憑依が直感でいけた件について。
今回は(恐らくこれからも)、『ほぼ』翔視点です。
ドンッ
「って...なにしてくれんだよ!」
「あ、もう終わりだ。タイムアーップ!」
審判らしき友達(もう俺の記憶からは無くなっている)がタイムアップを知らせた。
「ちっ…お前のせいで負けたんだ!お前がしっかりパスしてたらゴールして同点だったのに…しっかりコントロールしろよ!ふざけんな!」
俺(小4)は仲間の胸倉を掴みにかかった。
「早く憑依しなさいよ!」
ニート神が叫んだ。
その声で我に返った俺は、俺(小4)に向かって全力ダッシュした。……全力といっても、遅いけど。
あれ?憑依ってどーするの?
なんか唱えるのかな?
考え事をしていた俺は目の前に俺(小4)がいることに気づかなかった。
まだ全力ダッシュしたままだった。
なので、止まれるわけもなく…
ドンッ。
とかいうのが聞こえたり聞こえなかったり。
実際音も何も鳴ってなかったらしい。(ディオネ談)
………ん?
なんか体ちっさくないか?
これって…?
上手くいったのか?
やっぱりか。そうだ俺は初めから分かってたんだよ。そうだよ。
別にマグレとかじゃねーからな。
絶対に違うからな!
「何やってんだ?翔?」
黙ってつったってた俺は、審判の奴の声で我に返る。
「あ、あぁ…。んでもねーよ」
ここはバレないようにしなきゃ。
「は?お前喧嘩売ってんのか?」
俺(小4)が胸倉を掴みにかかった奴だ。
いやおかしくないか?
胸倉掴まれなかったぶん良かったと思えよ。
これが巷に聞く「小学生脳」って奴なのか?
「さっきまで散々、『お前のせい』だの『ふざけんな』だの言ってきて、今のはなんだよ『んでもねーよ』って!お前こそふざけんな!」
…あれ?
俺の中では最善の選択をしたはずなのに。
どうしてだ?
むぅ…
こんなこと考えてる暇あったら今の状況を打破する策を考えよう。
うんそうしよう。
「なんとか言えよ!」
やべぇ。マジギレしていらっしゃる。
うーん。どうしよう…
!!
これで行ってみるか!
「改めて思うと、俺、キレる事無かったな。さっきのは考え事。」
「あんた、誰?」
「いやいや、俺は翔だぞ」
「いや、翔がこんなに冷静なのはおかしいはず!いっつも直感で行動してるのに、今の言葉は、おかしい。」
こいつ、洞察力やべぇな。
でも、どうしよ。バレかけてるし、もういっそのこと…
「あー、バレちったかぁ。
俺は翔。でも、未来から来た翔だ。
だから違和感があったんだと思う。
信じれないなら、無理に信じなくてもいい。
どうせ、忘れるんだし。」
「え、ええええええええっ!
それって、タイムトラベルとかそんなやつみたいなやつなの?
まぁ、未来から来た翔と話せたことだし、喧嘩のことも、許してやろうかなぁーっ。」
「お願いしますっ!」
俺は他に頭をつけた。
…側から見ると、すごい光景だな。
「しゃねーなぁ。」
やったぜ。過ちを正したぞーっ!
ふと、腕時計を見ると、もう7分も経過していた。
「やべっ。もう直ぐでタイムリミットだから。
んじゃ、ばいばい」
「ばいばーい。ぜってー会いに行くからなぁー!」
あれ?どうやって出るんだっけ?
まぁ、入った時みたいに、テキトーにやったらいけるでしょ。
2分後。
「ふんにゅっ!
でれたぁー」
あれ?難しくなかった?
あと、周りの奴らから変な目で見られてたのも気のせいだろう。うんそうだ。そうに違いない。
まぁいい。
では戻ろう。
「で、どうだったの?結果は?」
「早速質問かよ!
まぁ、正体がバレたな。
でも、結果オーライだっ!」
自分では見れなかったが、側から見ると自分の顔はとてつもないドヤ顔だっただろうと思う。
「は?
まぁ、忘れるからいいけど…
…って良くないわっ!」
流れるようなノリツッコミをありがとう。
「あ、そうそう。前から気になってたんだけど、忘れた後ってどうなるの?」
「話をそらすなっ!
まぁ、端的に言うと、結果だけが残る。
今回の場合、許した『原因』は残らないけど、許したという『結果』だけが残るってこと。」
なるほどわからん
「まぁ、帰るか。」
「全然わかってないでしょ!
まぁ、いいわ。『時間歪曲』!」
ふぃー。戻ってこれたぁー。