新しい出会い
新しい出会いです。
森をしばらく歩いて私は思った。
(この森、広すぎです……!)
手紙を読み終えた後、森を抜けるべく真っ直ぐに進んだのだが、まったく先が見えない。
しかも、服が邪魔で前に進みにくく、荷物も重い。
(この調子だと、後どれくらいかかるかわかりませんね)
少しばかり後ろ向きな気持ちになりそうだが、諦めるわけにはいかない。
しかし、子供の身体では限界があるもので……
(き、キツイです!)
流石に、何時間もの大移動は子供の身体には堪える。
休もうかと思った矢先、
「あっ!」
思わず声が出てしまうほど、それは嬉しかった。
(光が微かですが見えてきました。もうすぐ森を抜けられるのでしょうか)
淡い期待を胸に、進んでいくと眩い光に包まれた。
思わず目を閉じてしまったが、恐る恐る目を開けてみると信じられない光景が広がっていた。
(これは……、私はいったいどうしたのでしょう)
頭がどうかしたのかと思った。
それほどまでにそこは、幻想的で、非現実的で私の理解の及ばない遥か彼方の次元のように感じた。
だが、それもすぐに思い直すことができた。
(あぁ、確か真白様が、ふぁんたじーの世界だと言っていましたね。だとしたら、こんな生き物くらいそこら辺にうじゃうじゃいるのでしょう)
確かに驚いたが、ただそれだけだ。
(あの生き物は、襲ってくるのでしょうか…)
よく分からないので、どうしたものかと思っていたが…
(あっ、そうでした。私には〖精霊視〗と言った力があるんでした。今も私の周りにいるのでしょうか。試しに使ってみましょう)
見えていないものを見えるようにするようなイメージを頭に浮かべ、しばらくすると、周りに色鮮やかな光…よくよく見ると羽の生えた小さな小人がたくさん現れた。
(こ、こんなにいるとは…)
若干引きつつも、質問をすることにした。
「妖精しゃん、あの生き物はなんでちゅか?」
すると、まるで話すことが出来て嬉しくて仕方ないというような声で答えてくれた。
『ドラゴンだよ』
『とっても強いよ』
『優しいけど、怒ると怖いよ』
たくさんの妖精がいるため聞き取りづらかったが、要約するとこんな事だ。
(ふむ、普段は穏やかなそうなので近寄っても大丈夫でしょう。あぁ、もうひとつ聞かないと…)
「妖精しゃん、あのジョラゴンは、喋れまちゅか?」
『うん、喋れるよ!』
滑舌が悪いが、ちゃんと言いたいことは伝わったようだ。
(喋れるということは、ここがどこか聞けますね)
《お前は、どこから来た》
ドラゴンと会話をするため近づくと、低い男性の声が聞こえた。
騒音のようではなく、落ち着いていて耳に残るいい声だ。
「その声は、ジョラゴンしゃんでちゅか?」
《そうだ》
「そうでちゅか、わたちは白でちゅ。どこから来たのかは、なんて言っちゃらいいのか分かりまちぇんが、このしぇかいとは違うしぇかいから来まちた。ここがどこか、ちっていたらおちえてほちいでちゅ」
警戒させないように、笑顔で話したら何やら動揺した声が聞こえてきた。
《お前は、俺が怖くないのか?》
私の発言の答えにはなっていないが、質問に答えることにした。
「じぇんじぇん、怖くないでちゅ!」
《そうか…》
そう言ったあと、しばらく思案しているようなので言ってやった。
「ジョラゴンしゃんは、大きいからわたちなんて丸呑みでち。ちゃんとわたちとはなちてくれているので、あなちゃは、じぇんじぇん怖くないでちゅ!」
すると、目を見張り、ゆっくり閉じたかと思うとおもむろに、
《私と契約しませんか?》
思わず、コケそうになってしまった。
二つの意味で驚いたのだ。さっきまで、落ち着いた大人の男性というような喋り方から、少し真白様や、私と同じような敬語になっていたことと、契約という意味のわからないことに話がぶっ飛んだのに驚いた。
「契約ってなんでちゅか?それに、しょの喋りかちゃは?」
《ふむ、いや、これといった意味は喋り方にはありませんが、理由を言うならばさっきまでの喋り方は、舐められないためのものです。信用するに値すると感じた人には、今の喋り方と、契約を持ちかけるようにしてます。契約とは、結ぶことによって私とハクが、見えない糸で繋がってどこにいるのかがお互いわかったり、魔力を増やすことができる。と言ったところですね》
「そうでちゅか」
これからの人生を考えたら、ここでこのドラゴンと契約するのもいいかもしれない。
「分かりまちた。契約ちまちゅ」
《そう言ってもらえてよかった。では、早速契約を始めましょう》
その声を聞いたあと、目の前のドラゴンが光に包まれた。
次は、皆さんも分かるようにドラゴンとの契約です。




