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【完結から1年。順次補正中】正史・銀河四國史(未来における英雄の生涯)  作者: 嶋 秀
RIU・龍翔篇

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第49話(宿題)

2か月半前に、リウがリョウ・シヴァと交わした約束。


これを果たす時が迫っていた......


 リウは、帝國領侵攻作戦の最終打ち合わせの為に、アルテミス王国への出張を計画。


 一緒に連れて行くのは、今回もレイだけにすると決めたが、この出張の前に、前回の長期出張の時に約束した宿題を、そろそろ終えなければならなかった。



 いつもの定時後の集まり。

 第三艦隊の司令部には、リウとレイの他に、ルー少将、副司令とアイザール准将が残っていた。

 

 「ディオ。 ディオは結婚してるよね?」

 リウがアイザール准将に確認する。

 「はい。 子供も3人おりますが...... それがどうかしましたか?」

 「まあ、ちょっとしたことを計画しているので......」

 リウは、まだ秘密という顔をした。


 「レイ、御祖父様から借りれた? あそこ」

 今度はレイに確認する。

 「『暫く使う予定は無いから』とおっしゃられていましたので、押さえました」


 「じゃあ、もう発表しちゃおうかな」

とリウは言った。

 

 「ここに居る皆様。 今度の三連休、予定を空けてくれていますよね?」

 リウが全員に確認する。

 「この間、リウに命令されたから、空けたよ」

とルー少将。

 「それでは、全員をブライドフュール渓谷に招待致します」

 「結婚されている方はご家族を連れて、されて居ない方は恋人を連れて参加して下さい」

 「費用は、私が持ちます」

 「今回は、スペシャルな方達も何組か招待していますので、それは到着してのお楽しみ〜」



 出征の結果如何では、最後になるかもしれない、生まれ故郷のクロノス星系第五惑星ヘーラーの滞在で、自分の周囲の人達との親睦を深めておきたいと、今回リウが計画した、ブライドフュールリゾート滞在。

 


 当日の朝。

 待ち合わせ場所の軍事宇宙港ターミナル内には、リウとレイの他に、

  ジョン・ルー少将とサーラ・ルー姉弟

  シュウゴ・コーダイ准将一家4人

  ディオ・アイザール准将一家5人

 合計13名が集まった。

 「それでは、皆様。 こちらへ」

 軍事宇宙港の一番奥のボーディングブリッジには、今迄に見たことの無いグレー色の中型戦艦が繋がれていた。

 「今回は、この船で向かいます」

 リウの案内が続く。


 全員が乗艦するとドアが閉まり、自動で全てが作動し始める。

 ボーディングブリッジが離れて行く様子がスクリーンに写し出され、子供達が興味津津で、あっちこっち駆けずり回る。


 ルー少将、コーダイ准将、アイザール准将が一様に口を揃えて、

 「リウ、司令官。 この艦は......」

 質問が飛ぶ。

 「まあ、ちょっと待って」

 「答える前に出発します。 直ぐ着いちゃうから」

 「戦艦クレアシオン発進」

 レイが合図を出すと、機械兵が操作を始めて、艦が動き始めた。

 ブライドフュール渓谷迄は、あっという間、3分程度で到着。

 総帥所有の別荘の中庭に着陸すると、先に到着していたレアー号と、もう1隻レアー号とよく似た同型艦が並んでいた。


 搭乗用のエレベーターが地面と接続したので、リウが、

 「皆様、到着しましたので、さっさと降りましょう。 見学会は別のタイミングで開きます」

 再び案内を開始。

 レアー号はシールドを最大レベルに上げて、別荘地全域を守る防御モードに切り替わった。 


 リウの案内のもと、別荘地に降り立つと、8人家族一組と3人家族一組、それにその二組の側近10名の合計21名が、リウ一行13名を出迎えた。

 ルー少将が驚いていた顔をして、リウに語りかける。

 「あの方達は、もしかして......」

 「今回の特別ゲストだよ」

 リウは言いながら、五十代半ばの男に歩み寄って挨拶する。

 「丞相閣下ようこそ。 漸く約束を果たせる時が来ました」

 同時に、若い女性がリウに抱きつく。

 「リウ、2ヶ月ぶり〜」

 若い女性は、エミーナであった。


 そう、リョウ・シヴァ丞相一家とエリー・シュンゲン一家をリウが極秘招待していたのだ。

 リウが、抱きついたエミーナを軽々と抱えたまま、エリー一家にも挨拶する。

 「お久しぶりです。 エリーさん」

 「惑星アルテミスでは、色々有りましたが、今回はゆっくりして下さい」


 

 「普段は非常に忙しい皆様が、家族サービスも出来るように、アーゼル財閥総帥ラーナベルト・アーゼルが所有するこの風光明媚な別荘地にて、三国同盟が建造している新型艦の最終進化バージョンのお披露目をすることにしました」

 「ノイエ国軍も、新型艦建造計画に加わったことで、システム制御の西上国、メカニック技術のアルテミス王国、バイオ技術の新合衆国ノイエの3つのピースが全て揃い、新設計の艦の全能力が発揮出来る状況になったのです」

 リウが全員の前で説明する。


 「明日には、ASJグループのCEOナタリー・シュンゲン様、SAV社のナミュール・シン会長、JJ・R・アーガン社のAA・アーガンCEOも、この場所を訪れ、シヴァ丞相も出席頂いての重要なお披露目会が行なわます」


 「後ろを見て下さい。 子供達が無邪気に戯れていますよね。 漸く設計通り完成する新型艦隊は、その威力を全発揮出来るようになり、テラ帝國に対して、三十年以上の技術的アドヴァンテージを得ることになりました。 あの子供達が大人になる迄、安泰になったとも言えます」

 「しかし、技術的アドヴァンテージは万全ではありません。 努力を怠れば、先の大戦の様な危機が再び訪れることでしょう」

 「子供達の為にも、私達はいま出来る努力を怠らないようにしましょう」

 リウが演説を終えると、拍手が起きた。

 「リウ、良い演説だったぞ~。 リウならフォー・プロシードに勝てるな。 今から国家元首選挙に立候補してくれ〜」

 ルー少将がお願いする。


 「嫌だよ。 私、政治家だけにはならないからね」

 リウが拒否する。

 「それって、丞相の立場が......」

 リウの答えをエミーナが皮肉る。

 「いやいや、そうじゃ無いんだけど」

 やや焦るリウ。

 「リウさんみたいな強い方が、我が国の政治家で居たら、私なんかいつもやり込められて、冷や汗の連続だよ」

 丞相が大笑いしながら、冷やかす。


 「貴方が、ジョン・ルー提督ですね。 リウさんから伺っていますよ。 なかなかの美丈夫で、ノイエ国軍随一の提督になる人物だと」

 シヴァ丞相は、ルー少将に歩み寄って話し掛ける。

 「いやいや恐縮です。 リウが大袈裟な言い方をしているだけですよ。 丞相閣下の御高名は勿論存じ上げております。こちらこそお見知り置きを」

 ジョンは答えて、丞相が差し出した右手に両手で握手をした。


 「いやあ、凄いところに来ちゃったなあ。 私みたいな凡人が居て良い場所なのか......」

 コーダイ准将が呟く。

 「それは、私も一緒ですよ」

 レイも同意して、

 「アイザール先輩みたいに、財閥に戻ったら役員になる方は、こういう場に慣れておいた方が良いですよ」


 「私だって、丞相閣下を目の前で見るのは始めてだぞ。 シュンゲン三姉妹さん達は、遠くから見たこと有るけど......」

 アイザール准将が答える。


 「そこの3人の准将方。 あまり気を使わないで下さいね。 今回は私のゲストなのですから、丞相閣下といえども対等の立場っていうことで」

 「丞相閣下、それで宜しいですよね?」

 「そうですよ。 私も今回はあくまで休暇で遊びに来た、子だくさん一家の父親ですからね」

 「子供達を見て御覧なさい。 親の立場とか関係無く、みんなで遊んでいますよ。 年齢も近いですから」

 丞相がその様子を見ながら、目を細める。


 年長者が年少者を労りながら、はしゃいでいる子供達。

 エミーナや2人の准将夫人が駆けずり回る子供達に手を焼きながら、一緒に過ごす楽しそうな雰囲気は、みんなを和ませるものであった......


 エリー・シュンゲン一家は、16歳の一人娘を連れて来ていた。

 流石に世代が違うので、他の家族の子供達とは異なり、両親と一緒に別荘の建物内に入り、2階のデッキでくつろいでいた。

 エリーがみんなに、

 「せっかくのリゾートなのだから、何時までもビジネスライクな話をしていないで、寛いだら?」

 丞相の次の年長者らしい言葉で、場の雰囲気を変える。


 「皆さん、エリーさんの言葉に従いましょう」

 「この一帯の防衛は、レアー号が行っていますので、安心して過ごして下さい」

 リウがこの様に言ったのをきっかけにして、それぞれリラックスモードに入った。


 リウが別荘の2階のデッキに上がって来て、立ったままテラスからの景色を眺めている。

 その様子を見ていた、エリーの一人娘「キーラ」が、母に話し掛けた。

 「あの女性ひとは?」

 「今回招いてくれた、リウ・アーゼルさんよ」

 「へ〜。 アルテミス王国で英雄視されている方が、実はあれ程綺麗な人だなんて、ちょっと不思議」

 「話し掛けて来てもイイ?」

 「行って来たら?」


 キーラは立ち上がると、リウの方に向かい、話し掛ける。

 「初めまして。 エリーの娘のキーラといいます」

 「キーラさん、初めまして。 リウです。 お見知り置きを」

 キーラは、リウをじっと見つめる。

 『いいなー。 私もこんな感じだったらな〜』


 「質問しても良いですか?」

 「難しい質問じゃなければ、イイですよ」

 「こんなに綺麗なのに、どうして女性だということを公表しないのですか?」

 「あら、いきなり本題ね」

 リウは笑う。

 「もし、私がアルテミス王国人だったら、もう公表しているわね〜。 アルテミス王国はリベラルな国だし、キーラさんのお母様のように女性のトップも多いですからね」

 「でも、私の国は少し異なるの。 女性軍人の過去最高位は少将止まりだし、アルテミス王国軍みたいに大将が何人も出ている国とは違うのよ。 経済界だって2割以下だからね。 女性経営者の割合は」

 「見えないガラスの壁が有るのがノイエね」

 リウはわかりやすく理由を説明した。

 「それに」 

 「?」

 「私は11歳迄男として育てられたので、性格が男っぽいから」


 キーラはリウに、

 「お願いが有るんですけど」

 「はい」

 「体触ってもイイですか?」

 「えっ」

 「ダメですか?」

 「女性同士だから、別にイイけど......」

 戸惑うリウ。


 「じゃあ、触りますね」

 「凄い筋肉......」

 キーラが感動を込めて呟く。

 「くすぐったいよ〜」

 「あっ、胸はダメ。 コンプレックスだから」

 リウは

 『ちょっとヤバイ......』

という感じ。

 「髪もサラサラ」

 胸以外、あっちこっち触ってから、

 「イイなぁ~」

 嘆息するキーラ。


 「キーラさんだって、カワイイじゃない?」

 「私みたいな筋肉質な体よりも、女性っぽい方が断然イイと思うけど」

とリウは言ったものの、キーラの憧れは止まらず......

 「これだけ綺麗だと、女性でもキスしたくなっちゃうけど、お母さんとお父さんが居るので、我慢しますね」

 そう言って、イタズラっぽい笑顔を見せるキーラ・シュンゲンであった。

 『大胆な子ね。 まだ若いのに』

 そう思ったリウであった。


 昼食は、自分達で持って来た食材を焼いて食べるBBQとなった。

 子供達が走り回る中、みんなで頬張るBBQ。

 『こういう普通な時間、重要だね』

 この場に居る大人達は、皆そう思ったのであった。


 午後は、はしゃぎ過ぎた子供達も疲れて静かになったので、 めいめいがノンビリ過ごす時間となった。


 リウはレイと一緒に、近くの湖に向かっていた。

 「リウ様、ここに来たことが有るのですか?」

 「有るよ〜。 子供の頃だけど、ロングバケーションの時にね」

 「まさか、アルテミス王国滞在時に交わした西上国との契約での約束を、ここで披露する形になるとは思いもよりませんでした」

 「みんなが出征に向けて頑張っているから、その慰労を兼ねてだよ。 おそらく出征後に、こういう時間を作るのは難しいだろうからね」

 「レアー号とそっくりな、もう1隻の艦艇は?」

 レイが確認する。

 「あれは、丞相一家にプレゼントしたんだよ。 今更だけど、丞相とエミーナの結婚祝いかな?」

 「1隻造るのも2隻造るのも、あまり値段が変わらないって話だったからね。 レアー号とほぼ同じ性能だよ。 生体頭脳は無くて、内装はだいぶ異なるけど」

 リウはそう説明した。


 「丞相一家は今回、3週間のバカンスで来たという形になっているんだよ、表向きは。 戦争もひと息ついたからね。 でも今回のお披露目会とそれに伴う会議は、結構重要だから。 西上国にとっても」

 特に、滅多に表に出ないエルフィン人のAAさんとの会合が、丞相にとっても重要なのであると。


 「間もなく、湖畔ですね」

 「子供の頃は、ここの景色が大好きだったなあ~」

 湖畔に着くとリウは、そう漏らした。

 「厳しい教育と躾で、辛くて暗い子供時代だったけど、御祖父様の目が届きにくいこの別荘地で、1人ここに来て、何も考えず『ぼ~っ』と過ごす時間が、唯一の息抜きだったなあ」


 「今、レイとここに来れて幸せ」

 湖畔のベンチに2人で座った時に、リウはそう言うと、レイの腕に抱きついて、寄り掛かって離れないのであった。


 黙ったまま、2人でずっと過ごしたこの時間。

 リウとレイに取って、一生忘れ得ぬ瞬間の一つとなった......



 「さて、そろそろ戻ろうか? この地は夕方から急速に冷えるんだよね」

 「夕食はどうするのですか?」

 「御祖父様のこの別荘地の隣は、アーゼル財閥系の超高級リゾートなのだよ、レイ君」

 「はい、存じ上げております」

 「そこの総料理長が監修したフルコースディナーが、今日の夕食でござる」

 リウはちょっとふざけた口調で、説明するのだった。


 別荘の建物に戻ると、ロボット達が夕食の準備に取り掛かっていた。

 総料理長のメニューを忠実に再現する、調理ロボット達。

 子供達は、その様子を珍しげに眺めている。

 「こうやって、ロボットが作る姿、珍しいですからね」

 「今の時代は、食材をセットすれば、自動調理器が全部作ってくれちゃうから」

 子供達の姿を見て、レイがリウにそう話し掛ける。


 「皆様方は、ご自分達で料理されること有りますか?」

 リウが皆さんに質問する。

 「有る方」

 すると、コーダイ准将とコーダイ准将夫人、アイザール准将とアイザール准将夫人、エミーナが手をあげた。

 「無い方」

 丞相に、リウとエリー、レイとルー姉弟が手をあげる。


 「小さい子供が居ると、料理するのかもね」

 エリーが感想を述べる。

 「自動調理器でも、十分美味しいのだけど、味が同じになっちゃうから、たまに自分達で作ってみるのですよ」

 ミカ・アイザール夫人が手作り料理をする理由について、説明する。

 「うちも同じ理由ですよ」

 エミーナも同意する。

 「うちもです」

 アンナ・コーダイ夫人もであった。


 「さて、皆さん。 お腹も空いたでしょうし、フルコースディナーを頂きましょう」

 リウが頃合いを見て、テーブルに座るよう全員に薦めるのだった。


 夕食後、子供達は母親に連れられて、それぞれの部屋に入っていった。

 子だくさんのエミーナは、側近3人と一緒に一番大きな部屋に。

 

 残りの大人達は、煖炉のあるバー併設のダイニング・ルームで酒を片手にくつろぎ始めた。

 「リウ、今回はありがとう。 酔っ払う前に礼を言っておくよ」

 ルー少将が、早くも感謝を述べる。

 「小官等も御相伴に預かり、ありがとうございます」

とコーダイ准将が准将3人を代表してリウに御礼を言った。

 「えー、そんなにかしこまらないでよ。 明日はVIPだらけなので、警護に従事してもらおうと思って」

 リウが冗談を言う。

 「私と仲の悪い御祖父様の別荘だし、どうせ殆ど使って無いんだろうから、遠慮しないで下さい」


 「明日は、滅多に会うことの出来ない方も来られるからね~」

 そう言って丞相は、エルフィン人のトップの方と会えるのを楽しみにしているようだ。

 「リウさんは、会ったこと有るの?」 

 「11歳の時、宇宙港で撃たれて死にかけた時に、緊急処置して助けてくれたエルフィン人の方が、そうだったらしいのです。 最近迄知りませんでした」


 「各国の大企業のトップがここに来る理由は、どういうものなのですか?」

 アイザール准将が尋ねる。

 「その一つは、新型艦隊の最終整備計画についてだよ。 今回ノイエ国も加わったので、各艦に新しい中枢頭脳を搭載するスケジュールの調整と、一番導入が遅れているノイエ国への導入に関する受注調整だね」

 丞相が簡単に説明した。

 「各艦艇の値段は一律に決まっているので、あとは各社の造艦力を見て割り振らないと、整備が追い付かないから」


 「現在は、アーゼル財閥のディアナ造艦所と我が国の造艦工廠、SAV社のアフロディア造艦所と3箇所で作っているけど、年間500隻弱建艦するのが限界なので、今後はASJグループにも造って貰うことになるのかな? エリーさん」

 

 「そういうことになるらしいけど、決めるのは明日来るナタリー姉様だから」

 「ASJだと年間100隻ぐらいしか造れないでしょうね」

 エリーは答えた。


 「アーゼル財閥のティアーの造艦所でも造るようになるので、年間最大700隻位にはなるかな?」

 「旧型艦の耐用年数とかも考慮して、生産を割り振り直し、年間500隻位で新旧交代させて行く形がベストだろうね」

 

 「それともう一つの目的が、帝國との停戦後を見据えた、拠点確保に向けた初期段階の話し合いだね」

 「今度、ノイエ軍が実施する作戦が成功すれば、西上国とアルテミス王国で小星系を一つずつ譲り受けて、そこに将来に向けた基礎を作っていこうという話しだよ」


 「成功を確実にするために、リウさん。 当国の艦隊も実際に動かして、帝國側の星系を1つか2つ攻略することに決めたよ」

 「新連合政府の国家元首就任日の翌日から軍を動かすので、それに合わせて、その1週間後にルーナ大将の4個艦隊が正面から侵攻する形でどう?」

 リウは丞相から具体的な軍事行動の日付を提案された。

 「そうして頂けるなら、そこに合わせてルー提督と私も、帝國領に向かいます」

 「次は惑星ネイト・アミューで会いましょう」

 リウはそう答えた。

 『ネイト・アミュー、旧ムーアー国の首都星だな』

 レイは心の中で、そう呟いた。


 「失敗の可能性を考えないのかい?っていう顔を皆さんしているね」

 シヴァ丞相は、グラスを傾けながら、ルー少将やコーダイ准将の顔を見てそう話した。

 「二世皇帝は『理由が付けば、放棄したい』と内心思っている領域だから、攻めて来たら手放すだろう。 帝國軍は旧ムーアー領域を維持する為の絶対的艦艇数も足りないから」

 「問題は、占領を維持出来るだけの経済力を作り出せるかだね。 現状帝國は税収を少ししか得られていないから、重い負担に苦しんでいる」

 「侵攻は成功するよ。 間違いなく」

 丞相は、そう語った。


 「名将のシヴァ丞相にそう言って頂ければ、心強いです。 それでリウには、その先の経済活性化の展望は有るの?」

 ルー少将が尋ねる。


 「有るような無いような。 自給自足を目指します」

 リウは答えをはぐらかした。


 「あの領域は、遠い帝國領であるよりも、近い三国同盟領である方が、発展出来るね。 帝國と三国同盟間の交易中継地点となれば、一気に活気づくのだろうけど」

 「まあ、次の出征の話はこれぐらいにして、グラスを傾けながら、ゆっくり過ごしましょう」

 丞相がそう話したことで、無粋な話題は終了し、更けゆく夜を酒を交わして、ゆったり過ごす提督達であった。


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