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飯テロ(?)

主人公ちゃんsideです。

はい、こちら白です。ただ今、絶賛現実逃避中です。

目の前で繰り広げられる馬鹿みたいな喧騒を眺めながら、私は呆然としている。


(なぜ、こんなことに…)


時は少し遡る……。


◆◇◆◇◆◇


私が騎士団に保護されることに決まった後、騎士団の皆さんのお腹が盛大に鳴った。


……私ですか?勿論、食べて少ししか経っていなかったのでなりませんでしたとも。


どうやら皆さん、深夜からずっと森を散策してたらしく、緊張状態にあったそうだ。

だが、そこに私の登場。皆さん、気が抜けたんだろうね。


なので、これからご飯にするという。

材料はあるが料理をまともに作れる人がいないため、簡単に、肉を焼いたものとパンを食べるそうだ。

しかし、私はそれを許さない。


(皆さん、まだ二十歳前後くらいの年齢。働くためには、体をまず作らないといけません。そのためには、私が料理をしないといけないでしょう。思い出しますね…確か、私の旦那様もそういうことは無関心で、いつも私が手作り料理をしては凄いなどと褒めて、美味しいと笑顔で言ってくれました。これからは、この世界でそういう相手を見つけたいものです)


少しばかり感傷に浸ったが、気を取り直して料理をする準備にとりかかる。


「すいましぇん、わたちが料理をしてもいいでちゅか?」


まずは、近くにいたニコさんに確認を…


「えっ、料理出来んの?団長ー!どうしますか?」


「なんだ、どうした?」


あぁ、団長を呼ばれてしまった。私は少しこの人が苦手だ。

だが仕方ない、団長さんに確認しよう。


「料理を作ってもいいでちゅか?」


すると団長は、少し悩むように、


「本当にできるのか?」


と聞いてきた。確かに、こんなに小さな子どもが料理を作るのは心配だろう。しかし、私としては、貴方達の身体が心配なんですよね。

私が頷くと、団長は唸るように…


「……頼む」


と一言言った。私は言質をとったと思い早速調理にとりかかった。


(今回は、質よりも量がいいかもしれませんね)


何を作るのか考える。まずは材料の確認だ。


騎士団が持っていたのは、肉(聞けば魔物の肉らしい)、バケットのようなパンと調味料(塩や胡椒)だった。私は、妖精さんが木の実や果物を出してくれたのを思い出した。


(もしかしたら、頼んだら用意してくれますかね?)


ダメもとで頼むことにした。


「妖精しゃん、野菜用意してくれましゅか?」


すると…、


「えー!妖精と喋れるの?凄いね!」


褒めてもらえた。でも今はどうでもいい。


『いいよ!』


『役にたてて嬉しい!』


『さぁ、皆張り切って頑張るぞー!』


『『『『『おー!』』』』』


緑色の妖精さんたちが、可愛いかけ声とともにどんどん野菜や木の実を出していく。

かるく山ができた所で止めた。


「もういいでちゅ。ありがとうございまちゅ」


お礼を言うと、妖精さんは嬉しそうに揺れた。


さて、材料も揃ったことだし調理開始だ。

今回は、考えた結果“ボリューム満点サンド”を作ることにした。


最初に野菜の準備だ。水色の妖精さんに水を出してもらい野菜を洗っていく。途中から、団員さんも手伝ってくれた。野菜を洗ったら、次はパンに挟めるサイズに切った。子どもの手なので少し危なっかしそうに見えたが、余裕だった。

野菜の準備は終わった。次は、肉を焼こう…と思ったら既に焼かれていた。

誰がやったのだろうと思ったら、私の横で赤色の妖精が胸を張っている。


(あぁ、君がやってくれたんですね。ありがとう)


かるく撫でたあと、パンに材料を挟んでいく…。そして少し時間がかかったが、料理が完成した。


(さて、どんな反応が返ってきますかね)


ドキドキしていると…。


「うおっ、スゲーな嬢ちゃんみんなの分作ってくれたのか。じゃー、俺が一番最初に頂くぜ?」


そう言って、サンドを取ったのはヤクザさんだった。


(口に合いますかね)


さっきとは別の意味でドキドキしてきた。ヤクザさんが口に運ぶのを黙って見届けると……

いきなり、ヤクザさんに肩を掴まれた。


(あぁ、やはり口に合わなかったんでしょうか…)


「ご、ごめんにゃ…」


「嬢ちゃん、嫁に来ねーか?」


謝ろうとしたら、ヤクザがとち狂ったことを言い出した。


(え?本当にこの人頭大丈夫ですかね?)


少し不安に思っていると…


「嬢ちゃん、料理上手だなー。俺、こんなうめーもん久しぶりに食ったぜ。ありがとな!」


どうやらお口に合っていたようだ。しかし、先程のようなとち狂った言葉はできればやめて欲しい。


「どういたしまちて」


とりあえず言葉を返すと、


「じゃー、次は俺」「私も」「僕も」「俺様も!」


たくさんの人達がわらわらと寄ってきた。私は、笑顔で迎えると来た人に次々と渡していく。

そしてサンドが、なくなり始めた頃…。


「あー、おめー何個目だよ!俺様が食うんだぞ!」


「いえいえ、譲れませんよ。それにあなたも沢山食べたでしょう」


冒頭に戻る。


(本当にこの人達は子どもですね)


見た目子どもの私が何を言うか。と皆様考えると思いますが、そういう意味ではなく、中身が子どもなのです。

(私からして)大の大人が、食べ物の取り合いをしているとは…、情けないですね。


しばらく呆然と眺めていると、その喧騒も終わった。と言うか強制的に終わらせられた。


「お前ら煩いぞ。いい加減黙らないと、帰ったら訓練がもっと厳しくなると思え。なんなら、今からしばいてやろうか?ア?」


ヤンキーさん……もとい、団長さんがキレた。団員さんたちは震えている。そして私も震えている。


(あぁ、ちょっと騒がしいだけの楽しい食卓だったのに…少し残念です)


葬式のような静けさを保ったまま、皆ご飯を食べ終わった。

私はゆったりとくつろいでいたが、突然目線が高くなり、視界が広がった。それもそのはず、振り返って確かめると団長さんが私を持ちあげていた。

そして、そのまま私は団長さんにお姫様抱っこ(私の記憶の中で初めての出来事だった)をされ、


「さぁ、飯も食べたことだ。さっさと帰るぞ」


連れて行かれた。

次こそは王都へ!


作品を読んでいただいてありがとうございます(*˘˘*)

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