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Requiem of The TAMASYI!! ~転生双子の大冒険~  作者: 平行線R
第1章 requiem of the priest
16/22

16.ルナの暗躍

「ミョーンさん、ここは安全なの?」

「ああ。そうだ。とりあえず、追手には見つからずに済んだみたいだな」


 何故自分だけ別に運ばれたのかはわからないが、ルナは目の前にある新しい拠点を見る。

 前と同じような森の中の広場にテントを建てただけだが、心なしか前よりも簡易的に見える。

 きっと、すぐに引き払うことを前提として作っているのだろう。


「うん。じゃあ、ナル、なにかほしい物とかあるか?」

「え?なにかくれるの?」

「ああ。俺ができる範囲なら」

「うーん……何がいいかな……」


 これは、チャンスだ。

 もともと、油断を誘ってから適当に言い出すつもりでいたが、向こうから言い出してくれるのであれば話が早い。


「んーとね、私、欲しいものないなぁ……」

「そうかい。なんだって良いんだよ?」

「うーん……あ!じゃあ、お願いがあるの!」

「ん?なんだい?」


 慎重に……子供っぽく……

 あたかも今思いついたかのように条件を出す。

 幸運なことに、ミョーンは違和感を覚えていないようだ。


「えっとね、遊びたいの」

「んん?俺とか?」

「うん!あのね、お花摘み!」

「……うん。それぐらいならいいぞ。俺も一緒に遊んであげるよ」

「やった!たくさん、いろんなお花を集めた方が勝ちね!」

「ああ。いいぞ。量じゃなくて種類だな?……あ、この広場から出ないって約束してくれよ?」

「どーして?」

「森には怖ぁい魔獣がいるんだ。ナルが見えないところに行っちゃうと、守れなくなっちゃうだろう?」

「うん!わかった!」


(よし!これである程度自由な動きをしても怪しまれない!)


 ルナは心の中でガッツポーズをし、しかし演技は崩さずに会話を続ける。


「じゃあ、スタート!」


 そう言って、さっそく足元の花を摘み、キャッキャとはしゃいで楽しんでいる様子を演出する。

 ちなみに、ルナとして生まれてこのかた、こんな遊びはやったことがない。

 当然だが、実際はそんなに楽しくない。

 しかし、演技の甲斐あってか、ミョーンも付き合ってくれるようで、かがみこんで花を探し始めたようだ。


(ふふ……よし、じゃあ、後は隙を見て……)




 数分後。




 ルナの目の前に、知らない男が立ちふさがる。


「おうおう、ガキ、何してんだぁ?」

「あ、こんにちは!お花摘みしてるの!」

「……ミョーンの野郎、なんでこんなことして楽しいんだ?」


 内心、汗が流れるが、それを表に出してはいけない。


(私は無邪気な子供……私は無邪気な子供……ああ、もう、早くどっか行ってよ!)


「知ってるか?お前、ミョーンがいなかったら今頃酷いことになってたんだぜ?」

「うん、知ってる!おって?って言うのが来てたんでしょ?」

「……うん、あー、そうだな。……はあ、ガキってのは何考えてるのかわからねえな……」

「ねえねえ、ガキって何?」

「お前みたいなガキのことだよ!」


 思わず声を荒げる男。

 さて、これで怒ってどこかに行ってくれると良いのだが……


「おい、ナルを怖がらせるんじゃねえ!」

「ヒッ、なんだよ、ミョーン、このガキが話しかけてきたから答えてやっただけだよ……」

(確かに質問はしたけど、話しかけてきたのはそっちだったわよね……?)


 心の中でツッコミを入れるが、顔には出さない。

 

「ああ、もう、お前は今こいつと遊んでるんだろ?俺も邪魔はしねえから」

「……そうか。じゃあ、ナルを怖がらせるんじゃねえぞ」

(……ミョーンの顔が一番怖いんだけど……この反応、もしかしてミョーンって結構怖がられてる……?)


 ミョーンは名前はふざけているが、顔と声だけは盗賊団の一味と言って差し支えない迫力がある。

 まあ、ルナの世話をしているときは、厳つい顔がフニャンと笑顔になるのだが。

 子供好きなんだか何なんだか知らないが、ルナとしてはありがたい人物である。


 そんなことを考えていると、男の答えに満足したのかミョーンが花摘みに戻る。

 一瞬だけこちらを見て、どうだ?と言わんばかりの顔をしてきたので、すかさずよくわかっていないような顔を浮かべて無邪気さを演出しておいた。


 ともかく、そんなわけで邪魔な男も突っかかってこなくなったので、これで再び動き出すことができる。


 ルナは花を摘みながら、とある方向にどんどん進んでいく。

 ミョーンは視界には入れているようだが、あまり気にしていないようで、花探しを続けている。

 ちなみに今集計をしたらほぼ同点といったところか。


 しかし、ルナはそちらの勝負には興味がない。

 ルナはとある場所を覗き込み、そして、その下にもぐる。


(ここなら……これ?いや、違う……あ、これだ!)

「おい、気をつけろよ?お前になんかあると俺がミョーンに殺されそうだ」


 先ほどの男に見られていたが、止められはしないようだ。

 すぐに這い出て手に入れた花を笑顔で見せつけてやると、ふん!と鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。


(つまんない奴ね……でも、好都合ね。監視してくれてないと怪しまれちゃうけど、監視が強すぎると何もできないから……)


 ルナは手に入れた物を落とさないようにしっかりと服の下に持ちながら、花摘みを続ける。




 結局、いつまでにするのか決めていなかったので、お昼になって他の盗賊の男に呼ばれるまで続けてしまった。

 結果は、ルナが23種類、ミョーンが24種類で、ミョーンの勝ちとなり、ルナはミョーンからお花の冠を被せてもらってお昼ご飯へと向かうのだった……

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