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契約

ドラゴンとの契約です。

ドラゴンが光に包まれたかと思うと、すぐにその光は消えた。

その代わりに、目の前には青年が立っていた。


綺麗に整えられた漆黒の髪に、陶器のように透き通るような綺麗な肌。金色の瞳は違和感を覚えることはなく、少しタレ目の大人の色気を感じる目は長いまつ毛に縁取られている。身長も180センチほどあり、モデルのように手足も長く、やせているように感じるが、服の間からのぞく引き締まった筋肉は弱そうなどと思うことは無い。ただ…


(この服は何でしょう)


この男が誰かという問題より、服のことが気になった。

例えるなら、ある日、街を歩いていたら思わず「え?何この人…」と、振り返ってしまうほど人の目に付く格好をしている。

王子様のようなきらびやかな服と言うよりは、犯罪者や暗殺者、とにかく怪しい人のような全身真っ黒な服を着ている。


(何でしょう…これから何か起こるのでしょうか…?)


若干引きつつ、距離をとるべく離れようとすると…


《ま、まて!はなれようとするな!あっ、いえ、しないでください。とにかく、俺は怪しいものじゃないっ!…です》


「あやちい人は、大抵そう言いましゅ」


さらに距離をとりつつ言うと、


《本当に、怪しくなんてねぇのに…、俺はドラゴンだって》


「本当に、ジョラゴンしゃんでちゅか?」


《あぁ》


「しょうでちたか、たいへんな勘違いをちていたようでちゅみまちぇん。でも、その喋りかちゃはなんでちゅか?しょれに、しょの服は?」


《喋り方は、まぁこれが本当の俺の喋り方。さっきまでのは、やっぱ契約者だから敬わねぇとって思って、俺が頑張って今まで覚えてきた敬語。まぁ、結局は毎回俺が変身したら態度変わるやつが大半なもんで、素の俺の話し方が出るんだがな。それから、服に関してなんだが…そんなにおかしいのか?知り合いのドラゴンが、「人間はこのような格好をしておるぞ」って言うもんだから、それを真似してみたんだが……》


ドラゴン自身、困惑しているようだ。

知り合いのドラゴンがどんな人物なのかや、異世界人の服がどんな物なのかは知らないが、この服は元日本人の私の目から見てもおかしい。

仮に、この世界の人みんながこんな格好をしていたら私は疑心暗鬼になってしまうだろう。

ここは、はっきりと言ってやろう。


「おかちいでちゅ!」


《そ、そうなのか……(アイツ次に会ったら絞めてやる)》


どうやら余っ程ショックだったようで、「ガーン」という顔文字が似合いそうなほど落ち込んでいる。しかも、何やらブツブツと物騒なことを言っている。


(今からもっとマシな格好を教えてあげましょう。まぁ、こっちの世界と違う異世界基準になってしまいますが…コレよりはマシでしょう)


まだ落ち込んでいるが、慰めるように私は言った。


「大丈夫でちゅ。確かに、はんじゃいしゃのような格好でちゅが、わたちがしょれよりマシな格好をおちえてあげまちゅ」


少しばかり、さっきよりも落ち込ませる発言を私はしたのには気づかなかったが、向こうも気づいていなかった。

食いつくように私に詰め寄ったかと思うと、いきなり抱きあげて抱きしめられてしまった。


「にゃ、にゃにを……」


するんですか。と言おうとしたがそれは叶わなかった。


《感謝する。本当にありがとう!》


少しばかり涙目だったのはおそらくさっきのショックを受けた時に、泣きそうになったのだろう。

格好はともかく、俗にいうイケメンに笑顔で感謝を言われるとは少しばかり気恥しい。しかも、抱きしめられているこの状況、見ようによっては犯罪臭がする気がする。


「いいかりゃ、離れてくだちゃい」


《あ、あぁ、すまない。嬉しくてつい、な》


「しょうでちゅか、じゃあ今からおちえまちゅからしょの通りにしてくだちゃいね」


《わかった》


私はしばらく考えたあと、執事ような服を教えるようにした。


(ヴァンパイアや、狼男、人外の話は外国から来ていたと思うので大丈夫でしょう)


などと理由づけ(言い訳)を、心の中でしつつ教えた。


「くりょの服は、ジョラゴンしゃんに似合ってりゅので、組合わしぇをかえまちゅ。くりょのジャケットに、しりょのワイシャチュ、くりょのジュボンに黒い革のくちゅを履いてくだちゃい。首もちょに、くりょいリボンもわしゅれじゅに」


言いたいことを言ってスッキリした。

ドラゴンは、私の言葉を聞くとすぐに光に包まれ、次の瞬間には格好が変わっていた。


(何というか、若い娘さんが放っておきなさそうですね)


そう思ってしまうほど、似合っていた。


(さっきよりはマシになりました。さて、話が流れていましたが次は契約ですね)


「ジョラゴンしゃん、契約、ちまちょう」


《あぁ、そうだな。始めようか。なーに、難しいことはしねーよ。ちょっとばかし俺がハクの血をもらうだけだ》


その言葉を聞いて安心した。私は頭の中で対価を考えていたが、自分の血をちょこっとあげるくらいには問題はない。


(ハサミで切ったらいいのでしょうか)


確か、救急箱の中に入っていたはずだ。取り出そうと、リュックの中を漁っていたら、


《何やってんだ?ハクはなんにもしなくていいから、ちょっと手かりるぜ?》


そう言って私の手をとると、ドラゴンの爪が私の手のひらを少し引っ掻くように切った。

そして、その血を舐めとると…


《え、何この血。すげーうめぇ》


などと意味のわからないことを言ったあと、


〝我、アーガス・ラベリュートは、血の盟約に従って、この者、ハクに生涯仕えることを宣言する。なお、この者がなくなった場合は契約は解除される。絶対服従と魔力の増加、以上のことを、この契約では交わす。我が、裏切った場合は、死をもって償おう〟


そう言ったかと思うと、私の掌には、赤い薔薇のような模様が浮きでていた。


(契約の証でしょうか)


やっと終わったと安心していると、


《あー、疲れた》


いきなりのしかかられた。


「ちょっと、重いでちゅ」


《いや、すまねーな。少しばかり久しぶりでな。疲れたんだよ》


「そうでちたか」


《なんせ、300年くれー前だったかなハクの前に契約したの》


「しゃ、しゃんびゃくねん……」


《おう。契約者が亡くなってから俺はココに住み着いたからな。ハクが、久しぶりに見る人ってこった。ここはめったに人が入って来れねーとこにあっからよ。なんせ魔物が出る森の奥、神聖な泉ってことになってるが、騎士や余っ程強い冒険者じゃねーとたどり着けないほどの所だ。来ようと思うやつすら居ねー。そう言えば、何でハクみてーな子どもがここにたどり着けたんだ?子どもかと思ったが、もしかしてエルフみたいに老いにくいだけか?》


衝撃だった。魔物が存在するのには驚いたが、そんな所に私が飛ばされていたとは…。

(白は知らなかったが、周りにいた妖精や加護のおかげで魔物に襲われていなかっただけで、実際は魔物の巣窟のような森だった。一歩間違えれば、即ゲームオーバーのような状況だったのである)


(真白様、ここが危険な場所だと手紙に書いて欲しかったです)


なんてことを考えていると、


《もしかして聞いちゃいけねーことだったか?どうやら、ハクの格好も変わったもんだったし…、まぁ、俺が言えたことじゃねーんだけどよ》


どうやら、私は泣きそうな顔をしていたようだ。


(心配をかけてしまいましたね)


「だいじょうぶでちゅ、わたちは一応ごしゃいのれっきとした子どもでちゅ。服のことは、まぁ、こういうみんじょくだと思っちぇくだちゃい」


《そうか……(服のことだけじゃねーけど)、人それぞれ理由があるもんな。詮索はしねーよ。ところで、ハク、これからどうするんだ?住む場所とか…》


「どうちまちょう。わたちはこにょ森をにゅけたとろこにある街をめじゃしていまちたが…」


《あー、あそこか、あそこはなー…》


何やら言いにくそうだ。


《ここと逆方向にあるんだよ…。つまり道を間違えたな》


ガーン


「ど、どうちまちょう」


《あそこに知り合いがいるわけじゃねーなら、ここで俺と住むか?食べ物は俺が調達するし、魔法の使い方も教えてやる。あー、やっぱ人間ほうが好きか?》


「いえ、ジョラゴンしゃんもだいしゅきでしゅ。住んでもいいにゃら、ここにしゅみたいでちゅ」


《そうか、そう言ってもらえて嬉しいよ。じゃあ、これからよろしくな》


「はい、よろしくおにぇがいしまちゅ」


そして、新しい生活が始まった。

次は、ドラゴンとの楽しい一日ですかね?まぁ、楽しみにしてください。

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