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【完結から1年。順次補正中】正史・銀河四國史(未来における英雄の生涯)  作者: 嶋 秀
RIU・龍翔篇

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第36話(最後の晩餐会)

リュウは、中央捜査局の尾行には、別の犯罪が関わっていると予想していた。


そして結果は、晩餐会で......


 レイは、クメルホテルに到着する時に、リュウに連絡を入れた。


 受付で用件を言って、生体身分証を提出。


 三国同盟の市民の身分証は同一の規格なので、国家間の移動でも、短期間の場合には、他の認可証やパスポートの様なものは必要ない。


 チェックされると、通常の荷物・身体検査場へ。


 その先ではリュウが待っていた。

 「レイ、半日ぶり〜」

と言って抱きつくリュウ。

 「リュウ様、ここでは有名人なので、少し恥ずかしいです」

 そう言いながらも、再会のキスをして、リュウの案内で中へ入っていった。

 

 「リュウ様、尾行者に反撃したのでしょ?」

 「外は、ちょっとした騒ぎになっていますよ。 ノイエ軍内でも、『何か有ったらしい』って噂が流れてましたから......」

と確認するレイ。


 「あまりにも大勢で私を見張っているから、少し頭にきちゃって」

 リュウは理由を答える。

 レイは、その状況をリュウから簡単に教えて貰い、

 「しかし、丞相の軍隊に拘束させるとは。 ちょっとお灸を据え過ぎかもしれないですね」 

 「何はともあれ、リュウ様が無事ならば、私にはそれで十分です」


 レイは、リュウに連れられた部屋に行くと、エミーナと見たことの無い中年の男が二人が座っていた。


 エミーナがレイに気付くと、

 「大佐のお蔭で、昨日のテロで主人は無傷でした。 ありがとうございます」 

 珍しく、丁寧に御礼を言われたので、

 「丞相夫人。 御礼は父に言って下さい。 何処に居るのかわからない人ですが、情報が貰えなければ、私も死んでいたかもしれませんから」

と返答する。


 続けてレイが、

 「こちらのお二方は?」

と尋ねると、

 「レイを疑っていた王国の捜査部門の大馬鹿幹部だよ」

 リュウが怒りを込めた口調で言う。


 それを聞いてもレイは、二人を一瞥しただけで、特に反応を見せることはなかった。

 リュウは、

 「私はブチギレしたのに、レイって大人だなあ」

と思って目を輝かせる。

 その眼差しに気付いたレイは、リュウに、

 「私は、訓練されているので、喜怒哀楽はリュウ様にしか見せませんよ」

 惚気みたいなセリフを吐いた。


 でもリュウとエミーナは、その言葉を聞いて、

 『と言うことは、レイも内心怒っているんだ』

と思ったのであった。



 この時、エリー・シュンゲンは、丞相と会談中であった。

 「お義姉さん、なかなか挨拶出来なくて申し訳ないです」

と丞相。

 「丞相閣下は大変お忙しいので、そのようなこと気にしないで下さい。 私もかなり忙しいので、状況は同じですから」

と答えて笑うエリー。

 「今回は、色々と当国政府がご迷惑をお掛けしたようで申し訳ありません。 テロを防ぐことが出来なかったのに、丞相やノイエ軍を疑ってかかったようで......」

 「いえいえ、こちらこそ無理言ってお借りしたホテルを半壊させる様な出来事が発生してしまい、申し訳ない。 補償をさせて下さい」

 双方挨拶を交わす。


 「今回、どのような措置をされましたら、丞相閣下としてはご納得頂けるでしょうか?」

 エリーが具体的な条件を聞き出そうと尋ねてみると、丞相は笑うだけだった。

 「丞相閣下、どうなされましたか?」

 「アルテミス王国政府は、些細なことに随分気を遣われているのだと思いまして」

 「私は、アルテミスの捜査局が、私やプロクター少将を疑ってかかったことを別に怒ったりしていませんよ」


 「ただ、私が怒っているとしたら、それは捜査局が私の若い親友、リュウ・アーゼルやレイカー・アーサに対して、尾行したり監視したことでしょうね」

 「テロの被害を最小限にすることに尽力した人達を、その努力を逆に疑う理由にして嫌がらせをした。 これは絶対に許せません」

 「だから、お義姉さん。 アルテミス王国政府が許しを乞うのなら、あの二人に対してですよ。 私に対してではありません」

 「帰られたら、リウトン首相にそうお伝え下さい」

 丞相は理路整然と答えるのだった。


 『流石、妹の旦那。 友人を大事にする方だとは聞いていたけど......リュウちゃんと大佐、そこまで丞相の信任を得ているたとは......これは少し難しいことになった』

 そう感じたエリー。

 「では、軟禁中の捜査官2名の措置についても、同様ですか?」

 「そうです。 リュウ殿がダメだと言ったら解放しません。 本国に連れて帰り、ストーカー罪で裁判に掛けて処分させて頂きます。 国外追放で終わりでしょうが」

 質問に対して、その様に丞相は回答した。


 「わかりました。 どのようにしたら、二人が納得出来るか、私なりに考えてみます」

 「お忙しい中、時間を取って頂き、ありがとうございました」

 エリーは丁寧に挨拶をして、丞相との会談を終了した。



 エリーが控え室に戻ると、リュウは居なかった。

 「エミーナ、リュウちゃんは?」

と尋ねると、

 「主人に呼ばれて出て行ったよ。 迎えに来た彼氏と一緒に」

と答えたので、

 「彼氏ってアーサ大佐?」

 エリーは、一応確認すると、

 「そうだよ」

 「直ぐ戻ってきそう?」

 「多分戻って来ないね、夕食の誘いだったから。 私も行かなきゃ。 じゃあねエリーお姉ちゃん、明日ね〜」

と言って、エミーナも出て行ってしまった。


 残された3人。

 「COO、結論は?」

 ガックリ疲れた様子の長官と局長。

 「この状況見ればわかるでしょ? テロの捜査対象だけではなく、政府は謝る相手も間違えたの」

 「こうなったら仕方ないわね。 中央捜査局の幹部と今回の捜査に関わった全員の辞表を私に預けて頂戴。 それで勝負するわ。 駄目だったら、長官も含めて全員辞めて頂きます」

 エリーは二人に告げて、首相府に戻るのであった。



 クメルホテル内のレストラン「ハノン」

 丞相は、夫人と子供達とリュウとレイとで夕食の席に着いていた。

 「明日は晩餐会、明後日で帰国してしまうから、今日を逃すと機会が無いのでね~」

 リュウとレイに夕食を招待した理由を説明する丞相。

 すると、

 「二人をお姉ちゃんに会わせないようにしたんでしょ? 絶妙なタイミングだったもん」

とエミーナに言われてしまった。

 「ああ、バレちゃったか~」

 丞相は苦笑い。


 「お姉ちゃんって?」

 レイが尋ねると、

 「エミーナのお姉ちゃん。 今回の尾行の件で政府の代わりに謝りに来たんだよ」

とリュウが答える。

 「最後にリュウちゃんとレイに会わせないようにしたのは、アルテミス政府に、もう一日悩めってコトでしょ? あなた」

 エミーナは夫の真意を確認する。

 「見抜いていたか~。 流石我が妻よ」

 「謝る相手が違うんじゃないってことだよ。 僕やエミーナが尾行されたり監視されたわけじゃないからね」

 丞相は妻に理由を説明する。

 「そういうことで、明日何らかの動きが二人に対して有ると思うけど、それを受け入れるかどうかは任せます」

 「任せます、リュウ様」

 丞相の言葉に続けたレイ。

 「えっ、全部私?」

 リュウは最終判断を任されたと気付く。

 「とりあえず、美味しい料理を頂きましょう。 昨日命を張ったリュウ様への感謝ですよね? 丞相閣下」

 レイがこの話を締めて、夕食会は始まったのだった。



 首相府に戻ったエリー。

 丞相に謝罪を受け入れて貰えなかったことを伝えると、首相は固まってしまった。

 「仕方ないですよ。 捜査局が尾行したのは丞相夫妻じゃなくて、ノイエ国軍のアーサ大佐とリュウお嬢様に対してですから......」

 「リュウお嬢様って、まさか」

 「はい、アーゼル財閥の」

 「......」

 首相はそれを聞くと、泡を吹いて倒れてしまった。


 「ちょっと、刺激が強すぎたみたいね」

 エリーはそう言ってから、秘書官達を呼び、首相を横にさせる。


 暫くして正気を取り戻したリウトン首相。

 そして、怒りの矛先は捜査局へ。

 「もう良い。 全員解雇だ」

 「テロの容疑者として、他国の軍の高官と大財閥の一族に連なる者を尾行しただと? ゴシップ誌の記者か? 中央捜査局の捜査官は......」

 「私もそう思います。 呆れてものも言えません」

 「とは言え、一度引き受けた以上、成功させるのが私の使命」

 「明日、何とかリュウお嬢様と会えるようにセッティングして、赦して頂けるよう努めますから......」

 エリーは首相に最後の策を提案しながら、

 「ただ、中央捜査局の幹部と今回テロ捜査に従事した捜査官全員の辞表を預からせて頂きます。 今すぐ」

 首相に語気強く迫り、1時間後に全員の辞表をエリーは受け取ってから帰宅したのだった。



 翌日、リュウとレイは、まだアルテミス・クメルホテルに居た。

 夕食会で遅くなったので、クメルホテルの空き部屋に宿泊させて貰ったのだ。

 しかもプレジデントスイートルームという最高級の部屋に。

 二人にとって、いつも以上の甘美な夜になったことは言うまでも無い......


 二人は起きたら、もう結構な遅い時間......

 「レイ、もう起きないと......」

 直ぐ隣で全裸で寝ている彼氏を起こすリュウ。

 レイは、

 「むにゃむにゃ......」

という感じでまだ眠そう。

 リュウの視線がレイの体の下の方に......

 「レイは、まだまだ元気みたいだけどね」

 からかいながら、遅い朝ごはんを注文する。

 あっという間に、隣室にロボット達が朝ごはんを並べて立ち去る。


 二人が朝食を食べながら、相変わらずのラブラブ会話をしていると、エミーナからリュウに連絡が入った。

 「二人は、いつまで寝てるのよ~。 その部屋だと燃える夜だったのは分かるけどさ〜 仕事の予定は?」

と聞かれると、

 「少将は本日も体調不良の為、お休みです」

と答えるリュウ。


 「エリーお姉ちゃんがリュウお嬢様と会って話がしたいんだって。 さっきから何回も連絡入っていたけど、二人の邪魔しちゃいけないと思ってね」

 「会う? それとも逃げる?」

 エミーナに尋ねられたリュウは、

 「そこまで会いたいんだったら、別に構わないよ。 昨日の話の続きでしょ?」

と答えたところ、

 「じゃあ、この間の丞相の待合室で。 もうお姉ちゃん来ているから」

と聞かされ、

 「流石、才媛の三姉妹って言われているだけ有るね。 逃げれないように、もうこの建物に居るとは」

 冷静に状況を判断するレイ。


 「レイも同席してよ~」

 リュウはお願いするも、

 「リュウ様、エリーさんは一対一で話をしたいのだと思いますよ」

 「恐らく、捜査局全員の辞表を預かって来てますね」

 「その意気込みにどう立ち向かうのか? 私はリュウ・アーゼル様のその姿が見たいのです!!」

 妙に一人で盛り上がるレイ。

 『そうだった。 レイはそういう私の姿に燃える質だった』

 「わかったよ~。 ちゃんと結論出して来ます」

とややトーンダウンするリュウ。

 「では、いざ出陣」



 丞相が居るフロアの待合室に行くと、既にエリー・シュンゲンがリュウを待っていた。

 リュウは、

 「すいません、こんな格好で。 昨日帰らなかったんです」

 ただのスポーツブランドのウエアーを来ているだけの姿を謝罪したのに対して、エリーはビシッと着こなしたスーツ姿という対照的な格好であった。


 早速、話をする為、貸切のラウンジに案内され、開口一番エリーは、

 「昨日、丞相閣下に怒られてしまいましたわ。」

 「謝る相手を間違えているのではないか? とね」

 「権力者の方ばかり見るようになっては、私もだめね~」

 「本当にごめんなさい。 今回一番嫌な思いをしたのはリュウさんだものね」

 先ず謝罪をした。


 「エリーさんは、どうして政府の代わりに交渉する役目を引き続き受けたのですか? 今回丞相に謝罪を受け入れられなかった時点で、お役御免だと思いますが」

 リュウは理由を尋ねる。

 「一度引き受けたら、結論が出る迄やり抜くっていうことかしらね」

 自身の意地だと答えるエリー。


 「それにしても、今回の捜査局のやり方はあまりにも雑で、酷すぎると思うわ。 まさかこれが自分が住む国の、権力を行使する側の人達の現実だと思うと、本当にがっかりするわね」

 「それに、貴方はあまりにも綺麗だから、捜査官の中に隠れた異常性癖があって、もう少し発覚が遅かったら、そういう視点から監視されたり尾行されたかもしれないものね」

 「だから、謝っても謝り切れないわ」

 女性目線らしい言い方でも謝罪を続けるエリー。


 リュウは、

 「私の要望は2つです。 1つ目は公の場での正式な謝罪。 これは今後同じ様なことを起こさない為の戒めとしてです。 私や大佐に謝罪するのでは無く、国民に向かってですね」

 「2つ目は、中央捜査局の解散。 事実発覚後も隠蔽工作や逃げの姿勢に徹して矢面に立とうとしないことから、組織として腐敗しきっていて、立て直しは難しいでしょう。 このまま放置すると、尾行や監視が性的な犯罪に繋がるおそれもありますし」

 「以上のことを実行して頂けるのならば、今回の件は終わりにしますが、出来ますか? 2つ目はかなり厳しい要求ですよ」

と申し入れた。


 エリーは、

 「今、ここに今回の件に関わった捜査官と捜査幹部の辞表があります。 これを実行する形ではダメかしら? 2個目の要望が少し厳しいので......」

 代案を申し出るも、リュウは、

 「個別に関わった人の処罰を求める気はありません。 その人達にだって家族も居るし、生活もある。 元々は志だってあった筈です。 それを潰さないためにも、組織を大きく変えて、新生された方が良いと思いますが......」

 リュウは要望の真意を述べたところ、

 「これは、私が間違っていたわ。 リュウさんの2つの要望直ぐに持ち帰って、実行を求めて来ますから、少し時間を下さい」

とエリーは答えた。


 話し合いは一旦終了し、ラウンジの外にはリュウを待つレイの姿が有った。

 エリーはレイに向かって会釈をすると、そのまま首相府に行く為、颯爽と立ち去っていった。


 レイはリュウに、

 「要望は伝えたんだね。 結構厳しい要望をしたのでしょ? あの人の様子を見ると」

と尋ねると、

 「安易に人を監視したり、尾行したりして欲しく無いから、厳しいこと言ったよ」

 「実現は難しいと思うけどね。 努力はして欲しいなって感じかな?」

と本音をレイに語ったのだった。



 エリーは首相府に着いてから、首相や秘書官達と話し合いをした。

 予想外だったのは、2つ目の要望はあっさり受け入れられたのだ。

 女性秘書官達が、捜査官の安易な権力濫用が、性的な犯罪に繋がる危険性が高いという部分に共感を覚えて、強力にプッシュしてくれたからであろう。

 首相も、テロとは無関係だろう財閥令嬢の尾行や監視をしていたという部分に危機感を覚えたようだ。

 中央捜査局だけではなく、国中央の捜査部門を解体し、地方の捜査局と中央検察という形にスリム化する方向になりそうだ。


 ただ逆に1個目の条件を首相は渋った。

 やはり、それは統合政府の国家元首選挙が3ヶ月後に迫っていたからである。



 夕方近くになって、漸く報告出来る形となったが、リュウに連絡を取ろうとするも、所在不明で連絡が付かないとエミーナから。

 「困ったわね~。 王室の晩餐会も始まってしまうし」

と思ったエリーは、ひとまず晩餐会に出席することにした。



 他の姉妹と共に、会場のアルテミス・クラシックホテルに到着したエリー。

 王宮の修復が続いているため、今回は惑星アルテミスで最も格式の高いクラシックホテルの大会場で行われる。


 今日の晩餐会は、アルテミス王室主催でリョウ・シヴァ丞相を饗す為に行われるものだ。

 戦勝祝賀も兼ねたものでもある。


 エリーも、姉のナタリー、妹のナミーと共に、会場内に入ると、何だかいつもと異なる雰囲気を感じた。

 どうもそれは、滅多に社交界に出席しない人が、急遽サプライズ出席しているからのようだ。

 何だかザワザワしていて、落ち着かない雰囲気。


 みんなの視線が、その人に向いている。

 それは、リュウ・アーゼルであった。

 シヴァ丞相と同じテーブルに座るリュウ。

 丞相やエミーナと楽しそうに会話をしているそのドレス姿は、ひと際目を引いていた。


 エリーは、

 『まさか』

という感があった。

 つい数時間前に会ったときは、出席するような素振りは一切無かったのに......

 もしかしたら......

 『さっきの要望の結論を聞く為だけに、晩餐会に出席した』

のかもしれない。

 何故なら、彼女は社交界の選民意識の雰囲気が嫌いで、若い頃数回出席が有ったのみ。

 以後一切出ないことで知られている

 『アルテミス王国社交界きっての伝説の美女』

だからだ。


 晩餐会が始まり、華やかな雰囲気に包まれる会場。

 我先にと、リュウのもとには華やかな若い男達が集まるも、リュウは全て断っている

 「私は、間もなく結婚しますので」

と言っているようだ。

 丞相夫妻も、

 「人妻になる人に声を掛けるのはご法度だよ」

とアシストしている。


 暫くして気が付くと、エリーの隣にリュウが居た。

 「エリーさん、楽しんでらっしゃいますか?」 

 そう声を掛けられたので、

 「リュウさん、もしかして......」

 「そうです。 結果を聞くために、滅多に出席しない晩餐会に来てみました」

と笑顔で答える。

 昨日と今朝見たスポーティーな姿のリュウ・アーゼルとは別人と思える程の華やかさを醸し出していて、女性でも見惚れてしまうくらいだった。


 「午前中は、すいませんでした。 あまりにも適当な姿で応対してしまい......総帥には言わないで下さいね」

 ただ話しているだけの姿にも、何だか吸い込まれてしまいそうな雰囲気を感じる。


 『昨日のあの怒鳴りつけてる姿が嘘のようだ』

 そんなことを考えていると、リュウは、

 「エリーさんが、いま考えていたことを当ててみましょう」

と言ってから、

 「昨日のブチギレ姿と今、どっちが本当なのだろうでしょ?」

 そして、

 「本当の姿は昨日の方ですね。 今は作っている偽者です」

と正直に答えた。


 「ところで、首相府に持ち帰って、結論は出ましたか?」

と確認される。

 「2つ目の方は、受け容れられましたが、1つ目が選挙があるのでと渋られてしまい......すいません本当に」

 エリーが謝ると、

 「ありがとうございます。 そこまで頑張って頂いて」

 「拘束されている捜査官は、解放致します。 これ以上丞相に迷惑を掛けられないし」

と言い残すと、笑顔で席に戻って行った。


 エリーは、「一陣の風」と言った感じだなあと思っていたところ、暫く経ってから改めて探してみたところ、既にリュウの姿は晩餐会から消えていた。

 あの後直ぐに、丞相夫妻に挨拶して姿を晦ましたらしい。

 『あの子らしいのは、あのスポーツウエアー姿の方かな?』

 さっきの会話を思い出して、少し笑ってしまうエリー・シュンゲンであった。


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