我らが王に栄光あれ!
新規パソコン購入記念です。
これでようやく執筆再開、と意気込んだら、こんなのができました。
その日、新たな国王陛下をお迎えするべく、家臣一同は彼のお方の前に進んだのであります。
「偉大なるフォレングローグ王国の正当なる後継者であられるゼットルード殿下、この度貴方様に王位継承の順が巡り来たりましたことをご報告申し上げます。フォレングローグに栄光あれ!」
「わかった俺はすぐに国を出るから次に行ってくれ」
「逃げないでください」
「離せ、誰が王なんぞなるか。俺は自由が欲しいんだ!」
「ダメです!もうこれは決定事項なのです、だから窓から脱走するのはおやめください、って言うか、ここは4階ですぅぅ」
「4階だろうが400階だろうが構わん!俺はここに居るわけにはいかんのだ」
「あんたどこからダイブするつもりですか、とにかくダメです、飛び降りダメ!絶対!」
「違法なナントカみたいに言うな、とにかく離せ!」
「イヤですダメです離せませぇん」
「俺だってイヤだぁぁ!」
かくて800年の歴史を誇るフォレングローグ王国の新国王は即位の運びと相成りました。
偉大なる王はその重責にも係わらず、我が身を削って国を繁栄に導くと誓われたのであります。
「俺のどこを削り取る気だ、冗談じゃねぇぞ」
「大丈夫です、肉体的にも精神的にも、貴方様なら多少削れたところでビクともしません」
「そういう問題じゃねぇ!大体だな、国王なんてヤクザな仕事を人に押し付けて、テメェら私腹を肥やしてウハウハしようってその根性が気に食わねぇんだ」
「いやー、代々の陛下がとっても良い仕事をしてくださるおかげで、我々は実に潤ってまして」
「今すぐそのカネ上納しやがれ」
「嫌です」
フォレングローグ国王ゼットルード1世陛下は、下々の者にまで豊かな生活が行き渡るよう、様々な改革を成されました。
そのご威光は、あまねく国中に広がり、国民は皆陛下を愛しております。
「そんな愛はいらーん!今すぐ退位の準備をしろ、退位式ならいくらでも予算を都合してやる」
「我が国の在位記録は、最長80年です。陛下には是非とも最長記録を更新していただきたいものと、家臣一同切望する次第でして」
「俺に100歳過ぎても国王やれってのか。冗談もほどほどにしろよ――ってか、80年も王様やってた変態はどこのどいつだ」
「変態って、貴方様のご先祖ですよ。4歳で即位されて、84歳までご在位でした。実に素晴らしいお方ですな。即位80周年の記念式典はそれはそれは盛大に行われてたと正史に記録されております。ご葬儀も兼ねていましたが」
「…人生を食いつぶされたか。気の毒に過ぎるんだが」
「晩年は全てを家臣にお任せ下さり、悠々自適にベッドでの生活を過ごされたとか。なんとも羨ましい話です」
「それは耄碌して寝たきりになっただけだろうが。一体跡継ぎは何をやってたんだ?」
「当時の官僚が差し出したお妃様方と、平和で安らかな毎日を送っておいででしたようで、ほとんど表には出ていらっしゃらなかったそうです」
「オンナを使って篭絡したか…クソッたれが」
「ですがおかげで国の騒乱は宮殿のみに収まっていたようですよ。いや、実に平和な時代ですなぁ」
「女の争いに満ちた王宮以上の修羅場なんぞあるわけなかろうが」
「そんなのは今も昔も変わりませんよ。奥に隠して置ける範囲ならオッケーです」
「なにがオッケーだ。隠しきれてないから騒ぎが起きるんだろうが」
「いやいや、陛下もぜひ華を集めて宮廷を彩って下さいよ。お子様が何人出来てもちゃぁんと対処いたしますから」
「さらっと恐ろしいことを言うんじゃねぇ!大体俺は妻一筋だ、他の女なんぞいらん」
「いやまぁ陛下が尻に敷かれてペッチャンコなのは重々存じておりますが、せっかく王様になったんですから、ここはひとつぱあっと美女を集めてですね」
「どうしろってんだ。言っとくがな、俺の妻はちょっとでも浮気を疑ったら鬼になるぞ。以前俺を娼館に誘った同僚は、ボロボロになって街を追い出された」
「…いやぁ、お妃様は別にあのお方でなくとも」
「死にたくなけりゃそれ以上言うな」
ゼットルード1世陛下のお妃フォーキリア様は、大層お美しく慈愛あふれる貴婦人でいらっしゃいます。
陛下がまだ幼い頃から共にお育ちになり、夫君を支えていらっしゃいました。
強く優しく、また防衛にも明るいかのお方あってこその陛下の偉業は数知れず。悪しき存念をもって近づく不逞の輩は、かの王妃によって退けられたのでございます。
「この宿六!よりによって王様だって?あんたみたいな考えなしの筋肉バカに、そんなモンが務まるわけないだろうが!」
「んなこたわかってる!俺だってイヤなんだ。だかなぁ、いくら他に行けと言っても聞かねぇんだよ、あいつらは」
「あんた以外いいように使えるバカがいないってだけだろうが。まったく本当にロクでもないったら」
「そう思うんなら、あいつらを説得してくれ。お前の特異な――いや得意なホウキ攻撃なら、確実に撃退できる」
「そらそうだろうが、一応あいつらは国を動かしてる重鎮なんだろう?盗賊団やモンスターみたいに殲滅しちまったら、明日から困る連中がわんさか出るんじゃないかい?」
「安心しろ。ならず者だのドラゴンだのより生き汚い連中だからな、お前が全力で暴れてもどっかに隠れて生き残るだろうよ」
「けっ、アタシを怒らせてまともな人生を送ろうなんて、図々しいったらありゃしないよ」
「そりゃそうだが」
「聞いた話じゃ、あんたに女をあてがおうとしたんだってねぇ…」
「そっ、そりゃアレだ、昔からよくある君主の操作って奴だ。お、俺はそんなモンに引っかかったりしねぇから、大丈夫だ」
「へぇ、まぁ口じゃぁなんとでも言えるよねぇ」
「信じてくれ、どんなバインバインの美女を持ってこられたって、俺は…お前一筋なんだ」
「なーんか気になるんだよねぇ、その間がさ。ってか、バインバインだったんだね」
「だから違うんだぁ」
かくしてゼットルード1世陛下の御代は、大変に安らかな、平和な時代と相成ったのでございます。
また、お妃様だけでなく、お子様方も陛下を大変敬愛され、ご後嗣であられるエースルード王太子殿下はその優れた頭脳を持ちまして、父君の政務を支えられました。
「いい加減にしろよ親父、なんで俺が王太子なんだ!テメェで言ってただろうが、ヤクザな仕事も極まれりだってな。俺は絶対ぇ王様なんざやりたくねぇんだよ」
「そりゃ俺だって同じだ!しゃぁねぇだろうが、おめぇが長男なんだから跡継ぎだって言われりゃそれまでよ。この際腹ぁ括ってとっとと譲位させてくれや。おめぇなら俺よりうまくやるだろ」
「なにがうまくやるだ。あの腹黒タヌキや性悪ギツネどもをまとめて国のために尽くさせろってんだろうが、そんな身も蓋もねぇ仕事で人生を使い潰されてたまるかってんだ。俺は世界に羽ばたいて生きるんだ、そこを通しやがれ!」
「うるせぇ、何が羽ばたくだ。てめぇ1人で楽しようったってそうはいかねぇぞ。どうしても行くってんなら――俺も連れてけ」
「…屍を超えて行けとかじゃねぇのか」
「屍になったら、問答無用でおめぇが王だ」
「嫌だぁぁ!」
その大いなる治世は周辺国家もまた認めるところでございまして、新たに同盟を結んだ大国もございました。
他国よりおいでになられた国賓方、そしてフォレングローグ王国に派遣されました大使の方々、皆様がゼットルード陛下の偉大さに感心されたのでございます。
「んでよぉ、あんのオッサンはヒーコラ言いながら仕事しとるっちゃねぇ」
「まんずしゃぁねぇっぺ、なんせ今まで辺境の街でブイブイ言わせてただけの田舎モンだぁ、ワシらみたいにこんまい内からカテーキョーシに色々叩き込まれたサラブレッドォ、じゃねぇっぺよ」
「ほったら字ぃすら読めねぇってこともあるっちゃ?」
「いんやぁ、それはさすがにねぇっぺよ。どーゆーベンキョーさしたか知んねぇけど、読み書き計算はえれぇ得意だそうじゃぁ」
「まった面倒くせぇだなや、なぁんにもわかんねぇアホウなら、いくらでも使い道があるだぁに」
「ほんでよぉ、嫁っこ――いんや王妃ってぇのがまたどうにもできねぇガミガミ屋みていで、ありゃ下手に突っつけねぇべ」
「うーん、ドタマスッカスカだったら、テキトーな姐ちゃん当てがって、えーよーに出来たかもしれねぇんだがなぁ」
「それやって、ボッコボコにされた家来がいるってぇ噂だぁ。狙うんならセガレのほうじゃろうなぁ」
「あの兄ちゃんか。いや、ありゃちゃう意味で手ぇ出したらあかんわ」
「ん?なんぞ知っとるんかぁ」
「どえれぇ優秀だった女スパイがあの兄ちゃんに堕ちてまって国ぃ裏切ったもんでよぉ」
「そったらことあっぺか?ほな、逆にそっちのネタさぁだだ漏れっちゃべ」
「だらぁ。おかげでそっちの国がワヤになってまったってぇ」
「…そら、ダメだっぺぇ」
「しったら、ムスメっ子の方はどうじゃあ?たしか、そろそろ年頃だっぺ。アレに亭主さつけて、言うこと聞かせりゃあ、王家にも喰いつけるっちゃ」
「ほ、ほんなオソギャアこと言やぁすな。アレに手ぇ出したら、ワヤどころか地獄だわ」
「は?なんだっぺそりゃ」
「あのムスメは鬼じゃ。いんや、アクマやってアレにはかなわんわ。敵に回した日にゃあ、お天道さんを拝めんようになってまうわ」
「…わ、わかったっちゃから、落ち着くっぺよ。おい、なんでそうも震えるっちゃ?――や、白目むいてってっで!おぅい、誰か医者呼んでくれっちゃあ!」
ゼットルード1世のご長女であられるカーネリア王女様はそれはそれは聡明なお方で、特に経済的な知識に関しましては、追随する者がないほどの英知を誇っておいででございます。
そのお力を認められ、女性の身ながら国の財を預かる部署を任されることとなりまして、それまで埋もれておりましたフォレングローグ王国の財を多く発掘されました。
そして、王女様にお仕えされておられる方々は国内の隅々まで足げく回り、その素晴らしい経営理念を広げる役目を担われておられます。
「1枚、2枚、3まぁい、4まぁ~い、5まぁぁ~い、6まぁ~ぁい、ななまぁぁぁい、はぁちぃまぁぁいぃい、きゅーうまぁいぃい…いちまい、たりなぁあいんだよぉぉっ!ちっくしょおぉぉおお!!」
「今年の分なら、第1部隊の奴らが揃えてきたはずですぜ。連中が取りっぱぐれるとは思えねぇんで、どっかにはあるはずなんですがねぇ」
「あ、こいつじゃねぇっすか。でもなんすかねこりゃ、数字がメチャクチャだ」
「寄こしな!…こりゃ確かに。おい、この書類はどこの領地から上がってきたヤツだ?」
「えーっと、ああ、あそこっすね。評判悪いトコっすからねぇ、どうせ誤魔化してくるだろうとは思ってましたが、こりゃ予想以上だ」
「ザケやがって、おい、ちょいと出てくるからな」
「出入りっすか、お嬢」
「馬鹿野郎、まずは手順通りにやらにゃ後が面倒だろうが。父ちゃんとこからフダもらってくんのよ、それからカチコミだ。準備しとけや」
「「へい!」」
「姫様――じゃなかった、財務王女殿下。ずいぶん騒がしいようですが、いかがなさいましたか?」
「おう、ジジイ。ちょうどいいや、こないだからドタマに来てた領主んとこにカチコミかますことにしたからよ、フダと得物を寄こせや」
「…いつも言っておりますが、小生のことは役職でお呼びいただけませんか。これでも一応宰相ですので」
「けっ、城ん中でいっちゃん長く生きてる奴をジジイと呼ばずにどう呼べってんだよ」
「後ですね、強制捜査に必要な令状は、証拠を明らかにした上で正規の手順を踏んで申請なさって下さいと、あれほど…」
「んなまどろっこしい真似してたら、あのクズはとっととケツまくってブツは消えちまうだろうが。家捜しして現物を見つけるにゃ速さが第1なんだよ。とっとと破城槌と釘貫バール用意しろや」
「家屋破壊を前提にした強制捜査はお控えください。領主の館は一応貴重品がそろってるんですよ、まして裏金で潤った奴の家ならなおさらです。どれほど趣味の悪いしつらえでも、単品では高額品なんですから」
「そいつは追徴金決定だな。まかせとけ、きっちり搾り取ってやっからよ」
「はぁ…仕方ございませんねぇ。令状はこちらで手配しますので、なるべく穏便にお願いいたします」
「おう!――聞いたなてめぇら、さぁ出入りだ!」
「うおぉぉ!腕がなるぜぇ」
「ほれぇ、こいつの出番じゃ。鍛冶のオヤジ最新作、このトゲトゲが破壊力倍増の逸品だぜぇ」
「おい、解体ハンマーはこれじゃあ小せぇぞ、まぁこっちのバスターソードでいいか」
「こ、こ、この棒がね、この棒が、ぶっころ…ぶっ壊しにちょうど良くってね、ね」
「…穏便に…あの…」
「準備は良いかぁ、野郎ども!」
「「「「へい!」」」」
「…いってらっしゃいませ(泣)」
かくてフォレングローグ王国は新たな王と王朝を確立させ、そのご威光は国内外にあまねく広がったのであります。
思いまするに、前王朝にて最後の王であられたお方が早くにお亡くなりになられましたのも、ゼットルード陛下が表舞台に立たれるための、神の采配と言えましょう。
「んで、人に面倒を押し付けやがった先代ってのは、なんでまたそうも早くにくたばったんだ?」
「まぁ、男としての本懐を突き詰めたが故と…言えなくもないですな」
「あぁ?なんだそりゃ」
「元々食事や嗜好にこだわる方で、美食に美酒に美術品にと、それはそれは精力的に追及されておいででしたが、その中でも睡眠欲に関する欲求は深く、極上の寝具を揃えた上に睡眠薬や精神安定薬などにも深く依存されておいでで」
「おい、穏やかじゃねぇモンが出てきてんだが」
「さらには同衾されるお方に対しては、並々ならぬ意欲を示されまして」
「あ?」
「それはもう、ご身分お立場――性別すらお気になさらず、とにかくご自分の好みに合うお方をあちこちで見出されて」
「おい、ちょーっと待ってくれ」
「時期によっては、日替わりどころか時間割でとっかえひっかえされまして」
「すげぇな、おい…」
「お躰がついていかなくなると、さらにそちら用の強壮薬も開発するように命じられまして」
「…そりゃ死ぬわな」
「しかし、おかげで我が国の薬剤技術は大変上昇いたしました。陛下もいかがですか、80過ぎのご老体すら若かりし頃の勢いを取りもどしたと評判ですよ」
「…う、うん、まぁ自国の新名物を知っとくのは必要なこと、かもしれんな」
「あ、ただ服用者の方々は、揃って早々に枯れ果てられたそうですので、お妃様にはその旨お知らせをお願いいたします」
「恐ろしいモンを人に勧めるんじゃねぇ!おいまさか、80過ぎのジジイは枯れたんじゃなくて…」
「辞世の一言は『我が人生に悔いなし』だそうで」
「俺はまだ悔いがあるんだ!その薬は即刻禁制品にしろ」
「いやしかし、かなりな人気商品のようですが」
「国を亡ぼすつもりか!造るのも売るのも買うのも厳禁だ。出回っているヤツはすぐに回収しろぉ!」
ゼットルード1世陛下は正義を重んじるお方でございます。
こと犯罪に対する姿勢は殊の外厳しく、違法薬物の禁止人身売買組織への懲罰など、ご在位の内で大鉈を振るわれた功績は数多く、国内の治安は大いに向上いたしました。
とは言え、民の心を分らぬわけではなく、むやみやたらと綱紀粛正を叫ぶような無粋はなさいませんでした。
酒精を扱う店、春をひさぐ飾り窓。そうした商売を営む者たちに、きちんと営業許可を取ることと、接待に度が過ぎることのないようにと注意喚起こそなさいましたが、潰そうとなどはなさいませんでした。
「え、新しい王様のこと?そうねぇ、ま、こんなもんでしょ」
「あの暴れん坊が王様なんて、なんの冗談かって笑っちゃったけどね」
「知らないの?あいつ、20年くらい前までは結構なお得意さんだったのよ」
「女房もらってからはとんと見かけなくなったけどさァ、あちしがまだ現役だったころにゃあ、あっちやらこっちやらでお盛んだったからねぇ」
「わっちの旦様を連れてきてくれなんしたのが、あのお人でありんす。商売で行き詰って、頭を抱えていた旦様に、もっと気を楽にしなんしと言うて」
「あの男が紹介してくれる客は、大概が成功して太いお客になったもんさ。ただ、どういうわけか最初っからイケてる奴はいなくてねぇ。大体が明日をも知れぬどん底でもがいてるような有様だったんだけど」
「わたくしが最高の名妓とまで呼ばれるようになったのも、売られてきた最初の日にあのお方に『がんばれよ』と頭をなでていただいたおかげですわ。――あの時のわたくしは、まだ10にも満たない童でしたが、その時のなにか重しが取れたような気持ちは、未だに忘れられませんの。ああ、今日で年季が開けるという日にあのお方の即位を聞けるなんて、なんということでしょうね」
「賑やかに楽しく。苦労と哀しいことばっかのこの世でさ、少しでも笑えりゃ御の字だって、あたしらはそのための商売なんだから、泣いてちゃダメだぞって」
「――まぁ、あいつが王様なら、まだ当分この国はやってけるんじゃないのかしらね」
「あの女房がいるんだから、大丈夫でしょうよ」
「ねぇ、王太子様ってあの彼よね。あーん、1回でいいから遊びに来てくんないかなぁ。もう、商売なんか抜きで楽しんじゃうんだけどな。カッコいいもんね」
「姫様の動向には気を付けとけよ。隙あらば確実にアガリをもってかれるからね」
かくてフォレングローグ王国は新たな王朝を築き、未来へと向かって歩み始めたのであります。
ゼットルード陛下とそのご家族は、身命を賭して国民を守るべくご活躍されました。
「なんでもいいから、サッサと引退させろ。俺はもう仕事したくねぇんだ」
「稼ぎがあるうちは休むんじゃないよ!ほれ、今月のアガリだ。あいつら締め上げればまだまだ出せそうじゃないか」
「お袋、いい加減ホウキ片手に謁見するのはやめてくれ。大臣や文官だけじゃなく、最近は将軍まで震えまくって仕事がはかどらねぇんだ」
「ちょっと兄貴、花嫁候補とやらがわんさか押しかけてきて、接待費が嵩んでんのよ。いい加減1人に決めてくんない。あ、結婚式は経済効果がありそうだから、事前にしっかり計画立てないとね。あと、持参金はたんまり持ってくる女をお願い」
「てぇへんだ!親分、姐さん、若、お嬢、例の領主がウチの管轄荒らしましたぜ。税金を派手に横領しやがった」
「なんだって、クソが!思い知らせてやんな」
「だからホウキを振り回すな」
「父ちゃん、新しい攻城兵器のテストにちょうどいいだろう。今までのより、当社比1.5倍増だって謳ってやがったからな、ここらで試させてもらおうじゃねぇか」
「俺の妹はどうしてこう破壊マニアなんだ。いいか、ぶっ壊すだけじゃなく丸ごと綺麗に頂くことも考えて潰せ」
「兄貴は男のくせにちまちましてんねぇ」
「なんでもいい、さぁ行くよ!」
「「「へい、姐御!」」」
「おい待て、俺も行く。ここんところのイライラをちったぁ吐き出さねぇとやってらんねぇんだ」
「後片付けのことも考えてやれよ、親父ぃ」
今日もフォレングローグ王国は平和でございます。
END
読了、ありがとうざいます。
このような作品をご覧いただき、恐縮です。