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【完結から1年。順次補正中】正史・銀河四國史(未来における英雄の生涯)  作者: 嶋 秀
RIU・龍翔篇

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第59話(新体制の発足)

惑星ネイト・アミューの占領から3週間。


新体制が決定し、発足したのであった。


 惑星ネイト・アミューの占領から3週間が過ぎた。


 人々の活動も正常化し、統治体制は帝國時代と比べて、強化されつつあった。


 この日をもって、ルーナ大将の4個艦隊のうち、駐留する半個艦隊を除く3.5個艦隊が本国に帰還することに。

 

 軍事宇宙港では、簡単な見送り式が挙行され、大将と残留するマリー・ルーナ少将との間で、暫しの別れの会話が交わされていた。

 「マリー、あとは頼んだよ」

 「貴方こそ、ちゃんと娘達の言うこと聞きなさいよ」

 「部屋は、片付けること」

 「服は、脱ぎっぱなしにしない」

 「野菜も食べること」

 「いいわね?」

 「何だか、家の中ではマリーが大将みたいだなあ」

 「貴方が、少しだらしないからでしょ?」

 「文句を言わないの」

 ルーナ大将は、結局言い負けて、降参のポーズをした。


 その様子を見て、

 「大将と少将の会話じゃないね」 

 リウがレイに話し掛ける。

 「同じ状況だったら、私達も似たような会話をするような気がしますけど」

 鋭い指摘をするレイ。

 見送りに来ているノイエ軍の将官達は、ほのぼのとした夫婦のやり取りに笑顔であった。


 「最後に、皆さんが居るから少し恥ずかしいけど、サービスよ」

 そう言うと、マリーはリク・ルーナに別れのキスをした。


 「リウ、レイ君、ルー中将、その他見送りに来てくれたノイエ軍の皆さん、マリー・ルーナ少将のことを、よろしくお願い致します」

 大将は、皆に別れの挨拶をすると、リウが歩み寄り、

 「大将閣下もお元気で。 マリーさんのことはみんなで護りますので、お任せ下さい。 逆に私が護られてしまうかもしれないですけど」

 そのように挨拶を返し、固い握手をかわしたのであった。

 その後、リウとルー中将は、ミュッケベルン中将以下数名のルーナ艦隊幹部とも握手を交わすと、ルーナ大将等は旗艦レートーに乗艦し、ゆっくりと上昇していくのであった。

 別れを惜しむの様なレートーの動きに対し、見送りの者達は、敬礼をし続けた。


 旗艦レートーが遥か上空に去って見えなくなってから、

 「マリー・ルーナ少将、これからもよろしくお願いします」

 リウがマリーに歩み寄り、挨拶をする。

 「こちらこそ、よろしくお願いしますね。 リウさんの警護は、私もするから気兼ねなく。 艦隊の出動予定は暫く無いでしょうから」

 「レイさん。 レイさんがリウさんの護衛につけない時には、何時でも言って下さい。 私が代わりに就きますので」

 「ありがとうございます。 必要があればお願いします」

 レイは、ありがたい申し出に感謝を述べるのだった。



 ノイエ軍は今回の帝國領への出征が、犠牲者無く大成功に終わったことで、参加した第三艦隊・第四艦隊の将兵に対し、一階級の昇任を決定した。


 また、ネイト・アミュー方面軍を新設し、方面軍の最高幹部として、

  方面軍総司令官兼統治官に、リウ・アーゼル中将

  方面軍艦隊司令官に、ジョン・ルー中将 

を任じた。

 新設の方面軍では、2つの艦隊が一つへと統合されたことで、艦隊の役職も大幅変更となり、艦隊司令官ルー中将の代理ともなる

  艦隊副司令官には、シュウゴ・コーダイ少将

が就任することとなった。

 また、旧第三艦隊が第一機動部隊となり、

  第一機動部隊司令官兼統治官補佐に、レイカー・アーサ少将

 旧第四艦隊が、第二機動部隊となり、

  第二機動部隊司令官兼統治官補佐に、ディオ・アイザール少将

がそれぞれ就任することに決まった。


 2人の少将が担っていた艦隊参謀長も統合され、新たに、

  方面軍艦隊参謀長に、グレゴール・ザッハー少将

が、本国より異動して就任することとなった。


 陸戦部門も、方面軍防衛の任に当たるポストを新設して、

  方面軍防御指揮官に、ジョニー・ブルーム准将

  ネイト・アミュー防衛指揮官に、ゼン・イルバール准将

が任命され、引き続きそれぞれが率いていた特殊連隊も麾下に置くこととなった。

 軍の後方部門は、レイとアイザール少将が艦隊任務と兼務になって、リウ・アーゼル統治官直属の補佐に配属されたものの、他に軍の後方部門を統括するポストには、

  方面軍補給司令官兼副統治官に、ケイト・パルトネール准将

をリウの補佐兼務で任命することとなった。 


 その他、

  ルー中将の副官に、ジム・カイキ少佐

  アーゼル中将の副官には、ショ・エーレン少佐

  キエラ・ラートリー大佐は、レッド・ドラグーン連隊幹部のまま、『方面軍総司令官警護室長』の肩書を付け加える

などの異動も行われた。

 

 人事が決定してから、旧第三艦隊の司令部では、カイキ少佐の異動に伴う、ささやかな送別会が旗艦ベルクの将官用食堂の片隅で行われていた。

 この送別会の参加者は、リウとレイ、コーダイ少将、ラートリー大佐と送別されるカイキ少佐の5人だけであった。


 「カイキ少佐、栄転おめでとう」

 リウが乾杯の挨拶をする。

 「司令官、ルー中将の副官への横滑り異動は、栄転なのですか?」

 ラートリー大佐がわざとらしく質問をして、茶化す。

 「栄転だよ。 近い将来の宇宙艦隊司令長官になる人の副官だよ?」

 「私は、ここの方面軍司令官を最後に、退役するから」

 リウはそう説明した。

 「そう言われると、確かに栄転だな。 副官」

とコーダイ少将が同意する。


 「私みたいに兵卒上がりの人間が、厳しい階級社会の軍隊で、この年齢で佐官に迄昇任出来るとは、思っていませんでした」

 「まして、今をときめくノイエ軍の2人の中将の副官を続けて拝命するなど、本来なら士官学校卒業の若手エリートが就くべきポストなので、恐縮の至りです」

 カイキ少佐がその様に話した後、

 「一つ聞きたかったのですが、どうしてアーゼル中将の副官に、私が選ばれたのですか? 他にも、自薦他薦で相当数の候補が居たと聞いていますが......」

と質問してきた。


 レイが答えようとすると、レイの口をリウが塞ぎながら、

 「候補の中で、一番の年長者だったからですよ。 若手を入れても、きっと尖った人ばかりでしょ? エリート意識の強い」

 「私自身が若いから、やっぱり経験豊富で性格の丸そうな人物を選ばせて貰いました」

 リウが取り繕って、綺麗に纏めた模範解答をした。


 「司令官、レイの口を塞ぎながら、尤もらしい理由を説明しても、説得力ゼロですよ~」

 副司令が笑いながら、本当の理由をレイに話すように促す。

 リウが不満そうに、

 「じゃあレイ、言いたいことを話してもイイよ。 カイキ少佐がルー中将の副官になったら、どうせ先輩が大袈裟に誇張して喋っちゃうだろうし」


 「司令官が話した説明も、一応の理由ですよ。 最年長の候補者を選んだのは事実ですから」

 「ただ、司令官が副官を誰にするか決めるのを迷って、あと送りにし過ぎて、回答期限を大幅に過ぎたある日、人事課の美人士官がリストを持ってやって来たのです。 そして『今、この場で決めて下さい』ってかなり強い口調で迫られた結果、候補リストの一番目だった最年長のカイキ少佐を選んだというのが経緯ですね」


 「選んだというよりは、選ばされたって感じかな」

 レイは、少しオブラートに包んで説明してから、

 「少佐、そういう経緯を気にする必要は無いですよ。 司令官は、あまり人事に拘泥しない性格なので」

 「参謀長は、積極的に立候補した同期の私がそのままなっただけですし、副司令もアイザール参謀長も、司令官が本腰を入れて探そうとしないから、私の推薦で決まったのです」

 「司令官が自分で探して来たのは、今回の作戦上、陸戦の専門家が必要だからという時に、偶然出会ったブルーム准将とラートリー大佐ぐらいですね」

 レイは、最側近として殆ど全てを知っている立場であったが、実態よりかなり優しい説明をしたので、リウは一安心したのだった。


 「この件でルー先輩が何を言っても、レイが話したのが真相だからね」

 リウは念押しで説明すると、カイキ少佐は、

 「お二人共、私ごときにそんなに気を遣わないで下さい」

 「私も半年程、司令官にお仕えしてきて、意外と適当なところがあることは、鈍感な私でも分かっていますよ」

と笑顔で話した。 


 「アーサ少将が司令官と夫婦だと最近知って、そう言えば以前、光子銃を私の方に向けて誤操作したと言った理由も、なんとなく分かってきました」

 「まばゆい光の中でも、アーサ少将がアーゼル司令官を抱き寄せているのは、なんとなく見えましたからね。 私としては、『まさか男同士で』と思い、少し焦るような場面でしたから......」


 「ああ、あれはね~司令官がメチャクチャ不機嫌で仲直りの為にキスしたんですよ。 司令部室で不謹慎だと思ったものの、機嫌を直して貰わないと、仕事にならない状況だったので」

 レイは、話を省略しながら暴露した。

 「あれは、レイが悪いのでしょ? 一日の大事な挨拶を忘れるから」

 リウが不満そうに口を尖らす。

 「逆に機嫌が良くなりすぎて、すぐに副司令にバレちゃいましたけど」

 レイが笑いながら話を続けた。


 「折角、副官に任命したのに、直ぐにレイと2人だけでアルテミス王国に長期出張してしまってごめんなさい。 副司令の副官みたいな感じになっちゃったですよね?」

 リウが今更ながら、謝罪をした。

 「いえいえ。 副司令は若い頃、副官の経験が有る方なので、色々と教えて貰い助かりました。 その経験が無いままだと、ただの雑用係になってしまったと思います」

 カイキ少佐は、副司令にも感謝の言葉を述べるのだった。

 「あの時のアルテミス王国の出張は、秘密を抱えたままの私だと、副官に全く説明出来ないVIPな人達との交流の連続だったので、同行させられなかったのです」

 リウが懐かしそうに話す。


 「まだ数ヶ月前の出来事ですが、本当にあっという間に情勢が変わってしまいました」 

 「帝國軍が全軍をもって攻めてきて、大きな被害は出たものの、防ぐことが出来て、間髪置かずに実施した今回の作戦の成功で、敵味方の戦力までもが逆転することになるなんて、1年前には思いもよらないことですね」

 コーダイ少将が述懐する。

 

 「大変なのは、これからですよ。 時間が経てばテラ帝國の軍事力は徐々に回復してきます。 そうなれば、この惑星が攻防の最前線になるのですから」

 「専制国家の恐ろしいところは、一人の人物が最終決定権を全て握っていることです。 大帝のような非常に有能で好戦的な専制君主が現れたら、あっという間に形勢逆転も有り得るのですから......私達がこの1年で成し遂げたことの逆も有るっていうことですね」

 リウは厳しい表情をしながら、自分自身を含めてその様に戒めるのであった。


 「少佐は中学生になったばかりの息子さんが居ましたよね?」

 リウの質問にカイキ少佐は、

 「ええ、居ますが......」

 「例の子、レイザールのことなのですけど、少佐の息子さんと同い年ですよね?」

 「あの子は、学校に通ったことが無いのです。 特殊な環境で育って来たので」

 「そこで、学校が開設されたら、一緒に登下校して貰えませんか? そういう経験も無いですから」

 リウは少佐にその様にお願いすると、

 「わかりました、息子に話してみますよ。 同年代の子との関わりが無かったのでは、簡単に学校生活に溶け込め無いでしょうから」

 そう言って、少佐は承諾したのであった。


 その間、副司令はレイに、

 「司令官が保護した子は、何者なのですか?」

と質問すると、

 「帝室に連なる血筋のようですよ、帝室内のゴタゴタで非常に冷遇されていたようですが。 あの子の為にも極秘扱いでお願いします」

 そう答えるのであった。


 「しかし、少佐も大変だね~。 次はルー中将の副官だから」

 「アイザール少将が異動するから、中将の事務処理がかなり回ってくるよ。 事務仕事から直ぐ逃げ出すからね、ルー先輩は」

 リウが、当人が居ないのをいいことに、笑いながら酷評する。

 「暫くは、対帝國軍への警戒任務と、星域の治安維持が重なるから、覚悟しておいた方が良いかもね」


 送別会では、この様な会話が続き、夜が更けていくのであった。


 

 当面の統治に必要な物資が届き始め、方面軍は大忙しとなってきた。

 軍司令部や統治機構の建物も、どんどん設置されてゆく。

 整地された旧王宮の敷地内に、次から次へと既成の構造物が固定される形で。

 ネイト・アミューの占領から1か月で、統治に必要な施設は全て整えられた。


 それに伴い、人事異動の発令を実施。

 本国へと帰る者。

 本国から新たに赴任してくる者。

 大半は出征した将兵がそのまま残留するが、

 『ずっとネイト・アミューに駐留させ続けるという訳にもいかない』

 リウは、異動の式典の様子を司令官の椅子に座ったまま眺めていたが、内心ではその様に考えていた。

 そして、残留する将兵の家族も輸送船団に乗ってこちらに向かっている。

 輸送船団の出迎えの為に、ルー中将が艦隊の一部を率いて、護衛の任務に向かっていたので、式典の出席者は、だいぶ少な目であった。


 「司令官、司令官」

 考えごとをしていたリウは、呼び掛けにハッとして我にかえる。

 「ゴメンね、ちょっと思索の迷路に入ってた」

 声を掛けたラートリー大佐に謝るリウ。

 「挨拶をお願いします」

 そう言われて、周囲を見渡すと、ほぼ全員がリウを見ている。

 『ヤバ』

 そう思ったもののリウは、慌てることなく悠然と立ち上がり、設置された雛壇に登壇して、挨拶を始めた。

 「皆さん、この1か月以上の間、激務が続き、本当に苦労の連続でした。 この場を借りて御礼申し上げます」

 「今回の人事異動で本国に帰られる方、これからの益々の活躍とご健勝を御祈り致します」

 「ネイト・アミューに残る大半の方々。 本国に帰られる方を羨んではいけませんよ」

 「間もなく、皆様の家族や恋人、大事な方々も到着され、新たな生活が本格的に始まります」

 「私も、全知全霊を賭けて、この地の大きな発展と繁栄を実現したいと思っております。 今日帰られる方々がこの惑星に再度赴任したいと思わせられるよう、頑張りますので、皆様のご助力とご協力を今後ともよろしくお願いしたいと思います」

 そう語り掛けると盛大な拍手に包まれた。


 異動の式典が終わり、リウはラートリー大佐と共に真新しい司令部に戻ると、司令部の新任者達が到着していた。

 リウの姿を見て、立ち上がる2人。

 艦隊参謀長になったグレゴール・ザッハー少将と副官になったショ・エーレン少佐であった。

 「司令官、本日異動を命ぜられた小官以下2名、只今着任致しました」

 ザッハー少将が代表して挨拶する。

 「堅苦しい挨拶は、ここまでで」

 そう言うとリウは、少将と少佐にソファーに座るよう促した。


 「大佐、ブルーム准将とイルバール准将も、こちらに来るように伝えて貰えませんか?」

 ラートリー大佐に指示しながら、

 「少将、お久しぶりです。 軍の財閥派最長老として、暫くの間、艦隊参謀長の任務お願いしますね。 方面軍の幹部は財閥派と非主流派が大半なので、やりにくさは無いと思いますが」

 「中将、こちらこそよろしくお願い致します。 総帥からも『くれぐれも孫娘のことを頼む』と言われておりますから」

 少将がそう言って挨拶を返すと、エーレン少佐は驚いた顔をした。

 「少佐。 これから少し大事な話がありますので、『孫娘』については、少し待っていて下さい」

 リウがそう言うと暫くして、ブルーム・イルバール准将の2名が司令部に入って来た。

 続けて、アルテミス王国軍のマリー・ルーナ少将がレイカー・アーサ少将と一緒に司令部の部屋に到着。


 ここでリウは、ブルーム准将、イルバール准将、エーレン少佐に対して、

 「3名の幹部の方々に集まって頂いたのは、私が今まで公にしてこなかったことについて、お三方に知っておいて頂きたいと思ったからです」

 そう言うと、制帽を脱いで、髪留めを外して見せた。

 「ご覧の通り、私は女性です」

 突然のカミングアウトに驚く3名の幹部。

 「ノイエ軍は、残念ながら女性が昇任しにくい保守的な組織なので、性別を曖昧にしてこれまでやって来ました」

 「しかし、私の軍人としての役目は、今回の作戦で一区切り付きましたから、この件を公にすることにしました」

 「ただ、この新天地は新たなスタートを切ったばかりで、不安定な状態です」

 「ですから当面の間、司令部の幹部間だけに打ち明ける形で、お願いしたいと思います」

 リウはその様に説明し、頭を下げた。


 「ブルーム准将とイルバール准将にも、状況によっては司令官の護衛に就いて頂くこともあると思います」

 「基本的には、副官のエーレン少佐と警護室長のラートリー大佐が公務中の護衛、私生活の護衛は私が就きます」

 レイはその様に説明し、続けてマリーが、

 「見ての通り、リウさんは相当な美貌の持ち主です。 女性だと事実上、公にしたので、今後は良からぬ者たちに狙われる機会が増えるでしょう」

 「その為、護衛を強化しなければなりません。 私は他国の軍人ですが、ルーナ司令官より厳命を受けておりますので、身を粉にしてリウさんの護衛を務めるつもりです」

 「新しい副官は、護身術の達人だと聞いております。 また特殊部隊の3名の幹部の方も護衛に就いて頂ければ、ひとまず十分な体制だと思いますので、よろしくお願いします」

 その様に追加の説明をした。


 「今回は、護衛に就いて頂く方々の顔合わせも兼ねております。 司令官は今後この部屋では無く、別棟の統治官の部屋で勤務することとなります。 基本的には私レイカーと副官がお側で勤務致しますが、外出の際は、ラートリー大佐にも護衛に従事して頂くことになります」

 「私が不在の時は、ルーナ少将が代わりに私生活面の護衛まで就いて頂くことになっております」

 「外遊の際は、准将お二人方にも護衛に就いて頂くので、よろしくお願い致します」

 「司令官自身、女性軍人としては十分な武勇を有して居ますが、傭兵や暗殺者に対応は難しい面もありますので、皆様のご協力をよろしくお願い致します」

 レイは、その様に話すと頭を下げるのであった。


 以後は、護衛に就く6名が打ち合わせに入った。

 リウは、新しいザッハー参謀長に、

 「新任早々、色々とご迷惑をお掛けし、申し訳ありません。 私が色々と秘密を抱えていたばかりに」

と言うと、

 「いえいえ、総帥からお話は伺っておりますから。 総帥が跡継ぎの男子を求めていたことも聞いて居ますし、中将がその思いで非常に苦労されたことも知っています」

 「性別等のせいで才能を正当に評価されないケースが間々有るのが、我が国の大きな欠点です。 ましてより保守的な組織である軍は、余計にそういう傾向が強いですからね」

 ザッハー少将は、その様に評価したのであった。


 

 新体制の正式な発足と、一通りのやるべきことを終えたリウは、統治官の部屋にレイと副官と一緒に移動して、漸く一息ついた。

 「エーレン少佐、今後よろしくお願いします」

 「こちらこそ。 漸く最前線に復帰出来て、嬉しく思っています。 ハーパーズ閣下の副官だった時以来の復帰ですからね」

 そう言うと、エーレン少佐は遠い目をした。

 「中将も、ハーパーズ閣下の幕僚だったのですよね? 丁度私が大病を患ってしまい、長期療養していたので、面識はありませんが」


 「僅か1年ちょっと前の就任でしたが、振り返ると激動の1年でしたね」

 「多くの知己が亡くなりましたが、今後は戦乱も遠のき、そういうことは少なくなると思います」

 「生き残った者たちは、亡くなった者の分まで、しっかり生きていって欲しいですね」

 リウは、その様に話すと、レイの方を見ながら、微笑むのであった。

 

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