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【完結から1年。順次補正中】正史・銀河四國史(未来における英雄の生涯)  作者: 嶋 秀
RIU・龍翔篇

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第52話(マリー・ルーナ)

リウとレイは、出征計画の最終打ち合わせの為、リク・ルーナ大将のもとを訪問していた。


そこで知った意外な事実が、今後の2人にとって、大きな影響をもたらすことになる......


 リウとレイは、アルテミス王国へ向かい出発した。


 既にルーナ大将には、1日早く着く旨の連絡を入れてあるが、あくまで極秘訪問である。


 それは、選挙戦に利用されたくないリウの強い希望が有るから。

 公になると、両陣営が色々画策して、自分たちのアピールに使おうとするのは必至の情勢なので、フォーに利用された、あの嫌な思いを繰り返したくないと、今回は新しい対策も考えていたのだ。



 既にレアー号は、惑星ヘーラーを飛び立ち、アルテミス星系に向けて航行中であった。


 「リウ様、そう言えば私の個人口座に財閥から巨額の振込があったのですが......」

 「それは、ノイエ国が西上国から買い上げた艦隊の代金に対する融資取り纏めの報酬でしょ? 御祖父様に、レイの功績扱いにして欲しいと言ったからだよ」

 「でも、あまりに多過ぎますよ?」


 「私はアーゼル財閥と利益の2%を報酬とする契約を交わしているのだよ。 あくまで私は独立した交渉人扱いだからね」

 リウは胸を張って説明した。

 「単純に計算すると、融資の1.5兆ノイエドル✕利率1.8%で財閥の利益は毎年270億ノイエドル」

 「その2%の5.4億ノイエドルが私の取り分」

 「融資は5年間だから、レイに支払われる報酬は総額27億ノイエドルだね。 税金とかを差し引くと15億ノイエドル位かな、手取りは」

 リウは簡単に計算して、当然貰うべきだという表情を見せていた。


 それに対してレイは、 

 「やはり、貰い過ぎだと思いますが......」

 「今後、何が発生してもおかしく無いのだし、私と夫婦ということは、常人ではあり得ないレベルの出費もあると思った方が良いかも。 だから、いざという時の保険だよ」

 リウは、沢山有って困るものじゃないのだから素直に受け取るように説得するのであった。


 3日間の道中、特にすることが無いリウとレイ。

 まだ新婚数ヶ月、しかも常にラブラブ状態の2人がすることと言えば......

 今回の旅では、レイが積極的だった。

 少し得体の知れなさが出て来た生体頭脳レアに、愛することの素晴らしさを理解させたいという気持ちが入っていたからであろう。


 

 惑星アルテミスの宇宙港に到着したのは午後だったので、極秘にルーナ大将と連絡を取り、その日の夕方会うことに決まった。

 その場所に指定したのは、ASJグループが運営する宇宙港ターミナル内の特別個室ラウンジにした。

 王宮内とかも考えたが、王宮内では面が割れているリウなので、敢えて近場で初めての場所を選んでみたのである。


 リウは帽子を深く被り、顔の下半分を覆うフェイスガードを付け、レイと一緒に待ち合わせ場所に向かう。

 今回、初めてフェイスガードを使ったが、流石にここまで顔を隠せば、ノイエ国軍のリウ・アーゼル少将だと気付く人は皆無であった。


 「このフェイスガード、どう?」

 鼻から下半分を完全に覆う黒色のフェイスガードの装着は、逆に目立っている気もするレイ。

 「とてもカッコよくて似合っていますよ、レイ様。 ただちょっと目立っている様な感もありますが......」

 「そうかな? そんなに人の視線は感じないよ」

 「これならば確かに、リウ様だと気付かれる可能性はありませんね」

 バレて騒がれる可能性が無いという点は、同意するレイ。


 しかし、当然のことながら、個室ラウンジの受付で怪しまれるリウ。

 フェイスガードを外す様に求められたが、

 「顔の下半分に、酷い火傷の跡が有るんです」

とリウは言って、外すのを渋っている。

 レイは、

 『リウ様、どうするのかな?』 

と思っていると、仕方なく少し外して見せていた。

 いつの間にかに、火傷跡に見える特別メイクをしていたようだ。

 それを見た受付の人が慌てた様子で、

 「これは、失礼致しました。 もう外さないで結構です」

 そう言って、鍵を渡してくれたのだった。


 借りた個室に入ると、レイは、

 「メイクしていたのですね、リウ様。」

 「そうなんだよね。 念のためにしておいて良かった~」

 「受付でバレると、他の客から情報流れるだろうから、ここを出る時に大変なことになっていたと思う」

 「ひとまず、大将閣下が来られる前に、飲み物とか買ってきますね」

 レイは、そう言って受付で買い物をして戻って来た。

 「そろそろ来られる時間ですね。 出迎えして来ます」

 レイは、再び部屋を出て、出入り口に向かうのであった。



 暫くすると、何処かのビジネスマン風の男が、レイと一緒に部屋に入って来た。

 ルーナ大将であった。

 「大将閣下、変装までして頂き、御足労掛けて申し訳ありません」

 リウが挨拶する。

 「そんな堅苦しい挨拶は要らないよ」

 ルーナ大将が挨拶を返す。

 「昔だったら、再会を祝してハグとかしたのですけど......」

 リウが申し訳なさそうに話す。

 「ははは、そんなことされたら、こっちが緊張しちゃうよ。 リウは誰もが憧れるような美女なのだし、隣に素敵な旦那様も居るのだから」

 「なのに、どうしてそんなフェイスガードをしているの?」

 その点を訝しむルーナ大将。


 理由を簡単に説明すると、

 「選挙に利用されたくないってことか。 それで極秘だったのだね。 作戦自体が極秘だからだと思ってたよ」

 理由を知って納得の表情を見せた大将であったが、選挙情勢について、

 「統一政府の国家元首選挙は、勝敗はほぼ決まりでしょ? リイトン首相の負けだね、人気無いから」

 「それを言うと、政府に睨まれるから言わないけどな」

 ルーナ大将も選挙はフォー・プロシードの勝ちだと見ていた。


 「ところで、肝心な作戦については?」

 「統一政府の国家元首就任式の翌日、西上国の艦隊が帝國領方面に動くそうです」

 「その一週間後、ルーナ大将は4個艦隊を率いて、惑星ネイト・アミュー方面に正々堂々と侵攻して下さい」

 「惑星アルテミスから惑星ネイト・アミュー迄は、大規模な艦隊で堂々と進むと、10日の道程みちのりですね」

 「私達は........................という予定です。  上手くいけば、帝國軍は戦わずに引くと思います。 一戦交えて直ぐ撤退する可能性も有るでしょう」

 ルーナ大将は、リウの説明を受けて、作戦の全容を理解したのだった。

 「なるほど。 ところでいつ、そんな情報を手に入れたのだ?」


 リウは、その質問に対し、

 「男の人格のリウが帝國で過ごしていた時です。 相当古い文献に載っていたそうで、偶然見つけたのです」

 「ただ、かなりリスクも有るので、ルーナ大将の進発と同じ日に我々も出征します」

 「わかった、こっちは大丈夫だよ。 俺も宇宙艦隊のナンバー2だから、4個艦隊迄は好きに動かせるから」

 「作戦が成功したら、惑星ネイト・アミューで会いましょう。 新領土の首都とする予定です」


 「しかし、リウは戦略家だな、戦術家ではなくて」 

 「先の大戦だって、物量と経験に勝る帝國に対して、技術力で超過する三国同盟の利点を活かした新型艦隊を早くから整備することで、互角の戦いに持ち込んで、結局侵攻を防ぐことに成功しただろ?」

 「今回は戦う前に、ほぼ勝ちが決まっている。 現在の双方の戦力と、地理的条件を考えれば、帝國本土から離れ小島で孤立状態、しかも旨味の少ない旧ムーアー国領域を、二世皇帝がその維持に固執する確率が低いことを計算した上での奪取作戦だから」

 ルーナ大将は、作戦の全容を聞いた感想を述べたあと、

 「リウは『おじさんおばさんキラーのリウ』って呼ばれているんだぞ、我々秘密を知る者の間では」

 「西上国はシヴァ丞相に、ヒエン、コトクの五十代半ばトリオ。 アルテミス王国は、アラフィフの俺と五十代のアルテミス王だろ?」

 「その他に、財閥の総帥、ASJグループの四十代三姉妹に、アルテミス王妃などなど」

 「みんな、リウよりだいぶ年上の権力者だものな。 これだけの協力者を得られているだけでも相当なものだし、これらの面々と親密な関係を築いたところが凄い戦略家だよ。 中では俺が一番小者だな」

と言って笑った。


 その評価に対してリウは、

 「私は、生まれが恵まれていただけです。 アーゼル財閥の本家一族で、巨万の富が黙っていても手元に入ってくる立場ですから。 もし、御祖父様に子供が複数居たり、母に経営者としての能力があれば、私は深窓の御令嬢で終わっていたのかもしれません。 今の私から見ると全く希望しない人生ですが」


 続けて、

 「出逢いにも恵まれました。 王妃から始まり、当時のルーナ大佐、シヴァ丞相、ヒエン大将、コトク大将」

 「同期生で夫のレイ、ルー少将や亡くなられたハーパーズ大将、そして今の幕僚達」

 「丞相夫人になったエミーナは、今の女性の人格の最初の親友ですし、エミーナのお姉様方とも知り合いになれました」

 「大した才能の無い私ですが、これからも出逢った方々の協力を得ながら、男の人格リウが目指していた帝國との停戦まで何とか持ち込みたいですね」

 リウは昔を振り返りながら、そう述べるのだった。


 「今回の戦いが上手くいけば、以後、アルテミス王国は帝國と国境を接しなくなり、軍の負担が減るでしょう」

 「ただ、その分私達の負担が重くなります。 有事の即応体制の整備だけは、よろしくお願い致します」

 リウは、侵略作戦終了後のお願いも忘れなかった。


 「大丈夫だよ、リウ達の負担は想像以上のものになるだろうから、我々だけが楽にならないよう、相応の負担はするつもり。 安心してくれ」

 「当面、占領地の態勢が安定するまで、ネイト・アミューに半個艦隊常駐させる方針だ、新型艦艦隊で。 ノイエ軍は新型艦の整備が遅れているからな」

 「半個艦隊なら司令官は少将だから、リウやルー中将も指揮下に置きやすいだろ? 2人は成功すれば中将に昇任するのだろうから」


 ここで、前回結婚式で会った時の話をルーナ大将は思い出した。

 「そう言えば、ルー少将に打ち明けたのだろ? 女性だってことを」

 「大将閣下のご助言に従い、帰国後直ぐに打ち明けました。 准将以上の幕僚にも」

 「まあ、もう隠し通すのも難しい感じだからな。 男のリウの人格が消えた影響か、かなり女性っぽさが出て来たと思うよ。 昔から知っている立場から言わせて貰うと」

 「やはり、そう感じますか? 時間の問題でしょうね」


 「そうなると、今度は違う問題が出て来るなあ。 リウが美女だって言う事が知れると、メディアに追われたりもするし、色々想定外の問題が出てくるだろう」

 「中には、レイ君を亡き者にして、自分のモノにしようとか、そういう不届き者が引き起こす事件事象が出てくるかもしれないな」

 「ネイト・アミューだと、クロノス星系やアルテミス星系に居る時より、そういう事象が発生しやすくなる。 だから2人共、自分達の身辺警護を強化することを怠るなよ」

 ルーナ大将は、今後のことを心配そうにアドバイスするのであった。

 「かくいう自分も、今やそういう立場だからな。 大佐だった頃が懐かしいよ。 あの頃は警護なんか要らない自由な立場だったものな」


 ここで、リウは一通の文書を大将に手渡した。

 「これが、お願いされていた文書です」

 「悪いね。 リウ・アーゼルのサイン入りのこれが有ったほうが、議会と司令長官を説得し易いからな」

 「しかし、ルーナ大将の肩書き長いですね。 『ディアナ方面司令官兼アルテミス方面司令官兼第二・第三・第四艦隊司令官』って」

 「それは、先の大戦の時、第二・第三・第四艦隊司令官になった後、ディアナ方面司令官が付いて、最後にアルテミス方面司令官も兼務になったからだよ」

 「宇宙艦隊副司令長官でも良いのだけれど、アルテミス王国艦隊は、副司令長官を置いた過去がないから、実務面を重視した役職にしたのさ」


 「そうだ。 占領が成功したら、アルテミス王国艦隊のネイト・アミュー駐留部隊の司令官となる予定の少将を紹介しておこうかな」

 「レイ君、ラウンジの受付で待っているから呼んで来てもらえないか? レイ君も会ったことの有る人だから」

 ルーナ大将がそう言ったので、レイが迎えに行った。



 間もなく、レイと一緒に部屋に入って来たのは、

 「紹介しよう。 今度ネイト・アミュー駐留軍司令官に就任予定のマリー・ルーナ少将だ」

 「すなわち、俺の妻だ」

 「私達の結婚式に出て頂いた、ルーナ大将の奥様は軍人だったのですか? アルテシア王妃の元侍女だと思っておりました」

 そう話すリウは驚いた表情を見せていた。


 「リウもレイ君も、不安ある占領地だから、友軍の司令官は知っている人物の方が良いだろ? 彼女は二十年近く前からリウの秘密を知っていたのだし、俺が気付くまで一言も言わない口の固さも証明済みだ」

 「しかも、レイ君ほどじゃないかもしれないけど、射撃の達人でもある。 リウの警護も十分任せられるぞ」


 そこまで紹介を受けるとリウは、マリーに話し掛けた。

 「驚きました。 まさか少将閣下だったとは......」

 「リウさんが11歳当時、王太子妃の侍女でしたが、あくまで軍人として就いていたのですよ。 通常時の警護要員としてね」

 そして、夫婦の馴れ初めを少し話し始める。

 「大将とは長年射撃のライバルでね~。 仲悪かったのよ。 毎年射撃大会で争っていたから」

 「それが、アルテシア王妃の仲介で仲良くなって......それからはあっという間に結婚して、ってかんじね」

と、経緯を簡単に説明した。


 「でも大将閣下、良いのですか? 奥様と長い間離れ離れになってしまいますが......」

 「それは大丈夫よ。 娘2人が夫の面倒みてくれるから」

 「娘さん2人居るのですか?」

 「上の娘は、私がシングルの時の娘ね。 下の娘は夫との間の娘だけど。 上の娘はもう成人しているから問題ないわ」

 「リウさん、アルテミス王国は貴方に頼り過ぎているから、誰かが苦労を分かち合うべきだと思うの」

 「夫は、地位が上がり過ぎて、そういう立場にはもう戻れないから、今回は私が行かせて貰います。 女性だから尚のことうってつけでしょ?」

 マリーは、力強くそのように申し出てくれた。

 「そういう訳で、マリーをよろしく。 一度言い出したら曲げない芯の強い女性だから。 リウと似てるよな」 

 大将からもお願いされてしまい、ルーナ夫妻のその心遣いに、感謝で涙が滲むリウであった。


 「さて、今晩は遅くなったから、そろそろお暇するかな? 夫婦の副官2人もターミナルの外で待たせているからな」

 「リウとレイ君も、明日には帰るのだろ?」

 「はい、出征も近いので」

 「じゃあ、次は惑星ネイト・アミューで会おう。 それまで元気でな」



 リウもレイもラウンジをチェックアウトして、2人をターミナルの外まで見送りに出た。

 大将、少将の副官の他、大将閣下には護衛が4名も別に付いており、ルーナ夫妻を見つけると直ぐ護衛が付いて、送迎車まで案内していった。

 「手を振って見送るような状況じゃないね」

 レイがリウに語り掛ける。

 「随分時が経ったんだなあ~って思うよ。 もう安易に近付ける立場じゃないのだものね」

 「ルーナ大佐だった時が懐かしくなるよ。 こういう光景を見ると......」

 そう話すリウは、何処か寂しそうな表情に見えた。


 「明日は、少し買い付けをして、アーゼル財閥本店に注文を入れたら、クロノス星系に帰りましょう」

 リウはレイに予定を話すと、手を繋いで、ターミナル内を歩いて、レアー号に戻ったのであった。



 翌日。

 リウは、レアー号の端末でアルテミス王国政府の入札結果を見ていた。

 先の大戦で、アルテミス王国軍に全面降伏した際に押収された帝國軍の艦艇が、主要な武装を外され、戦争被害の復興資金に充てるための競売に順次出されていたのだ。

 駆逐艦50隻と輸送艦10隻を落札したリウは、アーゼル財閥本店に連絡を入れて、落札した60隻の艦艇の受領と搬送・改造依頼を行って、依頼書類も全部端末から送って手続きを完了させていた。

 それらの連絡が終わってからレイに、

 「落札した艦艇の書類の受領とサインをしに、アルテミス王国政府財務当局に向かうから、護衛してね。 今回は帰りバレる可能性が有るから」

 レイは、

 「了解しました。 リウ様」


 リウは、帽子を被りサングラス姿でレアー号を出ると、宇宙港ターミナルを足早に抜け、無人タクシーにレイと一緒に乗り込み、政府庁舎に向かった。

 多くの人が出入りしている、政府庁舎。

 リウに気付く者は、誰も居なかった。

 財務当局の落札担当部署まで、誰にも気付かれることなく、無事に到着し、ロボットと話をして、書類を受け取りサインし、無事手続きを済ませた。


 「ここまでは、無事だったけど、次が難関だね」

 「あっ。 一旦帰って、この書類を本店に届けるのはレイに行って貰えば大丈夫か~」

 リウは急遽予定を変更し、レアー号に戻ることに決めた。

 「レイ、それで良い?」

 「勿論ですよ。 私が行きますから、一旦宇宙港ターミナルに戻りましょう」

 レイは、そう言うと少し不穏な空気を感じた。


 どうも、リウ・アーゼルが居ると一部市民にバレてしまった感覚が有ったのだ。

 「リウ様、急いで庁舎を出ましょう」

 リウも雰囲気を感じ、足早に庁舎を出る。

 ざわついている政府庁舎の正面出入口付近。

 リウが、

 「レイ、こっちから出よう」

と、正面玄関では無い出入口を選択。

 流石、元惑星アルテミスの居住者。

 さーっと建物外に出ると、端末で呼んだ無人タクシーに乗り込む。

 リウは、下を向いてフェイスガードを付け、サングラスを外して、変装し直したことが幸いし、騒ぎ始めた市民に気付かれずに、政府庁舎をあとにすることが出来た。


 リウはレイに、

 「予定変更で、このままクロノス星系に帰ろう。 財閥本店へ送る書類は、財閥本社から送るよ」

 「ターミナルが騒ぎになるのも時間の問題だから......そうなると、リイトン首相陣営がすっ飛んで来るでしょ? 私との映像を撮って、逆転を狙う為に」

 リウが今後の展開の完璧な予想をしたので、

 「その通りですね。 宇宙港ターミナルは、堂々と通り抜けましょう。 その方が気付かれないと思います」

 レイはそう言うと、変装を始めた。

 流石、元総帥直属の諜報員。

 見事な女性に変身してしまった。


 「リウ様の存在がバレたのは、財閥当局の職員が原因です。 手続きはロボットでしたが、名前を見て気付いた職員が一斉に拡散したようです」

 レイが、特殊な端末で時系列を調べた結果をリウに説明した。


 「さあ、ターミナルに着きました。 レアー号迄一気に行きますよ」

 レイが気合を入れて、先に歩く。

 ターミナル内も既にざわつき始めていた。

 隠し撮りで拡散された、リウのサングラス姿画像をもとに一部の人々がリウ・アーゼルを探している。

 しかし、大柄の女性とフェイスガードを付けたペアーを気に留める人は居ない。

 無事、ターミナルを抜け、レアー号に到着したリウとレイ。

 緊急発進し、惑星アルテミスをあとにしたレアー号。



 「良かったです。 無事突破出来ました。 しかしリウ様はアルテミス王国だと物凄い人気で、芸能人みたいですね」

 レイがホッとした表情で、リウに語り掛ける。

 リウは女性姿のままのレイを見て、

 「レイって女性になると、想像以上にカワイイね」

 「私は母に良く似てますから......」

 レイのカワイイ姿に、唆られたリウ。

 「リウ、様......」

 リウは、突然レイに抱きついて、唇を重ね......

 あとは2人だけの世界に入ってしまったのであった......


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