「第6章 本当の真実」(1)
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月曜日。
日曜日に解散してから、今日までずっと緊張していた。この緊張は、高校受験の合格発表とよく似ているが、似ているだけで度合いは違っている気がした。
朝、教室に入るとそこに美結の姿はなかった。森谷、梅沢は来ているので彼女が教室にいないのは欠席か遅刻しかない。予鈴までまだ、十五分はある。可能性はゼロではないが、きっと限りなくゼロだ。
直哉が席に座ると真島が「おはよう」と声を掛けてきた。
「ああ、おはよう」
「朝、凛からLINEで聞いたけど、新藤さんは発熱で休むらしい」
「そうか。ありがとう」
微かに抱いていた可能性はこれで完璧にゼロになった。日曜日に森谷が話していた展開に移行される。通学カバンを横に掛ける直哉に真島が「どうする?」と聞いてきた。
「どうするって?」
「昨日言ってた通り、本人の所に行くのか?」
「勿論、行くよ」
直哉は迷いなく答えた。彼が答えると、真島が言い辛そうに「あー」と言ってから、言葉を詰まらす。
「なに?」
「いや、あの後凛とも話したんだが直哉が良ければ、皆で行かないかって」
「……なるほど。それは心強い。でも、それは大丈夫」
あくまで心強いのは直哉の方で美結の方は萎縮するだろう、“心読み”の話も出来ない。メリットよりもデメリットの方が多い。
「分かったよ。凛には俺から言っておく」
「悪い。そうしてくれ」
美結が来ないと分かった以上、本格的に動けるのは放課後から。今日一日の授業はしっかり受けないと、あと数分で始まる学校生活に直哉は気を引き締めた。




