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フィルの冒険  作者: 渡邊
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遭遇

成人の義から早一年…僕は村から旅立ち、冒険者として生計を立てていた。

ぼの両親は成人する以前に他界していたので村長の元で育てられてきた。

村に度々来て魔物を狩ってくれる冒険者に憧れ、村長に相談して許しを得ていたのだ。

その頃から鍛練していたことで、成人してスキルを得た僕は新人にしては強い方だと思う。


そんな僕は現在ダンジョンが付近にある街…エラギンへとやって来ていた。

王都から馬車で一日の距離にあるこの街はそれなりに大きく、物流も良いほうだ。

街には冒険者が多く見られ、街の中央近くにある冒険者ギルドにお世話になっている。


冒険者ギルドは各地から依頼を受け、冒険者を派遣する組織である。

また、魔物の素材や魔石を換金してくれたりする。


冒険者はそのギルドから出される依頼を受けて報酬や素材を売ったお金で生活する者たちを言う。

そのほとんどが身体強化のスキルを持つ剣士だが、たまに魔法使いや治癒術士もいたりする。


冒険者にはランクがあり、最低ランクのFから最高ランクのSまで計7ランクで構成されている。

初心者はみんなFランクからスタートし、依頼を達成することで昇格が可能となる。

しかし、一流と呼ばれるCランクになるためには試験を受けることが必須で、それ以降のランク昇格にも相応の試験が設けられる。

僕は現在Eランクでまだまだ駆け出しのランクである。


「おはようございます…Eランクの討伐依頼ですね、受注を確認しました」


親しい訳でもないので受付は一瞬で終わる…というか職員さんはみんな手際がいい。

朝早くのこの時間は依頼の更新がるのでギルドは冒険者たちで込み合う。

その消化のためなのは理解できるが、あっという間に受注が完了してしまうのはいつになっても慣れない。




この時僕は気がついていなかった…この依頼は四人以上の冒険者とパーティーを組まなければ受注できないことに――そして一人である僕が依頼を受けられていたことに――




僕が今日受けたのはEランクでも受注が可能な抵ランクの魔物の討伐だった。

早速現地へと向かうと、依頼主である村の村長の元に行った。


「おぉ冒険者の方ですか…態々こんなところまで来てくださってありがとうございます」


丁寧に挨拶をされ、こちらも頭を下げた。

僕は身に着けていた革鎧を外し、楽な格好になる。


「冒険者さんは…お一人ですか?」


「はい、依頼を受けたのは僕一人ですね」


村長の問にそう返すと、どことなく不安そうな表情になった。

もしかしなくてもその通りなんだろう…何せ僕は革鎧に小汚ない短剣を持った子供なのだ。

もう成人した身とはいえ、まだまだ背も低ければ筋肉もあまり無いように見える。

そんな僕が一人できたので、依頼主からしてみれば不安でしかないのだろう。


その後村長から話を聞いて村を出て、近くの森へ向かう。

どうやらあの村はこの森にいるというゴブリンに襲われたのだと言う。

ゴブリンは人間の子供ほどのサイズしかなく、肌は緑がかっている魔物だ。

食料を奪い女を拐うため、人里に降りてくるズル賢いのが特徴…


ゴブリンは基本的にEランク指定の魔物となっているが、集団で現れることもあり、それを冒険者たちはゴブリンパーティーと呼んでいる。

ゴブリンパーティーの場合は規模にもよるが、最低でもD、最高でCランク指定になる。

因みにランク指定はその依頼の危険度を表し、依頼主とギルド職員が相談して決めるらしい。


今回の依頼はEランク指定だったので、森に生息しているゴブリンを一人三体討伐すればいいそう。

また、依頼の最中にゴブリンの拠点を発見した場合は直ぐに撤退してギルドに報告することになっている。


僕が森を歩いていると、ふと視界の端で何かが動いた気がした。

だが、意識をそちらに向けた瞬間の隙を狙ったかのように、背後からゴブリンが現れた。


咄嗟に身を翻し、短剣を抜いて攻撃を防ぐ。

金属がぶつかり合う音が聞こえたと思えば、ゴブリンは武器を持っていたのだ。


――ホブゴブリンじゃないか!?


ホブゴブリンはゴブリンの上位種族であり、数年生きたゴブリンがたどり着くとされる姿だ。

高い知能で人間を騙したり道具を使ったりして戦闘を行う進化した魔物。

勿論ただのゴブリンよりも手強く、パーティーを組んで行動することが多いが故にランク指定もDと高めだ。

Eランクの冒険者がパーティーを組んでいても、討伐は難しいだろう。


それにこのゴブリンが持っているのは金属の武器だ…街にはいれないゴブリンに調達が不可能なはずの物。

つまりは街道にに出て積み荷を奪ったか村を襲った時に奪ったかだ。

どちらにせよギルドや村長がホブゴブリンの存在を認識できていたはず…ならば何でこの依頼のランクがEなんだ。


「ギシャァ!」


ホブゴブリンが何かを合図したように叫ぶと、これまた背後から攻撃が飛んでくる。

鍔迫り合いになっていた態勢からホブゴブリンの剣を強く弾くことで、僕は反動を利用して距離をとった。

そうすることで背後からの攻撃も回避することができたようだ。


後ろを振り向くと、こちらにも弓を構えたホブゴブリンがいて、囮を使って奇襲してきたのだ。

本当にこの魔物のは危険だ…僕以外のEランク冒険者だったら間違いなくやられていただろうと思う。


でも僕には…神託で授かった<強化>のスキルがある。

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