3.ルナという名の赤ん坊
本日ラストです!
(なんか、すごく長く寝てた気がするわ……)
「……あ、起きたな」
(カロン?あれ?私寝ちゃってたのかな……?うーん、でも、カロン、なんか嬉しそう?私は痛かったけど、そんなに気持ちよかったの?)
「ちょっと待ってろよ?すぐ戻ってくるから」
(……猫なで声?途中で寝ちゃったから欲求不満なの?)
「ぉぃ……」
「ぇ?」
(……女の声?え?……なんで他の女の人がいるの?)
「戻ったぞー」
「おー!起きてる!」
「だから、そんなにはしゃぐことじゃないだろ……」
(だれ?この声?私の視界の外で楽しそうに……ってあれ!?動けない!金縛り!?カロン!助けて!)
「あれ?なんか、もがいてないか?」
「そうね。よーしよし、お母さんが抱っこしてあげますからねー」
「あ、ずるいぞ。俺まだ抱いたことないのに」
(いや、抱いたことがないは嘘でしょ。結婚してからさんざん私を抱いてたじゃん)
「ほら、お母さんですよー?」
(うわ!えぇ?持ち上げ……抱き上げられた?あれ?私……小さくなってる?ってか、お母さんってなによ?)
「んー!」
(うわ、ちょ、近い、近いって!なんなのこの人……ほっぺたにチュウされた……絶対ヤバイ人だよぉ!)
「ほら、もういいだろ?代わってくれよ」
「えー、もうちょっとー」
(もうちょっとー、じゃない!カロン!どうなってるの!?説明して!)
「あら?暴れだしちゃったわ」
「元気に動く赤ん坊だな……普通こんなに動かないよな?まだ1週間だぜ?」
「うーん、そんなもんじゃない?ソルもだったけど、うちの子は頑丈なのねぇ」
(誰?また知らないやつの名前が出てきたんだけど)
「ルナ、今度はお父さんに来るよな?来たいよな?」
「そんなにムキになっちゃって、かっこ悪いわよ」
「なんとでも言え。今の俺にとっては愛娘を愛でることが他の何より大事なんだ」
(ルナ?愛娘?おかしいよ!なんで?私はエリスよ!ああ、声が出れば今すぐ叫んでやるのに!)
「よーしよーし、お、俺の腕の中が気持ちいのか?」
「一気に眠そうになったわね。がっしりした腕が落ち着くのかしら?」
(そりゃ、カロンの腕だもん……あん、た、の、腕、なんか、より、落ち……つくに……決まっ……て……)
「あら、本当に寝ちゃったみたいね。じゃあ、弟の隣に寝かせてあげよ?」
「うう、名残惜しいが……そうだな。赤ちゃんは寝るのが仕事だもんな」
「あ、そういえば、おっぱいあげ忘れちゃったわ」
「まだお腹が空いてないんじゃないか?そんな様子じゃなかったし」
「それもそうね。じゃあ、次に起きた時にあげようかな」
「ああ。それがいいと思うよ」
「じゃあ、私はまた、少し休んでくるわね。なんか疲れちゃった」
「ああ。子供たちは俺が見とくよ」