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2A-パンク

「セッ◯ス……ピストルズ!?」


 まさか響子さんの好きなバンドが、ピストルズだなんて意外すぎる!

 しかも響子さんの口から、セ、セッ◯スって……


 響子の口から発せられた意外なワードに、奏太は驚きを隠せないでいる。


「セッ◯ス・ピストルズかぁ~。俺も昔何曲か聴いたな~。ロンドン・コーリングとか。」


「それはクラ◯シュですよ~。もう。(殺しますよ?)」ニコッ


 ーーい、今物騒な言葉が聞こえたような気がしたけど、気のせいだよな?


「き、響子さんはUKパンクが好きなんですね。

 パンクは俺も90年代以降のUSパンクなら結構聴きました。」


「あんなもの本物のパンクじゃないです。

 本物は70~80年代のUKパンクバンド、そしてセッ◯ス・ピストルズこそが最高峰のパンクロックです!」



《パンクロックとは、70年代半ばにアメリカで誕生したロックのジャンル。

 ラモー◯ズやパテ◯・スミスがその筆頭。

 少ないコードと速いビートが織り成す伴奏に、感情的・暴力的な歌詞を乗せ、単純かつ爽快なロックサウンドが若者を中心にヒットした。

 そして70年代後半にパンク・ブームはイギリスへと渡り、その影響を受けたセッ◯ス・ピストルズがデビュー。

 社会や王室へ唾を吐く、素人のならず者集団。セッ◯ス・ピストルズの活躍は瞬く間に世界中へと広がり、旋風を巻き起こす。


 その後パンクロックはニューウェイヴ、グランジ等様々な変容を遂げ、90年代以降、ブリ◯ク-182やグリー◯・ディを筆頭に、ポップパンク、ハード・コアとして北米を中心に広まり、今日(こんにち)のロックシーンに多大な影響を残している。


 大まかな70年代UKパンクロックと、今日のUSハードコア・パンクロックの違いはファッションにも挙げられる。

 パンクファッションといえば、ギザギザ尖って、黒を基調としたゴシック・パンクファッションが主なイメージであるが、そのスタイルはUKロックバンドが好んで身に纏っていた。

 日本におけるそれは、今日V系バンドやそのファンによく見られる。

 だが、V系ロックバンドの音楽性はへヴィ・メタルからの影響が強い。


 一方で、日本におけるパンクロックシーンは、80年代にセッ◯ス・ピストルズや、その他UKパンクバンドのスタイルを意識したバンドが数多くデビューしたが、00年代以降の昨今において、音楽性の面でパンクロックの影響を残すメロコア・エモ系のロックバンドは、USパンクバンドの影響が強く、ファッションもTシャツに短パン・ジーンズ等、アメカジ風なスタイルが主流である。》(※例外あり)



 つまり、響子さんはセッ◯ス・ピストルズの狂信者ということか……。

 これは下手な事言えないな……。

 でも響子さんがロック好きならーー



「ーー響子さん、もし良かったら俺達とロックバンドやりませんか?」


 響子なら高い音楽センスをバンドにも活かせるかもしれない。


「ほんとですか!? 是非やってみたいです!」


 響子も奏太の提案に対し、前のめりに了承した。


「響子さんはやりたい楽器ありますか?」


「それなら私はベースがやってみたいです!


 私、セッ◯ス・ピストルズの中でも、シド・ヴ◯シャス様の大ファンなので!」


「ベースですか。いいですね。丁度俺達はギターですし。

 確か金重はベースも何本か持ってたよな?

 響子さんに貸してあげることは出来ないか?」


「ふお? 別に構わぬでござるよ。」


 金重は申し出を快く承諾すると、1本のベースを収納魔法で取り出した。

 ボディには案の定アニメキャラクターのステッカーが貼られているが、果たして響子はこれで良いのだろうか……。


「金重さんの大切な楽器を貸していただき、ありがとうございます!

 一所懸命練習しますね!」


「頑張るでござる。」


 響子はベースを貸してもらった嬉しさで、アニメステッカーが目に入る様子もなく、喜んでベースを受け取った。


「そういえば、金重が貸した楽器に響子さんの収納魔法は使えるのかな?」


 ふと疑問に思い、奏太が聞いてみる。


「確かにそうですね……。一応試してみますね!」


 響子が目を瞑りながら"収納"を念じる。

 すると、響子が金重から受け取ったベースは、異空間に吸い込まれた。


「出来ました!」


「ほんとだ。取り出しも問題なく出来そうですか?」


「やってみますねーー


 ベースが出てきました!」


 どうやら元の持ち主に貸した意図があれば、借りた者はそれを自分の意思で収納・取り出しが出来るようだ。


「じゃあ次は響子さんが収納した状態で、今度は金重が今のベースを取り出せるか試してもらってもいいか?」


「分かりました!」

「了解でござる!」


 まずは響子がベースを収納する。

 そしてその状態で今度は金重がベースを念じる。


「ベースが出てきたでござる!」


「なるほど。ということは、本来の持ち主も貸した楽器に収納魔法が使えるのか。

 ちなみに金重がベースを持った状態で、響子さんが取り出す事は出来そうですか?」


「試してみますーー



 ……う~ん、出てきませんね……。」


 一応逆も試してみる。

 響子がベースを持った状態で、金重がベースを呼び出すと、響子の持っていたベースが消え、金重の元に現れた。


「貸し出しの場合は、元の持ち主の収納魔法が優先されるのか。」


 これで借りパクを防げるわけだ。中々便利に出来ている。


「小生は基本使わぬゆえ、響子殿の方から小生が取り出す事はないでござる。

 安心して使っていいでござるよ。」


「金重さんありがとうございます。

 重ねて申し訳ありませんが、もしよろしければ、今度ベースの弾き方を教えてもらっても良いですか?」


「いいでござるよ。」


 ーーしまった! 響子さんには俺が教えたかったのに!

 とは言ってもベースはあまり弾いたことがないのだが。

 仕方ない。響子さんへのレッスンは、ベースを貸した金重に譲るとするーー

途中、パンクロックのスタイルについて大まかに書きましたが、例外ありと書いた通り、一部当てはまらないバンドがあります。

例えば、ゴシック・パンクファッションがV系バンドに見られると書きましたが、V系バンドの走りは、へヴィメタルバンドであるKissのスタイルの影響と言われています。


また、USパンクバンドにも、Green Day等、ファッション的にUKのゴシック・パンクスタイルを意識したバンドも見られます。


日本においては、80年代当たりには音楽性としてのパンクと、ファッションとしてのパンクは共通していましたが、昨今のバンドに見られるパンクスタイルには、音楽性とファッションで、メロコア路線とV系路線に道が分かれたと見られます。


バンドを取り扱う日本の漫画等では、ここら辺をゴチャゴチャに認識している作品が多くあり、最近のパンクバンドという設定なのに、どう見てもV系の格好をしている、といったような表現が散見されるため、この度、UKパンクとUSパンクの違いについて、大雑把に説明させて頂きました。

一部、僕の認識違い等もあるかと思われますので、間違いがございましたら、指摘していただけると幸いです。

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