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【完結から1年。順次補正中】正史・銀河四國史(未来における英雄の生涯)  作者: 嶋 秀
RIU・龍翔篇

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第31話(リュウの決意)

リュウは、夢を見た。


それは、正夢になるのか......


 レイに言われた通り、準備を整えていたリュウ。


 涙の痕が残らないように、少し時間を置いてから出発した。

『『ところで、丞相と何の話しをするの?』

とリュウは尋ねると、レイは、

 『嫌だなあ、リュウ様と私の結婚予定のご報告ですよ』

と真面目な顔をして答える。

 『えッ、私、そのつもりだけど、レイにそんなこと言ったっけ......』』



 「リュウ様、起きて下さい」

 「そろそろ、約束した時間が近づいて来ましたので」

 レイに起こされたところで、夢から醒めた。

 「あ、夢か〜」

 リュウが呟いたのを聞いて、

 「リュウ様、夢を見ていたのですか?」

と尋ねられる。

 「大事な夢なんだけど、夢ならば大したものではない......」

と相反するワードを繋げた一言を呟いたので、キョトンとするレイ。


 「間もなく、丞相との約束の時間です。 行きましょう」

と促すレイ。

 「丞相と何の話しをするの?」

 確認をするリュウ。

 レイが、

 「嫌だなあ、契約締結への最終打ち合わせですよ」

と答えるとリュウは夢と異なるやり取りに、

 「......」

 無言のまま、何だか残念そうな顔をするので、

 『???』

 不思議そうな顔をするレイであった。



 丞相を始めとする西上国の代表団が滞在している「アルテミス・クメルホテル」

 西上国の企業「アンコール」が運営する敷地面積10平方キロメートル、高さ1000メートル超の巨大高層ホテルだ。

 現在は、西上国政府が全館借上げしており、政府関係者、軍の関係者、民間企業の交渉団、警備関係者等、ものすごい人でごった返している。


 ホテルの通常の出入口から入り、持ち物・身体検査を受けようとしていたリュウとレイ。

 その2人に気付いた丞相の側近女性が、慌てて近付いてきて、案内と検査の職員に、

 「お二方は、丞相閣下の大事なお客様です。 検査機に掛けるなんて失礼ですから、直ぐお通しして下さい」

と指示をする。

 その対応に、リュウとレイは、

 「別に、検査機通りますよ。 人間が見ていたらちょっと嫌ですが、ロボットが確認するだけですから」

と答え、検査機が人をほぼ丸裸にしてチェックすることに、特別抵抗感は無いと申し出るも、

 「いえいえ、こんなことが知れたら、丞相に怒られてしまいます」

 特別な出入口に回る様に、勧めてくれた。


 すると、リュウが、

 「はい、通っちゃった」

 そう言いながら、笑顔で検査機を通過したので、側近の者は、頭を抱えてしまう。

 『リュウ様、ワザと通ったな』

と見抜いたレイ。

 レイも普通に通過し、

 「リュウ様はともかく、私はごく普通の一般人なので」

と申し出て、そのまま検査通過の許可を得て、ホテル内に入って行くのだった。



 その後、先程の丞相側近の者の案内で、打ち合わせ場所に向かう2人。

 到着時からであるが、西上国の関係者にリュウは顔を知られているので、すれ違う色々な人の注目を集めてしまう。

 「おい、あの人......」

 「相変わらず、超カワイイなー」

 「丞相夫人の親友だよな?」

などと、噂話が耳に入ってくる。


 『相変わらず、西上国だとリュウ様は注目を浴びるなあ~。 確かに背が高くて独特のオーラがあるから、結構目立つんだよね』

 レイが考えながら歩いていると、リュウが手を繋いできた。

 それに対して、レイが強く握り返すと、リュウは一層の笑顔になった。


 「おい、あれ......」

 「あの男、彼氏なのか?」

 「ボディーガードじゃないの?」

 「まあまあの男だけど、釣り合っては無いね〜」

等という噂話も耳に入ってきたが、レイは気にしないことにしている。



 側近の者は、待合室に到着すると、

 「丞相閣下の準備が出来ましたら、声が掛かりますので、それまでここでお待ち下さい」

と仰っしゃってくれたので、

 「わざわざ丁寧な案内、本当にありがとうございます。 お久しぶりですね、エリーさん」

 有名人の超美女リュウ・アーゼルがお礼を述べた上に、名前まで覚えてくれていたことに、エリーという側近の女性は感激している様子だった。


 『こういう、さりげない動作や会話で、人を感激させる才能は生まれ持ったものだよなあ。 この才能はリュウ様もリウも同じ。 同一人物だから当たり前だけど』

 レイは、その様子につくづく感じ入っていた。



 待合室では、何組か呼び出しを待っている状態だったが、リュウは、この時間も楽しそうだった。

 それは、直ぐ隣にレイが居るからだ。

 「レイ」

 「はい、リュウ様」

 「レイ」

 「はい」

 子供の様な会話をしてから、リュウがレイの顔を触る。

 「レイって目が大きいね。 瞳は濃い蒼色かな~」

 「髪は私と同じ焦げ茶色だね~」

 「背は?」

 「185センチです」

 「ぱっと見、優しそうな顔だよね~」

 「お母様の顔が、思い浮かぶよ、レイを見ていると」

 「とても、祖父様じいさまの側近には見えないよね。 祖父様の側近は、レイよりもイケメンが揃っているかもしれないけど、目つきが鋭い人ばかりだものね~」

 「レイ」

 「はい」

 「私だけを見つめて、蒼色の瞳で」

 「私もエメラルドグリーンの瞳で、レイだけを見つめるから......」

 完全に2人だけの世界で、悦に入っていた......



 この時点で、既に呼び出しを受けたリュウとレイ。

 何時までも来ないので、様子を見にシヴァ丞相自ら待合室へ。

 同席する予定の丞相夫人エミーナも気になって、夫と一緒に待合室へ。


 周囲の人は、丞相と丞相夫人が待合室に入って来たのでビックリ。

 皆が立ち上がって挨拶をしかけたところで、丞相とエミーナがその場に居る人に『シー』っと合図し、静かにし続けるように指示。

 そして、2人だけの世界に入っているリュウとレイの背後へ......


 エミーナがリュウの背後から抱き付き、両胸を鷲掴みに。

 リュウがビックリして咄嗟に、

 「キャ〜」

と叫びながらも、不届き者に一撃を加える直前で『エミーナ』だと気付いて、寸止めにしたのであった。

 レイは、丞相に肩を叩かれて、我に返る。

 即、立ち上がって

 「丞相閣下、失礼致しました」

 レイは慌てて謝罪。


 周囲の人は、この様子を見て大爆笑。

 リュウとレイは恥ずかしくなって、真っ赤に。

 丞相は、

 「お二人さん、もう呼び出し掛かってますよ~」

と言って茶化す。

 エミーナは、

 「リュウ、相変わらず胸無いね~」

 「でも、リュウの胸触るのは命懸けだね~。 吹っ飛ばされるところだった」

と語ったので、またも大爆笑の待合室となるのであった。



 シヴァ丞相とエミーナ丞相夫人から、直接のお声掛けの呼び出しで、打ち合わせの部屋に入ったリュウとレイ。

 部屋に入ると、2人は平謝りだったが、

 「あの、リュウがここまで恋に落ちるなんてね~。 以前は『リュウは一生恋をしないんじゃ無いか?』と心配していたんだけど、嘘みたいだね~」

 エミーナが感慨深げに、しみじみと話す。


 丞相も、

 「いやあー、めでたいめでたい。 いつ挙式にしようか?」

 「今日は、その報告で来たんだよね~」

と誂う状態。

 リュウは、それに対し、

 「はい、そうです」

と予想外の返事をしたので、これにも驚く一同。


 「実は......」

 ここに来る直前に見た夢の話しをするリュウ。

 「結果的に、正夢っぽくなっちゃいましたね」

と嬉しそうに話す様子に、エミーナは、

 「本当に、リュウちゃんなの?」

 「あのリュウちゃんが、こんな話しをするようになるとは......」

 更に驚いた様子。


 丞相も、

 「冗談のつもりだったんだけど、でもそういう気持ちなら、惑星アルテミスに居る間に籍を入れても良いのでは?」

 「私達だって、リュウ殿が士官学校入校で惑星アイテールを離れてから、それ程経たずに入籍しているし」

 「2人は出逢ってから9年も経っているんでしょ? まして、その、寿命が短いじゃない? 不老装置の方は」

 気持ちが固まっているのなら、早い方が良いのではと、結婚を薦めるのであった。


 そして、本来の会合の目的は、直ぐに終わった。

 レイは、

 「ノイエ軍と政府担当者との会議では、旧型艦隊の購入を正式に受け入れることになりました」

 「丞相閣下からの条件であった、融資枠の件ですが、1.5兆ノイエドル分は西上国の2つの金融グループからで、決まりです」

 「ノイエ国の6つの金融機関、アルテミス王国の2つの企業から、3.5兆ノイエドル分の融資確約文書を貰ってますので、写しを丞相閣下にお渡ししておきます」

 「西上国のSAVグループとエーテル銀行の融資確約書類は、正式調印の日に、こちらにお渡し下さい」

 流れる様に丞相へ説明すると共に、手際良く書類関係も渡していた。


 リュウは、

 「レイ、超〜手際良いね」

 感動した様子。

 レイは、

 「リュウ様、惚れ直しちゃいそうですか?」

と尋ねると、

 「うん」

という返事。

 この2人の会話に、

 「仕事の話まで、恋の話になっちゃうんじゃあなあ〜」

 『もう止められないよ』

というそぶりをする丞相夫妻。


 レイは、丞相に

 「正式調印式は、文書にノイエ国側の国家元首と軍議長の署名が入ったら、日取りを決めましょう」

 「調印式のノイエ国側代表は、リウ・プロクター少将です」

と言ったので、リュウは、

 「私なの?」

と確認。

 レイは、

 「そうです、リュウ様。 ノイエ国側の指名です」

と答える。

 「西上国側は、どなたの予定ですか?」

と尋ねると、丞相は、

 「日にち次第だね。 私かヒエンのどちらかで」

とおっしゃったので、出席者はその様に決定したのだった。



 丞相は、

 「さてと。 リュウ殿に、レイカー君の話しを少ししておくかな?」

 「今日、レイカー君がリュウ殿を連れて来たのは、そういう話をして欲しいからだろ?」

 今日の会合の席にリュウが同席する必要性が無いのに、レイが連れて来た目的を見抜いて、早速話を始めた。


 「レイカー君、略してレイ君にしておくか。 レイ君はリュウ殿が士官学校入校で我が国を去ってから四年後に、アーゼル財閥の総帥が交渉人として、我が国との大きな商談の際に送り込んで来るようになった方なのだよ」


 「まさか、士官学校でリュウ殿の同期生となって、2人が知り合いだったとは知らなかった」

 「レイ君のご両親は、私直属の諜報員だったから、そういう関係で総帥は送り込んで来たのだろうね」

 「レイ君は、本当にお母様そっくりだよな~。 男の子は母親に似るって、よく言うけど」


 「交渉人として、勿論かなりの腕だよ。 だから今回も裏で色々やってもらってた」

 「まあ、そういう訳で、気を悪くしないでね、リュウ殿」

 「交渉の世界では、事前交渉や裏交渉もよくあることだから......」

と状況を説明したのだった。


 そして、丞相は、

 「きっとリュウ殿のことだから、事前交渉をレイ君がやっていたのを知って、

  ギッチリと、レイ君に落とし前をつけさせた

のでしょ?

  『こいつ〜』

って」

と言ったところ、レイは仕置きを思い出して、少し顔を赤くしてしまった。


 エミーナがその様子の変化に気付き、リュウに

 「リュウちゃん、まさか......」

と言うと、リュウは、

 「それは......ね」

 言葉を濁したので、エミーナは、

 「リュウは力も強いから、レイ君に性的な仕返しを......」

と言いかけて、

 「すっかり、バカップルになっているのね~」

と言い直し、苦笑いをするしか無かった。


 丞相は、エミーナに、

 「バカップルぶりは、私達も負けてないだろ〜。 子供6人も居るんだから」

 「エミーナは若くてカワイイから。 見つめていると抱きたくなっちゃう」

 笑顔で語ったので、エミーナは、

 「人のこと言え無いね 私」

とリュウと顔を見合わせて、笑うのだった。


 丞相とエミーナからは、

 「もう、そういう2人なのだし、入籍を決めたら教えてよ」

 「この惑星は女神の星アルテミスだから、リュウに凄く似合っているし、王室に式の司祭をして貰おうよ」

 「リウのことがあるから、密かにやるしか無いけど、お祝いしたいから」

 「リュウは、私達のキューピットなのだから、恩を返させて」

 その様な話をしてから、この日の会合は終了となった。



 終了後、リュウとレイは、エミーナと一緒に子供達のところへ。

 上の子2人は学校に通っているので、惑星アルテミスに来て居ないが、下の4人の子は母親と一緒にホテルに滞在していたのだ。

 「ママだ〜」

とみんなが駆け寄って来る。

 「綺麗なお姉さん、誰?」

 エミーナに一人の子供が尋ねる。

 「ママのお友達だよ」

って言うと、子供達は目を輝かせる。

 「お姉さん、ママのお友達?」

 リュウは、

 「そうだよ~」

と答えると、

 「ママのお友達、綺麗だね~」

と言って、はしゃぐ。

 リュウは、『綺麗』を連発されて、珍しく嬉しそうにしていた。


 抱っこをせがまれて、リュウが抱っこしてあげると、その子は、胸に顔を埋めようとしたが、

 「お姉さん、ママより柔らかく無いね」

 子供の正直な指摘に、やや顔が引きつる。

 「どうせ、私は胸が小さいですよ」

 エミーナの大きな胸を見ながら、自嘲するリュウ。

 そんなリュウを

 『リュウ様、超カワイイ反応だなあ~』

と見惚れているレイ。

 そんな微笑ましい?シーンが続くのだった。



 暫くエミーナと子供達と過ごしてから、クメルホテルをあとにしたリュウとレイ。


 暗くなった帰り道、手を繋ぐ2人。

 リュウは、レイに

 「正夢になっちゃった」

と嬉しそう。

 レイは、

 「起こした時に呟いた謎の言葉の意味がわかりました」

と言ったので、

 「ノイエに帰る前に、正式に決めようね」

 「レイにとって私は『アルテミス』なのでしょ?」

とリュウは尋ねる。

 レイは、夜空に浮かぶ、惑星アルテミスの2つの月を見つめながら、

 「はい」

と答え、リュウを見つめる。

 直ぐにレイの瞳から、ニ筋の涙が溢れ始める。

 「リュウ様は、女神アルテミスより綺麗です」

 そうリュウに言いながら......


 確かに、誰の目から見ても、この時、

  惑星アルテミスの白い月と橙色の月の2つの明かりが入り混じった淡い光の中に浮かぶ

 『リュウ・アーゼル』

は、

  月の女神以上の神々しさを放っているように見えた

のであった。

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