヤニヤしている。
丞相の側近達も、明らかにいつもと違う丞相の表情を見て、
ヒソヒソ、ニヤニヤ
という感じであった。
ここでリュウが、
「今日は、何か大きな話があっての訪問ではございませんので、エミーナは丞相の邪魔にならないところで、仕事の様子をご覧になっていればよろしいかと思います」
「シヴァ閣下も、いつも通りになさっていれば、よろしいのでは? 仕事に差し障りがあっては、本当に申し訳ないので」
と、この日の今後の予定について提言してから、
「ひとまず、御昼食にしましょうか? ご一緒させて貰うつもりで、この時間になったのですから」
と、いつも通りの自然体のリュウが提案したので、一瞬止まっていた執務室内の時間が動き出した。
「ところで丞相閣下は、いつもお昼はどうしているのですか?」
とリュウが尋ねると、
「その日その日で異なるけど、弁当系が多いかな? たまに建物内の飲食店街にも行くけど、みんなに気を遣わせちゃうからね~」
と、地位が高過ぎる人物の行動の難しさが、丞相の昼食の選択の狭さにも現れていた。
「そうだろうと思って、本日はお弁当を注文しておきました」
というと、丞相の側近の控室に移動して、数名の者に何かを話し掛けるリュウ。
暫くすると、側近の者が、丞相の執務室に居る全員分のお弁当を持って戻ってきた。
「今日は、アーゼル財閥系列ホテルのシェフに作って頂いたお弁当にしましょう。 丞相の側近の方も持って帰っても構わないですから、受け取って下さいね」
とみんなに薦めた。
あまりの手際の良さに、丞相もエミーナも呆然とただ見ているだけ。
リュウは、
「丞相閣下もエミーナも一緒に食べましょう。 いつも豪華なご飯のエミーナの口には合わないかもしれないけど......」
と言いながら、早速パクリ。
シヴァも、
「それでは、遠慮なく頂きます」
と言いながら、食べ始めたのだった。
エミーナが食べ始めた頃には、リュウもシヴァも仕事柄早食いなので、半分以上食べ終わっており、
「2人共、早過ぎるよ~。 ちょっと待ってよ~」
「せっかく初めて一緒に食べるのに、早食いはダメ」
と抗議すると、リュウは、
「エミーナごめんね~。 つい、いつもの癖で......」
シヴァも、
「ハハハ、こりゃ〜一本取られたな~」
と、当たり前になっていた早食いの2人が、そのことに改めて気付かされて、大笑いしたのだった。
その後は、ポツポツと話をしながらのランチタイムとなった。
シヴァとエミーナの緊張を少し溶かしたリュウは、お邪魔虫にならないように、
「少し、丞相府内を見学しても良いですか?」
とシヴァに尋ね、許可を貰い、食後の運動を兼ねて、建物内を見学し始めた。
丞相府内は人の出入りが激しく、それだけを見ても、この国が活気に満ちていることがよくわかる。
リュウは最近、丞相府内でちょっとした有名人になっているので、建物内を歩いているだけで、色々な人々から羨望の眼差しを浴びてしまう。
その羨望というのは、
見た目もあるけれど、一番はシヴァ丞相との親しい関係
であろう。
そういう羨望というのは、
一歩間違えれば、妬みに変わる
ということを肝に銘じておかなければならないのだが、
『エミーナがそういうのに耐えられるのかな?』
建物内を歩きながら、リュウはそんなことを考えていた。
散歩を終えて、丞相の執務室に戻ると、丞相とエミーナは結構楽しそうに話しているのが見えた。
お邪魔虫が居ない間に、人懐っこいエミーナが丞相の心の警戒を少し溶かしたようであった。
すると、丞相の側近からリュウは質問をされた。
『あの若い女性は?』
というものだったので、リュウは、
「シヴァ丞相の婚活ですよ。 悪い子じゃないので、温かく見守ってください」
と答えると、側近達は一様に
『あらま~。 丞相も年齢が年齢だから、最後のチャンスかもね』
という風に噂をし始めたのであった。
昼休みが終わり、丞相は執務に戻った。
リュウとエミーナは、邪魔をしないように、控室の一室で仕事ぶりを見学させて貰うことにした。
次から次へと官僚や政治家、軍人、企業経営者と色々な人々が丞相を訪問してくる。
勿論、全員と会うわけではなく、側近や部下が話を聞いてから、丞相に伺いを立ててという選別作業があるのだが、本当に精力的に政務に励んでいるのがわかる。
もちろん、人口300億人近い巨大国家をシヴァ丞相一人で運営している訳ではなく、丞相の元には、2人の特に優秀な部下がおり、議会も含めて分業で国家運営をしている。
その2人とは、帝國方面の司令官兼統治官の「シュン・ガイ・コトク中将」と国務長官で軍人としては大将の「ショウ・イー・ヒエン」であり、丞相の左右の腕と言える。
西上国の国民は、丞相を入れた三人の英傑を略して「三英」と尊称しているそうだ。
日も傾き、仕事の終了時間となったものの、丞相の執務室では終わる気配は無い。
リュウとエミーナは丞相の側近達とすっかり仲良くなり、仕事の合間で色々な雑談をしていた。
特に、丞相が丞相府を事実上の自宅として生活しているという話を聞いて、驚いた。
それだと、ずっと仕事に没頭している感じになって、休まる時が無いと思うのだが、丞相はそれでいいのだそうだ。
夜になって、側近も次々と帰宅し始めて、漸く丞相の仕事も落ち着いてきた。
シヴァは、建物内にあるカフェにアイスコーヒーやらなんやらを3つ注文して、それが執務室に届くと、リュウとエミーナのところにやって来た。
「全く、相手出来なくて、ごめんね」
「午後は、予定に無かった客が沢山来ちゃったので」
とシヴァは言うと、エミーナは、
「仕事の出来る男って感じで、素敵でした」
と目を輝かせて言うので、シヴァはちょっと照れくさそうにした。
エミーナは、
「リュウちゃんも、仕事の時は丞相みたいなんだろうね」
と言うと、シヴァは、
「全くその通り。 前回の時は、私がびっくりするぐらいの物凄い量の財閥の仕事をこなしたものね〜」
と言い、
仕事人間は自分だけじゃない
と言いたかったらしい。
「そう言えば、昨日は警護官が感謝していましたよ。 大して役にたたなかったのに、差し入れ迄貰って逆に気を遣わせてしまったと」
「氷を握り潰しての廻し蹴りも、凄い迫力だったって言ってましたが......」
と、少し誂われてしまったのだが、不快な出来事を思い出したリュウは思わず素が出てしまい、
「男4人組の悪意を持ったナンパにちょっとムカついて、思わず......ですわ......フフフ......」
と途中で丞相の前だったと思い返して、変な言葉遣いになってしまい、それを自分で笑ってしまったのであった。
そのような雑談をした後、リュウはエミーナに、
「そろそろ、ホテルに戻ろうか~。 初対面で疲れたでしょ? 丞相もそろそろ休ませてあげないと、明日以降の執務に差し支えるから」
と促すと、エミーナは
「そうだね。リョウちゃんって休みの日って有るの?」
と突然、丞相のことをリョウちゃんと言ったので、リュウはちょっと驚いたが、シヴァは、
「休みの日無いんだよね。 丞相府の休日は有るけど......」
と言うので、
「じゃあ明後日来るね~。 明後日と明々後日は丞相府休みでしょ?」
とニンマリしながら言い、
「リョウちゃんの寝てる部屋の片付けしようかな? リュウも手伝うんだよ~」
と突拍子もないことを言い始めた。
リュウは、普段男なので、
「エミーナ、男っていうのは、部屋にちょっと色々なモノがあるから、女の子に部屋の片付けして欲しく無いんだよ。 ましてエミーナみたいにカワイイ子には、特に......」
と言ったものの、シヴァは、笑いながら、
「じゃあ、お願いしようかな?」
と予想外の答えをしたので、少し驚いた。
そして、
「だいぶグチャグチャだよ。 側近も物が無くなるのを怖がって手付かずだから」
と言うので、リュウは、
「丞相閣下、良いのですか?......」
と再確認するも、
「大丈夫ですよ。 ただグチャグチャなだけですから」
と答えたことから、1日置いて訪問をして、掃除をする予定が決まったのだった。