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【完結から1年。順次補正中】正史・銀河四國史(未来における英雄の生涯)  作者: 嶋 秀
RIU・龍翔篇

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第54話(それぞれの準備)

間もなく、統一政府国家元首就任式の日。


出征が秒読みになった各自は、準備を始めていた......


 統一政府国家元首の就任式まで、残り1週間。


 就任式後に始まる、帝國領出征に従事する者達は、後悔の無いように、それぞれがやり残していたことを済ませ始めていた。



 ジョン・ルーは、サーラとの結婚の承諾について、両親に申し入れてみることを決断。


 18歳で家を勘当されてから、約15年。

 久しぶりに実家を訪れるジョンは、自身の人生で過去一番の緊張状態となっていた。

 「いやあ〜。 めちゃくちゃ緊張する」

 「勘当されたとはいえ、自分たちの実家だよ」

 「あの頃掛けてしまった迷惑を考えると、冷や汗が出るね」

 インターホンを押すと、玄関のドアが開いた。

 「中に入って良いってことだよ。 ドアが開いたということは」

 サーラに促されて、前に進む。

 「失礼致します」

 挨拶をしながら、実家に入るジョン。

 今迄に見たことも無いような硬い表情で、奥に入る。

 リビングの椅子には15年ぶりに会う両親が座っていた。

 「ずっと帰れなくてすいませんでした。 ジョンです」

 少し年老いた両親。

 ジョンの実父は、険しい表情のままであったが、

 「久しぶりだな。 まあ座れ」

と言ってくれたのであった。

 「10代の頃、オヤジとお母さんに本当に迷惑を掛けました。 申し訳なかったです」

 先ずは、謝罪するジョン。

 「誰しも、若気の至りというものは有る。 それが人間だからな」

 ジョンの父は、そのように答えた。

 「今は反省して、随分立派な立場になっているようだな」


 「今回は、サーラ姉とのことで話に来ました」

 「間もなく、遠くに出征することになると思います。 そうなると長い間、クロノス星系に戻って来れなくなるでしょう」

 「ですから、愛するサーラとの結婚の承諾を頂きたく、勘当された身でありながら、実家の敷居を跨がせて貰いました」

 「......」

 無言のままの、ジョンの実父。

 サーラの実母は、サーラに、

 「サーラ、あなたはどうしたいの?」

 「私もジョンのことが好きです。 17年以上前から......」

 「もう33歳になります。 ジョンとの結婚を許して貰えないのなら、一生独身で居るつもりです」

 「......」

 サーラの実母も黙ってしまった。


 重い空気が4人の間を流れる。


 ジョンの実父が漸く口を開いた。

 「2人の結婚、ダメだとは言わない」

 「ただ......」

 「......」

 「大手を振って、結婚して良いとも言えない。」

 「それが私達の答えだ」


 ジョンとサーラの両親の出した結論は、『黙認』ということだった。

 ジョンとサーラは黙ったまま、両親に頭を下げた。

 サーラは涙を流していた。

 

 以後、久しぶりの再会にもかかわらず、会話は弾むことなく、結局別れの挨拶だけを交わして、ジョンは実家をあとにした。

 サーラもジョンの官舎まで一緒に向かう。

 「微妙な答えだったね」

 「全くだね」

 「でも、ダメだとは言われなかった」

 「両親としては、『あとは2人で決めろ』って言ったのと一緒だよなあ」


 「サーラ姉、一緒にネイト・アミューに来てくれ」

 ジョンは、そうお願いした。

 「わかったわ。 直ぐに仕事は辞められないので、ネイト・アミューで暮らすことが決まったら、連絡を頂戴。 退職の手続き始めるから」

 長い間止まったままだった2人の時計の針が、漸く動き始めたようだ。




 リウは、レイとアーゼルタワーに来ていた。

 高さ2000メートル超の巨大超高層建造物の最上部に、ラーナベルト・アーゼル総帥が常在する総帥室が有る。

 2人が揃って、総帥室を訪れるのは初めてのことである。

 そして当然知らないことではあるのだが、2人揃っての総帥室訪問は、これが最初で最後になるのであった。


 受付で手続きを済ませ、総帥の側近が2人を迎えに来る。

 エレベーターに乗ると、ツーンと耳に感じられる気圧の変化。

 超高層建築物であるので、気圧変化対策はとられているものの、超未来であっても完璧なものは難しい。


 最上階から2フロアー下に、総帥室は有る。

 途中でエレベーターを乗り換えて、警備がより厳重な役員専用エレベーターで昇る。

 エレベーターのドアが開くと、そこも厳重な警備が敷かれていた。

 ロボット兵とクローン兵が数名壁際に並んで立っている。

 その間を、側近の案内で通り抜けるリウとレイ。


 暫く歩いて、漸く到着した場所が総帥室への入口であった。

 レイにとって入ったことの有る場所であったが、リウは初めて。

 案内された応接室で待っていると、側近と一緒に総帥が現れた。

 「お久しぶりです。 御祖父様」

 「ご無沙汰しております」

 2人が挨拶をする。


 「久しぶりだな。 リウもレイカーも」

 総帥が口を開く。

 「遠路はるばる私達の結婚式に出席して頂き、ありがとうございました。 また先日は別荘も借りさせて頂き、合わせて御礼申し上げます」

 リウが礼を言う。

 「イチイチ礼には及ばぬよ。 お前は私の唯一の孫娘なのだから」

 「2人は仲良くやっているようだな。 レイカー、リウのこと、よろしく面倒見てやってくれ」

 珍しく、少し笑顔を見せた総帥。

 「それで、今日来たのは当面の別れの挨拶なのだろ?」


 「暫く、クロノス星系に戻って来れなくなると思いますので」

 リウが総帥に、今日来た理由を話す。

 「AA・アーガンから、話は聞いている」

 「今後は、より厳しい道程みちのりになるだろうが、2人が選んだ道だ。 『努力してみろ』という言葉しか掛けられないがな」

 そう厳しい表情で言ってから、

 「エルフィン人がリウに与えた生体頭脳。 あれを上手く使えば、リウが新しく設立する企業体は、直ぐに軌道に乗るだろうよ」

 「ただし、所詮人が作り出したものだ。 未知の技術が使われているし、過信し過ぎると、しっぺ返しがあるかもしれない」

 「リウ、その生体頭脳はお前が原型らしいから、2人の意思に反して暴走するようなことは、基本的に起きにくいと思うがな」

 アドバイスの様なことを総帥は話したのであった。


 「新領土の件。 軌道に乗りそうだったら、財閥も投資することになるだろうから、その点は安心しておけ」

 総帥は、リウとレイが今回の訪問の本題を切り出す前に、先に結論を言ってしまった。


 「御祖父様に、全部先に言われてしまいましたわ。 ですから、私達の元気な様子を見せに来たということだけになりました。 今回の訪問の目的は」

 リウはそう話すと、自然に笑った。

 総帥の前では、普段殆どが作り笑いなので、非常に珍しい光景であった。

 その珍しい姿を見たラーナベルト総帥は、

 『もしかしたら、二度とリウと会えないのでは?』

という悪寒みたいなものを一瞬感じたが、表情には微塵も出さなかった。


 「まあ、こんな殺風景な場所だが、せっかくだから昼飯ぐらい一緒に食べていかないか?」

 総帥にしては、珍しい誘いの言葉が出た。

 これは、悪寒の様なものがさせたのであろう。

 「このまま帰るのでは、ちょっと素っ気無さすぎますものね。 レイ、お言葉に甘えましょう」

 リウも非常に珍しく素直な返事をしたので、レイは少し驚いていた。

 

 食事が用意されるまで、リウは総帥の執務室を見て周った。

 殺風景な執務室。

 必要なもの以外、花一つ、美術品一つすら置いていない。

 『無駄が嫌いで、何事にも合理的な御祖父様らしい執務室だわ』

 リウは、そう感じた。

 今後は企業経営者になるだろうリウであったので、その様な目線からも、総帥の執務室を見て周っていた。


 やがて、運ばれて来たランチを見てリウは、

 「御祖父様、値段を当てましょうか?」

 「15ノイエドルでしょ?」

 見事正解であった。

 「人類社会で三本の指に入る富豪の御祖父様が、ランチに15ノイエドルしか掛けていないのでは、景気が悪くなりますね」

 「でも、だからこそ、アーゼル財閥がナンバーワンなのだと、丞相夫人のエミーナに以前言われましたわ。 全くその通りだと思います。」

 そのように、リウは感想を述べた。


 総帥は、

 「私だって、もう少し若い頃は、これより高いランチにしていたさ。 歳を取ると食も細くなってくるから、これぐらいで良いのだよ。 社員から見たらこれでも高い方だ。」

 「贅沢は、際限が無い。 私は先祖から受け継いだ財閥を後世に続けてゆく義務が有るのでね。 財閥で働く者とその家族数千万人の為に......」

 「リウ、お前もネイト・アミューで起業するのだろ? そうなれば、その責任の重さを少し実感するようになるさ」

 ランチを一緒に食べながら、総帥はリウに経営者の心構えのようなことを話したのであった。


 「こうして御祖父様と食事をご一緒するのは、何十年ぶりでしょうね。 今後、たまにこの様な機会が有っても良いかもしれませんね」

 「私も、間もなく30歳になりますし、寿命が短いという宿命もあるので、いつまでも子供時代のことを恨んでいても、先に進めないですからね」

 レイは、総帥の前で聞いたことのない、あまりにも素直なリウの言動に、

 『感傷に流されているのかもしれないな』

と感じていた。


 やがて食事も終わり、多忙な総帥は、

 「これから会合が有るから、失礼するよ。 リウもレイカーも身辺警護だけは強化するのだぞ」

と言い残し、2人と別れた。

 タワーを出て、レアー号へ戻る途中でレイは、

 「リウ様。 いつもと異なり、総帥に対する態度が素直でしたね」

 そう尋ねると、

 「私も少し感傷的になっていたのかな? なんだかリウとして総帥室で会うのは、最後になるような気がして......」

 「レアと......だから......次は」

 リウはレイにも聞こえないような声で呟き、

 「私の独り言だから、レイは気にしないで。 御祖父様には、いずれまた会う機会もあるでしょ? そのうちに」

その様に言い直すと、リウはいつも通り、颯爽と歩き始めたのであった。




 ディオ・アイザール准将は、将官用の家族住宅の片付けをしていた。

 まだ引っ越しの準備をしている訳では無いが、今回出征したら家に戻れない為、子供3人を抱える中、引っ越し作業は妻のミカが行わなければならないからだ。

 「ミカ、済まない。 全部任せることになってしまって」

 「お仕事だから、仕方ないでしょ? 業者に任せるから大丈夫」

 「それに、いずれ引っ越すつもりだったから、家財道具少ないので、それ程手間にはならない筈」

 ミカは引っ越しのことは任せてと夫に話した。


 「あと2年で、アーゼル財閥に復帰するつもりだったけど、それも遅くなってしまうかもしれない。 本当にごめん」

 「財閥の役員夫人になるのも面白そうだけど、ディオはまだ若いのだから、数年遅れても全然問題ないでしょ?」

 「それに、私まだ30歳よ。 32歳じゃなくて40歳でも役員夫人は早い位よ」

 ミカ・アイザールはそう言って、夫に謝る必要の無いことを伝えたのだった。

 「あのリウ・アーゼルが、ディオを頼りにしているのだから、期待に応えてあげないとね。 私としては、同じ女性として、そして同級生として、同じ士官学校を出た者としても、リウに頑張って欲しいから」


 「そう言えば、この間の別荘で、リウ様やレイと昔話をしたの?」

 「いいえ、多分リウもレイ君も気付いて無かったみたいよ。 ミカ・シェランだということに」

 「私もだいぶ雰囲気違うからね。 士官学校時代はショートだったけど、今はロングヘアーだし、学校の頃はスッピンだけど、化粧もして子供も産んで、母になったからね」

 「ミカは、今の方が色っぽいと思うよ。 大人の女性って感じ」

 「ありがとうね、ディオ。 お世辞でも嬉しい」

 「それにあの時のリウとレイ君は、殆ど2人だけの世界に居る感じだったから、周囲のことあまり気にしてなかったからね」

 「あれだけ、ラブラブな2人、ちょっと羨ましいわ」

 レイは、同時期の士官学校4年課程のミカ・シェランが、アイザール准将の妻だと以前から知っていたものの、先輩の妻なので特に話し掛けたりしなかったのだ。

 

 「ちょっと聞いてみたいのだけど、士官学校時代のリウ様とレイって、ミカから見るとどんな感じだったの?」

 話の流れで、興味を持ったディオは、妻に聞いてみた。


 「私は全寮制の4年課程、リウとレイ君はディオと同じ大卒社会人用の、通いの2年課程でしょ? カリキュラムは少し異なるけど、訓練とか一緒にやることも有るから面識はそれなりにあったよ。 女性組からするとリウが一番人気だったね。 優しそうな王子様って感じだった」

 「2年課程って財閥系とも言われているでしょ? ディオもそうだけど、リウもレイも典型的な財閥系って感じじゃない? ガツガツして無くて、少しおっとりした大人びた感じ」

「レイ君は一つ年上だけど、リウは同級生。なのに2人共4年組の人達と全然雰囲気が違う。 大人だなって思ったわよ」


 「それに比べて、私達の方は首席がフォーでしょ? 次席や女の子の上位組といつもバチバチでね~。 まだまだ子供って感じだったなあ~」


 「レイも人気有ったよ~。 優しそうな顔なのに、ちょっとミステリアスな感じがあって。 口数の少ない人だけど......射撃の腕が半端じゃなかった」

 「だから、4年組の間では、アサシンとか呼ばれていたね」


 「リウが実は女性で、それも超美女。 しかも夫がレイ君なんて、同じ時の士官学校生からしたら、萌え萌えだよね。 少女漫画の世界だよ」

 「そして、あのレイ君が人前でリウとディープキスを繰り返すなんて、当時は想像出来なかったなあ~」


 「僕からしたら、ミカもリウ様に負けないくらいの美女だと思うけどなあ~」

 「お世辞だけは、上手くなりましたね、ディオ」

 そう言うと、ミカはディオにありがとうのキスをしたのだった。




 キエラ・ラートリー中佐は、実家から通っている。

 離婚していて、12歳の男の子クルスが居るので、実家で面倒をみて貰っているのだ。

 元夫もノイエ軍の軍人だったが、先の大戦で戦死していた。

 「クルスのこと、どうしようか。 それが悩みかな」

 キエラは、両親と話をしていた。

 「長期出張になるので、連れて行くか? それともこのまま預かって貰うか......」

 「まだ決まりじゃないから、どうなるかわからないけど、心の準備だけはしておかないと」


 両親は、

 「どうなるにせよ、クルス次第だと思うぞ。 クルスがお前に付いていきたいと言えば、その意向に従うべきだろ?」

 「うん、それは分かっている。 私は離婚したから、アイツの死んだことをそれ程気にならないけど、クルスにとっては父親だからね。 戦争で戦死した心の傷がまだあるだろうから、あまり環境の変化が無いようにするのが良いのかなって」

 「私も大尉ぐらいだったら、残留希望出せるけど、立場が立場だから、向こうに行くしか無いんだよね」

 その様に話してキエラは自分の心の整理をつけようとしていた。

 「多くの家族が私達と同じ様に悩んで居るのかな? これからそうなることを知って、悩む家族も多いのだろうね」 

 「おそらく、引っ越し用の輸送船が軍から何回かに分けて出ることになるので、クルスが向こうに行きたいと言ったら、乗せてあげてよ。 よろしくお願いします」

 キエラは両親にその様に説明して、結論を出したのであった。




 ジョニー・ブルーム大佐は独身。

 その為、出征後自宅の官舎に戻れなくても良いように、既に荷物は纏めていた。

 出征時に、荷物は一緒に持っていくつもりだ。

 連隊全員が休みであるこの日も、地上軍本部にある自分の執務室で何やら書類の作成をしていた。

 アーサ参謀長から、

 「長期に渡り、本国を離れることが出来ない隊員のリストを作って欲しい。 理由も併せて記載の上」

 そう要望されていたので、その書類を作成していたのだ。

 約1000人の隊員リストと、顔を思い出しながら、

 片親の者・両親が居なく祖父母のみの者・子供に事情がある者など

を抜き出して、リストに載せる。

 合計約50人がその対象になった。

 『他にも居た場合は、ケース・バイ・ケースだな』

 そう考えながら、リストを作り終えて、艦隊司令部に送付しておいた。


 一段落ついたので、レッド・ドラグーンの待機室や訓練場を周る。

 『ここともお別れか~』

 少し感傷に浸りながら、ゆっくり歩いて周った。

 誰も居ない連隊の施設。

 そして、訓練場の入口にある『連隊の石碑』に、片手に持っていたビールを少し掛ける。

 心の中で『ありがとう』と訓練施設に向かって言いながら......

 



 遠くに出征するだけでなく、その後長期に渡るだろう占領政策で、出征に従事する将兵の人生にも大きな転換点が訪れつつあった。

 リウは、そのことに思いを馳せると、責任感や重圧で夜も殆ど眠れない日々が続いていたのであった......

 「リウ様。 最近殆ど寝ていないようですが......」

 レイが心配そうにリウの顔を覗き込む。


 「自分のやっていることに、自信が無くて......」

 「三国同盟の国民にとっては、安心出来るようになるから、良いのだろうけれど......」

 「占領される地域に住む人にとっては、どうなのだろう?」

 「帝國の支配のままの方が良いのでは?」

 「私の一番大事な身近な人達にとって、今回の出征は不幸への階段を転げ落ちるようなことになるのではないか?」

 「そう思うと、寝れないの。 ゴメンね、レイ。」

 「リウ・プロクターだったら、どう考えたのかな?」

 「同一人物なのに、そんなことも考えているよ」

 リウの悩みは深かった。


 「あの大戦が無かったら、リウ様の悩みの通りでしょうね」

 「でも、あの大戦でノイエ国では、多くの人が亡くなりました。 全国民が帝國の奴隷になる危機でもありました。」

 「あんなことは、二度と起きて欲しくない。 大半の人がそう思っている筈です」

 「だから、いまリウ様のもとに集まっている軍人で、リウ様の方針に対して異論を挟む方は居ないと思います」

 レイは明快にそう言い切った。


 「緩衝地帯を作る」

 「緩衝地帯に住む市民も帝國占領時代より、幸せを感じられるようにする」

 「そのニ点さえ実行出来れば、それで十分だと思います」

 

 リウは、レイの言葉に涙が溢れ始めた。

 「レイ、ありがとう。 レイの言葉にいつも私の心は救われているよ」

 そう言うと、リウはレイに抱きついたままとなった。

 レイがリウの頭を撫でていると、そのうち寝息が聞こえてきた。

 『リウ様の不安の最大要因は、帝國と停戦出来る見込みが無いことなのだろう。 リウ様を含めて誰もこれに関する妙案は持っていないから』

 

 帝國に住んだことのあるリウとレイだったが、その経験があっても、全く解決策は見つからなかった。

 手詰まりになった後、何か奇跡が起きることを期待するしかないレイであった。


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