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一話 十五歳の誕生日

初投稿です、誤字等ありましたらご指摘お願いします。

まだ朝早い時間、僕は普段は着ないような服に戸惑っていた。


「えーっと、これでいいのかな?」

「あぁ、それで大丈夫だぞ」


戸惑う僕に声をかけたのは三番目の兄様、フレイ。

綺麗な金髪に赤い瞳を持って、整った顔立ちをしています。


フレイ兄様は朝早くから僕の支度を手伝ってくれています。

今日は僕の誕生日でそのための支度をしているのです。


「15歳の誕生日おめでとう、ソウ」

「ありがとう、フレイ兄様!」


僕の父様のルイス・オルティースはこの国、ルイスの国王であり、その息子である僕の15歳の誕生日である今日は、お城にたくさんの人を招いてのパーティを行うのです。

このパーティは代々、国王の子供が15歳になる日に行われます。


15歳という年はこの国では大人の仲間であることを意味し、これから行われるパーティに対する僕の不安も増していきます。


「僕がもう大人ですか……なんだかあまり実感が湧いてきません」

「俺もそんなもんだった、あまり気にし過ぎることはないぞ」


フレイ兄様はそう言ってくれますが僕の不安はなかなか消えません。

パーティ開催の大勢の前での挨拶などは大丈夫なのですが……


「貴族が自分の娘を連れて来た時が心配なのか」

「はい……」


フレイ兄様の時もそうだったらしいのですが、挨拶の後に貴族の方々が次々と自分の子を連れてくることがあります。

王族との関係を作ろうと迫ってくるらしく、当時のフレイ兄様もその勢いに圧倒されたそうです。


「まぁ大丈夫だ、そのあたりも父様が何とかしてくれるさ。ソウはパーティの主役なんだから細かいことは気にせずに楽しめば良い」

「はい、ありがとうございます」

「よし、じゃあみんなにお披露目するか」


僕がフレイ兄様と共に部屋から出ると、扉の前では僕の着替えを待っていた家族の皆がいました。


短い金髪と紅い眼が特徴的なルイス父様。

かつて有名な剣士として知られていたようで、国の騎士団の中には父様を目標として訓練をする方々が数多くいるんだとか。


対するアメリア母様は、長い髪と眼が澄んだような蒼い色をしていて、お母様の近くにいるとそれだけで安心出来てしまうほど柔らかな印象を受けます。


「お、着替え終わったか。よく似合ってるぞ」

「そうね、とてもかわいらしいわ」

「ありがとうございますお父様、お母様」


二人のそばには父様似の長い金髪に赤い眼の長女であるメリッサ姉様と、母様似の蒼い髪に蒼い瞳の次女、リーネ姉様。


長女のメリッサ姉様は女の子として大事にされ過ぎたのを嫌ったのか、父様に自ら剣術を教わったそうです。

何故剣術を教わったのか聞いてみた事がありますが、

「剣を振る方がマナーの勉強より楽しいし、何よりかっこいいからよ!!」

と、とても楽し気に話してくださいました。


反対にリーネ姉様は、メリッサ姉様の嫌っていた作法や魔法の勉強をこなしていました。

特に魔法を使う才能があるらしいのですが、本人はあまりその話はしてくれません。


性格もメリッサ姉様はとても活発で男らしいのですが、リーネ姉様はとてもお淑やかで女性的。

全くの正反対です。


そんな二人ですが、共通しているのが僕の髪をいじるのが好きな事。

何でも、兄弟の中でも一番母様に似て髪がサラサラしていて、触り心地がいいんだとか。

加えて顔が中性的でかわいいとも。


……僕だって一応男の子なんだけどなぁ


しかし前に思い切って短くした時は二人とも少し寂し気な感じを出していたので、それ以来僕は二人のために髪を伸ばしています。


「あぁ、ほんとにかわいい!服もよく似合ってるわよ!」

「あ、ありがとうメリッサ姉様。でもちょっと苦し……」

「お姉様放してあげてください!お姉様の力加減じゃソウが死んじゃいます!」


僕に抱き着いてきたメリッサ姉様をリーネ姉様が慌てて静止します。

お陰で僕にしがみつく姉様の力が緩みました。助かった……


本当は二人の他にも、もう二人の兄様がいるのですが今はパーティの準備を指示しているそうで、父様の代わりとして抜ける訳にはいかずにいるようです。


「フレイ、今日一日ソウちゃんの事は任せたからね!」

「あぁ、わかったよ姉さん」

「お姉様はともかくソウなら心配無いと思いますが……フレイお兄様にあまり迷惑は掛けないようにね?」

「はい、リーネ姉様。気を付けます」


リーネ姉様はちょっとメリッサ姉様に対して厳しすぎる気がするような……

そうこうしているうちに騎士団の方が開会の時間が後一時間ほどだ、と父様を呼びに来ました。


「よし、じゃあソウの準備も終わった事だし、そろそろ会場に行くぞ」

「そうね、始まる前に貴族の方々にも軽く挨拶に向かわなければならないかしら?」

「もうちょっとだけ撫でていたかったけど時間なら仕方ないわね!」

「お姉様は少し自重してください……やはりお兄様達がいないとお姉様を止めるのは無理ですね」


……リーネ姉様の苦労が垣間見えた気がしました。

折角家族の皆が準備してくれたパーティですし、僕は存分に楽しむつもりです。


「フレイ兄様、今日一日よろしくお願いします」

「あぁ、任せろ」


そうして僕たちは会場へと向かうのでした。

二話目は明日投稿予定です。

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