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3C-冒険者ギルド

 奏太は、国王から支給された薄手の衣に着替えると、皮の鎧と籠手を身に付け、腰に剣をぶら下げる。

 昨日店で買っておいた、ポーションや解毒薬等を鞄に詰め込む。


「よし。準備完了!」


 いっぱしの冒険者らしい格好に、少し胸を昂らせ、奏太は意気揚々と部屋を出た。

 すると、朝は2人を待たせてしまったが、今回は3人がほぼ同時に部屋を出た。

 皆、中々様になっている。

 端から見ても、恐らく他の冒険者パーティに見劣りしないだろう。


「どうでござるか!? 冒険者!小生冒険者になったでござるよ!」


 メガネ姿にオタク感が若干残っているが、嬉しそうに剣を構える姿には、今までとは異なる勇ましさを感じさせる。


「少し、窮屈ですね……。」


 響子は先程の可愛い服の上に、皮のベストを着けていたが、その豊満な胸にはやや窮屈そうだ。


「む、胸の紐を弛めてみたらどうですか?」


 ベストの胸部が紐で編んだような作りになっていたので、紐を弛めるよう提案する。


「あっ、ほんとですね! ……楽になりました!」


 より胸が強調され、破壊力が増したが、本人は快適そうなので指摘しないでおく。

 いや決して自分が見たいからという、やましい理由ではない。


「ーーそれじゃあ、いざ冒険者ギルドへ!」


 永吉から貰った地図を頼りに、奏太達は冒険者ギルドへ向かったーー



 ーーここか……。


 宿を出てから程なくして、冒険者ギルドを見つけた。

 一体どのような内容の仕事があるのか、自分達がどこまで通用するのか、不安要素は様々だが、自分達の魔法と、国王から貰った装備を信じて、力強く扉を開いた。


 中に入ると、様々な武器や防具を装備した冒険者達で賑わっている。

 壁にはクエスト募集の貼り紙が貼られ、冒険者達が吟味している。

 ある者は、数日前に魔物を討伐した武勇を語り、またある者は、新調した剣の出来栄えを自慢する。

 カウンターでは、屈強な男がたった今狩ったであろう魔物の素材をドサッと乱雑に並べ、一つ一つ鑑定を受けている。


「まるでゲームの世界そのものだな。」


「わぁ~。冒険者ってこんなに沢山いるんですねぇ。」


「あっ! あそこに猫耳娘の冒険者がいるでござる!」


 3人は興奮ぎみに辺りを見回す。


「え~っと……ダメだ。なんて書いてあるか分からない。」

 試しに依頼書を見てみるが、不毛に終わった。

 文字が読めないってのは結構不便だ。近々覚えた方が良いだろう。

 異世界の先輩である永吉や隆司に一度聞いてみよう。

 特に隆司はあんな見た目で高学歴らしいから、文字も修得済みかもしれない。


 とにかく今は依頼書を読んでいてもらちが明かない。


「受付の人に聞いてみようか。」


 浮き足立つ2人を引き連れ、奏太は受付へと向かう。


「あの、自分達初めてなんですけど、どうやって仕事を受けるのか教えて欲しいんですが……。」


「ヴィシュガルド冒険者ギルドへようこそ。他のギルドでクエストの受注経験はございますか?」


 美人な受付嬢が丁寧に受け答えする。


「いえ、ありません。」


「では新人の冒険者さんということですね。まずはギルドへの登録を行いますので、お名前を教えて頂けますか?」


「石巻 奏太です。」

「岩片 金重でござる。」

「氷室 響子と申します。」


「石巻奏太様、岩片金重様、氷室響子様ですね……。」


 受付嬢が3人の名前を確認すると、何やら用紙に書いている。

 こちらが書かずとも、受付嬢が代わりに書いてくれるのか。

 日本の店で会員登録等をする時は、基本自分で申込用紙を書かされるが、こちらの国ではそれだけ文字が書けない人が当たり前にいるってことなのかもしれない。

 自分の名前をどのように書くのか、一応受付嬢が書いた文字を見て覚えておこう。


 受付嬢が書類を持って奥に消えると、首飾りのようなものを3つ持って出てきた。


「ーーでは登録が完了致しました。皆さんは新人さんということで、始めはランク0からのスタートとなります。

 こちらがランク0のギルドタグです。

 裏に皆さんの名前が印字されており、皆さんが当ギルドの会員である証となりますので、クエストを受注する際や、報酬を受け取る際、素材を売買する際にも提示頂くようお願いします。

 ランクは0~10までとなっており、クエストを達成しランクが上がると、より難易度の高いクエストが受けられます。

 難易度が高ければ、それだけクエスト達成報酬も高く、取得できる素材やアイテムも高価なものになります。

 高ランクの冒険者を目指して頑張ってくださいね。」


 周りの冒険者を見ると、皆首からこのタグを下げている。明らかに強そうな冒険者達のタグは銀色や金色に輝いている。

 恐らくランクによって色分けされているのだろう。

 ちなみに俺達のタグは薄暗いネズミ色だ。何も色付けがされていない、素材のままって感じの色だ。


「なるほど。それで、俺達が受けれるクエストって何になるんですか?」


「皆さんはまだ見習いのランク0ですので、他のパーティが受注したクエストに同行する形となります。

 自分達でのクエスト受注はランク1にならないと出来ません。

 他のパーティに同行し、1匹でも魔物の討伐に成功すると、晴れてランク1の冒険者となります。」



 つまり俺達は新人アルバイトのようにまずは先輩の横で見学し、何か一つ仕事をクリアして、初めて研修期間終了という訳か。

 でも誰のクエストに付いていったらいいんだろうか。



 奏太が受付嬢に質問しようとするとーー


「おいそこの青臭えボウズ達。お前達ルーキーだろ。」


 モヒカン頭の厳つい男が奏太達に話しかけてきたーー


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