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Requiem of The TAMASYI!! ~転生双子の大冒険~  作者: 平行線R
第1章 requiem of the priest
11/22

11.ヨルト村壊滅の一報

 カロンたちリクセル一家がキルノト村にたどり着いて3日後。

 ラルクスから早馬で、とある一報が届けられ、村中を騒然とさせた。

 そんな中、カロンは村長に呼び出され、宿屋にエリスと子供たちを残してリシュカを連れて村長宅へとやって来ていた。

「さて、リクセル殿、ようこそ」

「ええ。お招きいただき、ありがとうございます」

「まあ、掛けてください。ところで、何故リシュカ嬢を連れてきなさったんです?」

 キルノト村の村長――バラノ=キルノトが2人を丁寧に部屋に招き入れ、リシュカに(いぶか)()な目を向ける。

 リシュカは委縮して縮こまりながらカロンに目で助けを求める。

「たぶん、今回の話にお役に立てるかと思い、連れてきました」

「ほう、というと、今回何故お呼びしたかは見当がついているのですね」

 バラノ村長は顎髭(あごひげ)を撫でながら、興味深そうにカロンを見つめる。

「まあ、ともかく、要件を言いましょう。ご存知と思いますが、2日前、ちょうどあなた方がこの村に着いた次の日ですね。その日に、ヨルト村が壊滅いたしました」

 衝撃の事実。しかし、すでに耳に入っていたためカロンは動揺せずに(うなず)く。リシュカは身を強張(こわば)らせたが、成り行きを黙って見守った。

「確か、あなた方はヨルト村からやって来たそうですが……心当たりはありますか?」

 それを聞いて、リシュカはさらに身を強張(こわば)らせ、泣きそうになりながらカロンを見る。

「落ち着け、リシュカ。別に俺たちが疑われてる訳じゃない」

「ええ。その時にあなた方がこの村にいることは、前日にお会いした私が証明できますから。その点は疑っていませんよ。私が知りたいのは、村で何か変わったことがなかったのかです」

 バラノ村長はそう言い、カロンに答えるように促す。

「壊滅につながるような異変は、村では起きていませんでした。ですが、壊滅の原因には心当たりがあります」

「ほう、して、それは?」

「リシュカ」

「はひゃい!?」

 まさか自分に振られるとは思っていなかったのか、リシュカはその場で数センチ程飛び上がる。

「あったことを説明してくれ」

「わ、分かりました……」

 そして、リシュカはバラノ村長に、自分の生い立ち、そしてヨルト村で何があったのかを、しどろもどろになりながらも詳しく語って聞かせた。

 全てを聞き終えた村長は、苦い顔で呟いた。

「……リシュカさん、隣の村の村長として、そしてヨルト村の村長の友人として言わせてください。本当に、友人の村が申し訳ないことをしました。どうかこの村では安心して暮らしてください」

「は、はいです……」

「さて、それでは……話は分かりました。それで、今の話と、ヨルト村の壊滅と、いったいどのような繋がりが?」

 バラノ村長は、リシュカに頭を下げ、意識を切り替えて元の話題へと話題を戻す。

「俺は、ヨルト村の壊滅はリシュカを襲った賊と同じ賊の仕業だと思っています」

「そうですか、もしそうだとすると……」

「ええ。普通の賊は都市のすぐ近くの村なんて狙わないでしょう」

「つまり、その賊には略奪以外の目的があった……と、そう言いたいわけですね?」

「まあ、その通りです。そして、恐らくですが、その目的というのは……」

 カロンとバラノ村長の目がリシュカへと向けられる。

 リシュカはカロンたちが何を言っているのかよくわからなかったが、急に注目されて委縮してしまう。

「え、えっと……」

 小さく首をかしげながら2人の様子を(うかが)うリシュカは、困惑の表情を浮かべている。

「まあ、分かりました。リクセル殿、リシュカ嬢のことを、しっかり守ってあげてくださいね?」

「ええ。もちろん。引き受けたからには、無事にイセナまで送り届けますよ」

「え?え?」

 状況がわからないリシュカの横で、カロンとバラノ村長は握手を交わし、その場はお開きとなった。

 その後、バラノ村長は緊急に会議を開くからと言って部屋にこもり、カロンはリシュカを連れて宿へと戻るのであった。


   ♪


 ガシャン!

 男は、何度目かわからない酒瓶の投擲(とうてき)に、体を強張らせる。

 男の周りでは、下品な笑いを浮かべる男たち――男の故郷、ヨルト村を滅ぼした賊たちが酒盛りをしている。

「おうおう、女見てえにビビってんじゃねえぞオラ」

 グデングデンに酔った状態の、賊の首領らしき人物が、何本目かもわからない酒に手を伸ばし、男へと投げる弾丸を補充していく。

「おめえのガキのせいでよお、俺らは言われのねえ罪に問われることになんだぜぇ?あぁ?」

 話によると、賊が最初に情報を仕入れに村にやってきたとき、最初に声をかけたのが息子だという。

 息子は賊とは知らずに質問に正直に答えた。しかし、実は息子は数日前まで風邪で寝込んでおり、村の中に変化が起こっていたことを知らなかったのだ。

 結果として、息子は嘘をついたことになり、その嘘を信じた賊によって、村は滅ぼされた。

「あんな村、襲う価値もねえし、都市は近いし、こんなしょうもねえことで兵士団に動かれちゃたまったもんじゃねえ」

 賊の首領の言葉は、短絡的で、自己中心的で、被害者である村の人間からすれば、こっちこそ(たま)ったもんじゃないと声を大にして言いたい。

 もちろん、そんなことを言えばガラス瓶に拳のおまけまでついたフルコースをお見舞いされることは目に見えているので、言いはしないが。

「お前が吐いた情報を活用しようにも、追われる身じゃあ難易度跳ね上がんだよ。そもそも、嘘つきの父親が果たして本当に正直者なのか、見当もつかねえしなぁ」

 賊の首領は、酒を(あお)りながら独り言のように、それでいてこれ見よがしに男にはっきりと聞こえるようにそう言う。

「う、嘘じゃないです……確かに、あんたらが言う女は行商人と一緒に……リクセルって家族と一緒にヨンドルの方に向かいました……」

「ほう、そんなら、証拠を見せろや」

「……」

「な?証拠を見せられねえんだろ?それはお(めえ)が嘘をついているからだ」

「んな!?本当なんです!証拠は無くても、本当なんです!」

 賊の首領の無理難題に、男は必死に抗弁するが、賊の首領は聞く耳を持たない。

「ふむ、そうだな。なら、ひとまずお前の言ってることを信じることにしよう。お前ら!」

 賊の首領は立ち上がり、パンパンと手を叩く。すると、周りの賊たちが動き始め、男は後ろ手に縛られた状態で立たされる。

 何事かと、男が周りに目を走らせると、賊の首領が白い布を持ってきて目の前を男の覆う。

「!?」

「そう暴れるな。すぐに取ってやるからよぉ」

 そう言って男は離れ、同時に目の前を覆っていた布も取り払われる。

「!?」

 そして男は、再び別種の驚愕(きょうがく)に顔を(ゆが)めることとなる。

 男の目の前を埋め尽くすのは、いつの間に掘ったのか、地面に空いた大きな穴。そして、その中を埋め尽くす剣山だ。

「い、いったい何おぉぉぉぉ!!!?」

 後ろから背中を蹴り飛ばされ、一気に眼前に迫る針の山。

 あんなものが刺さったら死んでしまう!!

 思わず目を(つぶ)った男。

 しかし、訪れるべき痛みはいつまで経ってもやってこなかった。

 代わりに、手首の縄を後ろに引っ張られる別の痛みが襲い掛かる。

 男が恐る恐る目を開けると、目の前にはほんの数センチのところに凶悪な針の山があり、男は思わず声にならない悲鳴を上げる。

 どうやら男は、足を地面に固定され、後ろ手に縛ったロープをさらに違うロープで気に固定しているようだ。

 男の体はロープの長さによって足を軸として回転運動をし、後ろでロープを触って遊ぶ賊たちによって、男は絶えず針の山との距離を伸び縮みさせている。

「ほう、その様子じゃあ、勝手に抜け出そうとはしてなかったみたいだな。そのロープ、わざと緩めてあるから、抜けようと思えば抜けられるんだぜぇ?」

 賊の首領の言葉を聞いて、今まで全くそんなことを考えもしなかった自分に呆れかえる。と同時に、腕がすり抜けそうな頼りないロープを感じて、抜けだそうとしていたら今頃自分は真っ逆さまだったかと思い、ゾッとする。

「も、もういいでしょう?これで、俺が嘘を言っていないってわかったはず……」

「ああ。お前が嘘を言ってねえってこたぁ、よーくわかったぜ。つまり、お前はもう用済みってこった」

「!?」

「俺は、死が目前に迫った瞬間の人間の顔ってのが(だぁい)好きでなぁ?お前のその顔、これから何時間見れるか楽しみにしてるぜぇ」

 男は賊の首領の言葉に、顔面を蒼白にして取り乱す。

「い、嫌だぁ!死にたくない!なんでだよ!?本当のことを言っただろ!」

 腕を縛るロープの輪から、確実に腕が抜けていく感触を確かめながら、男はこれ以上ロープが緩まないように必死に体をねじる。

「そう、そう、その顔。最後、どんな顔で死ぬのかねぇ?あ、そうそう、お前の息子はな、目の前で少しづつ肉を削いで殺してやったんだぜ?自分の肉を食わされる気持ちはさぞ愉快だったろうなぁ」

 息子の話をされても男はすでに余裕がなく、気にかけている暇がない。

 男は3時間、そのまま体勢を保ち続け、最後には血が止まって変色した腕で顔を庇いながら剣山の穴の中に落ちていった。

 そして、顔を庇ったせいで死にきれず、その場でさらに数十分、苦しむことになる。

 全てを見届けた賊たちは、その無様な最期を嘲笑し、酒の(さかな)にして楽しい酒盛りを続けた。

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