王都へ
王都への道のりと着いた直後の話です。
今私は、団長に抱っこされている。行き先は、王都だ。
(はー、本当になんでこんなことに…)
アーガスを待っていたはずが、王都に行くことになるとは…、予想できなかった。まぁ、しかしこの人達はいい人そうなので一先ずは大丈夫だろう。
(王都までどのくらいの距離なんでしょうか)
考えても仕方がないので、別のことを考えることにした。
王都までの距離、どんな所か、私はどんな立場になるのだろうなど悶々と考えていると、
「ん?どうした、天使ちゃん。なにか心配事でもあるのか?」
団長が話しかけてきた。
(さっきからずっと気になってましたが、“天使ちゃん”とは私でしょうか。できればやめて欲しいですね)
「団長しゃん、いいかげんやめてくだちゃい」
すると団長はキョトンとした顔になり、
「何が?」
と聞いてきた。
(分からないんですかね?)
私は少しばかり呆れてしまった。
「わたちの名前は、白でちゅ」
今、自分の名前を言って気づいた。
(あぁ、そう言えば自己紹介してませんでした)
「そうか!じゃあ、ハーク…ハク。俺のことはマティアス…マティーと呼んでくれ」
おおぅ、団長の名前が判明した。しかし、私の名前の発音の仕方が少し違う気がするのは気のせいだろうか。
とりあえず今は気にしないことにした。
「あい!マティーしゃん!」
ドバッ……
ぎゃー!鼻血だ!団長が鼻血だした!
(うぇぇ、何でですか。私なにかしましたか。気持ち悪さがMAXになって出しちゃったんですか!本当にすいません…)
私はビックリして、思わずマイナス思考になってしまった。
少し落ち着いた頃、マティーさんの鼻血も落ち着いた。
「マティーしゃん、大丈夫でちか?」
しゃがんでいたマティーさんを下から覗くようにして聞いた。
「あ、あぁ。大丈夫だ…(可愛すぎてヤバかった)」
最後の方の言葉は聞こえなかったが一先ず大丈夫そうでよかった。
「ガハハハッ、嬢ちゃんの可愛さにやられたかー。団長なのに軟弱な!」
副団長が、現れた。と言ってもずっと横にいたのだが…
「煩いぞ、ガイ。お前なんて悪人面のおじさんにしか見えねえんだ。ハクから泣かれろ、クソ野郎!」
またまた、人の名前が判明した。どうやらこの副団長、ガイという名前らしい。
「はっ、そんなことあるわけねーよ。嬢ちゃんは俺の顔を見ても泣かなかったぞ。な?」
(あ、ちょっと待ってください。目にゴミが…)
「ははっ、ハク、泣いてんじゃねえかよ。だせーな、ガイ」
目にゴミが入って痛くて涙目になっただけなのだが、勘違いされてしまった。
「うおっ、なんだ、俺が悪いのか?俺の顔が悪いのか?そんなに怖いのか?」
副団長が落ち込んでしまった。仕方がない、私のせいだから慰めてやろう。
「ガイしゃん!だいじょうぶでちゅ、怖くないでちゅよ。さっきはちょっと目にゴミが入っちぇ…、とにかく、わたちはガイしゃん好きでちゅよ?」
少し抱きつくにはでかかったが、まぁ、身体に張り付くことは出来た。その状態から言ったら…
ブハッ……
うぇぇ、またか、2度目だぞ!いい加減傷つくぞ!
自分の顔が無表情になるのを感じつつ、静かに離れた。
(あぁ、選択を間違えたのでしょうか。まさかこんな変人集団とは…)
鼻血をだしているガイさんと、それを爆笑しているマティーさんを視界の隅に追いやり、ほかの団員について行った。
トコトコと歩いていると、目の前にいたニコさんが私に気づいた。
「あれ?どうしたっすか?団長たちは?」
そう質問してきたので私は黙って後ろを指した。すると、なぜだか納得したような顔になり、
「じゃー、俺が抱っこしてもいいっすか?」
と聞いてきた。答えは勿論イエスだ。
「あい!ニコ兄ちゃん、耳しゃわってもいいでちゅか?」
おおっと、思わず願望もでてしまった。どんな反応をされるのかと思っていると、
突然顔面を手で覆い、
「ちょっと待ってほしいっす…(うぉぉ、ニコ兄ちゃんっすか、ちょっと恥ずかしいっすけど嬉しいっす)」
と一言いって深呼吸したら、
「大丈夫っすよ。でも、兄ちゃんがやめてって言ったらやめて下さいっすね?」
と言った。私は心の中でガッツポーズをしながら、ニコさんに抱っこされる。
もふもふ、もふもふ……
(これぞ至福のひととき…)
と思っていると、
「あー!ニコ!ずりーぞ!」
「そうだね、確かにずるい」
「おや、貴方も誘拐ですか?」
赤髪ヤンキーさん、銀髪おねーさん、緑髪インテリさんがやってきました。
私はもう何も聞かない、寝るんだ!
そうと決まったら、早速ニコさんに身体を預けて目を瞑った。
◆◇◆◇◆◇
しばらく時間が経ち、目が覚めた。どうやらもう王都に着いたようだ。
(それにしても近すぎませんかね?まさか、真白様が言っていた街って王都のことだったり…)
情報に誤りがあったことに少し気づいたが、特にこれといって問題は無い。
気を取り直して、街の様子に目を向ける…
(賑やかですね、皆さんイキイキとしています)
飲食店や服屋、色々な店があるのを目を輝かせながら眺めていると、大きな教会があることに気づいた。
教会に行かないといけないことを思い出すと、私は抱っこしてくれていた人を見た。
……え?誰ですか?
見たことがない人が私を抱っこしていた。髪は紺色で瞳は黒、なんとなく夜を連想するその人は見たことがなかった。
(こんな人、いましたかね?)
少し疑問に思ったが、私はつい先程騎士団の人達に会ったばかりなので、顔を知らなくてもおかしくはない。そのため、気にしないことにした。
「ちゅいまちぇん、教会に行きたいんでちゅが…」
私が起きたことに気づいたその人は酷く狼狽していたが、すぐに団長の元に寄り、確認をとってくれた。
再び私はニコさんに抱っこされることになったが、気にしない。
さぁ、協会に行こうではないか!
次は、ついに真白様との対面です。




