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【完結から1年。順次補正中】正史・銀河四國史(未来における英雄の生涯)  作者: 嶋 秀
RIU・飛龍篇

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第21話(帝國軍の苦境)

ついに、待ち望んでいた時がやって来た。

クロノス星系を緊急出動してから4ヶ月。

帝國遠征軍は補給切れを起こしたのだった......


 西上国の丞相リョウ・シヴァは、

 「そろそろだな」

と、呟いた。

 そして、コトク大将を呼んだ。


 「リョウ、そろそろノイエに行こうか?」

 開口一番、コトク大将はこのような言葉を発した。

 「もう分かってたか~。 流石は長年の友だ」

 「ノイエは軍の体制を一新し、数年前からの我々の求めに対する、一定の答えを出したからな」

とシヴァは言い、

 「新型艦の1個艦隊を率いて、ディアナ星系経由でノイエ国の首都星系クロノスへ向かってくれ。 帝國の連中が知らない裏ルートの大回り航路を使ってな」

 「そして、リュウ嬢ちゃんが指揮するアルテミス王国軍の新型艦隊と挟み撃ちにして、ノイエ方面に深入りした帝國軍を全滅させるように。 万が一、奴等が降伏したならば、軍艦は没収し、輸送艦に載せて兵員は帝國にすぐ帰させろ。 そうでないとリンチされて全員虐殺させられちゃうだろ? ノイエの国民に......」

 その様に命令を発したのだった。

 この命令は、帝國軍の侵略と包囲を受けて窮地にあるノイエ国を救援する為のものであった......



 アルテミス王国内では、帝國の2個艦隊を殲滅後、ルーナ大将とヒエン大将が、それぞれ率いる艦隊を合流させ、アルテミス星系の少し手前の宙域に駐屯し、首都星系奪還作戦の準備をしていた。

 「アルテミス星系に居る帝國の連中、食料が底を尽いたようですな」

 ヒエン大将が帝國軍の通信を傍受した結果を、ルーナ大将に伝える。

 「では、そろそろ予備の2個艦隊をディアナからアルテミス方面に動かしておきますよ」

とルーナは言いながら、

 「ディアナで訓練をしていた新艦隊も、シヴァ丞相の承諾を貰ったので、裏航路でエペソス星系に向かわせ、新しい指揮官と合流させます」

とヒエン大将に説明した。

 ヒエンはそれを聞き、

 「いよいよ、殲滅戦の始まりですね」

 頷きながら承諾した。

 二度と大遠征を企図出来ない様にする為の、アルテミス王国とノイエ国領内深くに入り込んだ帝國遠征軍を全滅させる作戦が始まろうとしていた。




 エペソス星系外縁で、潜伏中のプロクター・ルー混成艦隊。

 ここに到着後、大会戦の戦場に多数の偵察衛星を残骸に紛れさせて配置し、帝國軍の補給部隊がやって来た場合、殲滅出来る態勢を整えていた。


 それと同時に、帝國軍の通信を傍受しようと、各地に偵察部隊を配置していた。

 長期間の潜伏状況に疲れが隠せなくなってきた将兵達。

 首都星系の食糧が尽きるまでの時間も短くなってきており、リウやルー准将にも焦りの色が見え始めていた頃であった。

 最近何度も、補給艦隊派遣要請が帝國軍の遠征軍から本国宛てに出されていることが明らかとなったのだ。

 ルー准将は、その報告を受け、急いで戦艦ベルク内の自室に居たリウの元を訪れた。


 「リウ、失礼するよ。 火急の報告で......」

と言って、リウの自室に入ったところで、ルー准将は固まってしまった。

 「先輩、どうしたの?」

と、奥から顔を出すリウ。

 「お前、その格好......」

 最近、かなり髪が伸びたリウ。

 そうなると、シャワー上がりは、どう見ても女性に見えてしまうのだが、最近のリウは、リウを止めてリュウになる準備段階として、敢えてそういう風にしているのだった。

 「先輩、小官に惚れちゃいそうですか?」

と茶化して言いながら、

 「イケメンと美女の兄妹若しくは姉弟は、結局顔が概ね一緒ですからね。 性別が違うだけで」

と極端な表現で言い放つのだった。

 「まあいいや。 帝國遠征軍がしきりに補給要請しているという情報が入ったぞ」

と報告。


 するとリウは、

 「それでは着替えたら指揮デッキに上がりますので、先にみんなを集めておいて下さい」

とルー准将にお願いして、リウは部屋の奥に消えたのだった。

 「一瞬美女に見えてしまった。 元々王子様だからな~」

 ルー准将は独り言を言いながら、指揮デッキへ先に戻って行った。



 約20分後。

 第三、第四艦隊の旗艦ベルクでは、参謀クラスの佐官が集められて、会議が始まった。

 会議と言っても、実質的にはプロクター准将の講義といった感じだ。

 「集めた情報によると、クロノス星系を包囲中の帝國軍部隊は、シールドを破壊しようとエネルギーとミサイルを撃ち尽くしてしまい、補給要請を繰り返しているようだ」

 情報を分析した結果をリウが集まった幹部達に話す。

 続けて、

 「アルテミス星系に駐留中の帝國軍部隊も、そろそろ食料が底を尽くだろう」

 「相次ぐ悲鳴の様な補給部隊派遣要請に応えなければならなくなった帝國軍。 護衛艦付の正規の補給艦隊をウォルフィー艦隊に向けて派遣してしまったので、こっちには寄せ集めの補給部隊を派遣するしか方法がない。 補給艦100隻くらいで護衛艦は20隻くらいかな?」

と、部隊の予測をしてみせた。


 「准将、そんなに護衛艦が少ないと予測する理由を教えて下さい」

と、参謀の一人が質問をする。

 「それは逆算だよ。 大会戦後、帝國軍は予備兵力の1個艦隊をアルテミス星系方面に増援で出したけど、既に2個艦隊が深入りし過ぎてアルテミス王国軍に敗北し、壊滅したようなんだ」

 実は既に秘密の連絡を受けて、リウはルーナ、ヒエン両大将の艦隊が帝國軍2個艦隊を殲滅したことを知っているのだが、全ての種明かしをしてしまうほど、お人好しではない。


 「だから、帝國軍には補給部隊に付ける護衛艦が殆ど無い。 でも全く付けない訳にもいかないから、20隻位は付けるという予想だね」

と解説した。

 「今回の補給部隊は、帝國遠征軍にとっての虎の子だ。 これを壊滅させれば、帝國遠征軍は撤退する。 だから絶対に捕捉殲滅しなければならない」

と強い口調で、リウは言い、

 「これより、全艦緊急即応体制とする。 二交替でいつでも艦隊を動かせるように、準備してくれ」

と指示して、議論は終結する方向となった。

 「最後に、先輩、付け加えること有りますか?」

とリウが確認すると、ルー准将は、

 「ありません。 教官殿」

と言ったので、笑いが起きて作戦会議は終了した。



 指揮デッキに静寂が戻り、准将2人だけとなった。

 「先輩、間もなくシヴァ艦隊から派遣された応援部隊が、クロノス星系の近く迄到着します」

 秘密の情報をリウは説明し始めた。

 「リウ、どうしてそれを......」

と言いかけて、

 「そうか〜」

 惑星アルテミスでの歓迎式典を思い出して、言い換えた。

 そして、

 「その部隊は、クロノス星系解放だけの為に来たんじゃ無いんだろ?」

と、ルー准将は言い

 『流石に、ジョン・ルーに只者では無いという片鱗を見せた』

のであった。


 リウは、

 「先輩、その通りです。 帝國が二度と大遠征軍を組め無いよう、帝國遠征軍を全滅させる為に派遣された新型艦隊です」

と言ってから、

 「補給部隊壊滅後、私はこれから到着するアルテミス王国軍の新型艦1個艦隊を指揮して、アルテミス星系に駐留中の帝國艦隊とクロノス星系に駐留中の帝國遠征軍を全滅させるつもりです」

 険しい表情で今後の予定を話した。


 更に、

 「ですから、先輩は今ここに居る300隻の艦隊を率いて、この宙域で駐屯していて下さい。 おそらく敗れた帝國遠征軍の一部がやって来るでしょうが、その敗残兵部隊をどのように処置するかは、先輩の判断にお任せします」

と言い、その時リウは、ルー准将が今迄に見たことが無いくらいに厳しい、鬼のような顔をしたのであった。


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