家族との別れ
初投稿作品です。よろしくお願いします。
毎日が、ただただ楽しくそれ故に終わりがすごく怖かった。
死にたくないと思うけれど、目の前の家族を見ると温かい気持ちになって、生きててよかったと思えた。
私は、3人の子供と6人の孫に恵まれ、幸せに生きていた。しかし、年を重ねるにつれてだんだんと身体を思うように動かせなくなっていた。
仕事のある家族に迷惑をかけるわけにもいかず、施設に入ることにした。
家族は嫌がっていたが、私は、嫌いだから離れるわけではないことを伝えると、家族から、たくさんお見舞いに行くことを条件に、やっと施設に入ることができた。
私としては、そんなことが条件でいいのかと拍子抜けしたが、長男が、「うざいって、思うくらい行ってあげますから、覚悟してくださいね。」と、持ち前の胡散臭そうな笑顔で言ってくるもんだから、私は久びさに大笑いをしてしまった。
施設に入りしばらく経っても、施設の窓から見る景色は、とても穏やかで〝死〟というのを感じさせなかった。
最近の子は、お見舞いなんて来たがらないと思うのだが、今日は、来るのだろうかと楽しみにしている私がいる。
ドアを開けて、「また来たよ!」と、元気に言ってくる孫や子が私は愛しくて仕方なかった。
だんだん眠ることが多くなり、記憶も薄れていくなか、大切な家族のことは片時も忘れることはなかった。
今日は凄く眠たいと思うのだが、寝たら起きれない気がして、私は、私の家族に精一杯のありがとうを伝えることにした。
「今まで、支えてくれてありがとう。いつまでも幸せに、元気に生きてくださいね」
まるで、最後の言葉のようだが、まぁ、今の私の気持ちだから間違っていないだろう。
だからどうか、泣かないで、笑ってくれたら嬉しいな。
「いつまでも愛してますよ。大切な私の家族...」
そして、私はそのまま二度と目を覚ますことはなかった。
次は、白いふわふわとの対面です。