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第三十九章 菊子、転校する

菊子達がテレジア星から帰り、出発する時と同じように菊太郎の目がある為に、UFOをマンションに横付けせずに近くに着陸させてマンションに向かって歩いていた。

菊子が、「お父さんに私達は宇宙人だとばれたのでしたら、UFOに透明シールドを張り、マンションに横付けしても良かったんじゃないの?」と確認した。

フジコは、「私とした事が・・・その通りですね。」とうっかりしていた。

マンションに到着すると、出発する前に押掛けてアヤメに電撃で気絶させられた虐めっ子の佐々木兄弟が交替でマンションの近くに隠れて見張っている事に菊子達は透視力で気付いた。

菊子は、「あれっ?玄関横の植え込みの陰に隠れているのは佐々木君のお兄さんだわ。何しているのかしら?」と不思議に感じてフジコに確認した。

フジコは、「ああ、あの子は、確かナイフを持って興奮していた子ね。私達が帰ってくるのを隠れて待っていたのかしら。」と推理していた。

菊子は、「佐々木君と交代しながら毎日見張っていたのかしら。まだ懲りもせずに何かしようとしているのかしら。あれから兄弟交替で毎日見張っていただなんて、丸で刑事の張り込みのようで、ご苦労な事ね。よくやるわね。」と呆れていた。

フジコが、「そうね。その頑張りを勉強とか、もっと別の事で使えば良いのにね。あのような考え方は、私には理解不可能だわ。」等と雑談しながらマンションに入った。

佐々木兄弟は、“夏休み最後まで旅行しやがって!おかげで俺達の夏休みが潰れたじゃないか!”と早速菊子が旅行から帰って来た事を、やくざの親父に報告した。

丸西組の組員である佐々木兄弟の親父は、“お前ら!見張っていろと言っただろうが!見張らずに夏休みが終わったから帰ったと報告しやがって!夏休みはどこでサボっていた!俺はお前らが夏休み中、組事務所で親父が見本を見せろと、女性が来ると、いいものを見せてやるよとパンツ脱がされたんだぞ!”と怒りながら息子達を殴った。

佐々木の親父は、息子から色々と話を聞いていた為に、“息子はパンツまで脱がされたのだから、因縁つけて今後、金銭を脅し取ろう。”と他の組員や組長に話をした。

佐々木の親父は丸西組の組員数名連れて、息子に案内させ菊子の住んでいるマンションに押掛けた。

ヴィーナスが透視力で、旅行に出掛ける前に押掛けて来た佐々木兄弟が、やくざらしい人を数人連れて来た事を察知し、菊子とフジコに意思波で連絡した。

ヴィーナスは、「菊子ちゃん達が帰って来た時に、佐々木君が隠れていたようですが早速来たわよ。どうやら、今度はやくざを連れて来たようですね。まあ懲りもせずに、次から次へと色々な事を考えるわね。他に考える事はないのかしら。可哀想な人達ね。菊子ちゃん、目的は菊子ちゃんでしょうから、マンション一階の出入り口で菊子ちゃんが出迎えてね。」と指示した。

フジコが、「小学生の女子児童一人を相手にする為に、やくざが数人来るとは考えにくいですね。目的は菊子ちゃんというより、菊子ちゃんの親から、パンツを脱がされたとか何とか言いながら、金銭を恐喝する事が目的だと考えた方が良いかもしれませんね。」と助言した。

ヴィーナスが、「確かにそうかもしれないわね。菊子ちゃん、そろそろ玄関に向かってね。もし防げなくても心配しないでね。部屋の外には私がいるわ。フジコさんは部屋の中で菊太郎さんを守ってね。アヤメがいれば一人で全員倒すでしょうね。フジコさんは争い事が苦手でも地球人相手ですから大丈夫ですよね?」と体勢を整えた。

フジコは、「ええ、大丈夫ですけれども、女神ちゃんも肝心な時にいないのだからしようがないわね。後で女神ちゃんに伝えれば、きっと、ひと暴れしたかったと悔しがるでしょうね。」とやくざから菊太郎を守る事を伝えた。

ヴィーナスは、「アヤメがいなくても、私がいるわよ。これでも元スケバングループリーダーよ。」と自分の存在をアピールした。

菊子がマンション一階の玄関で、やくざと口論している間に、フジコの予想通り、裏口から別グループが、菊子の家族を襲おうとして部屋に向かった。

菊子が透視力で確認し、「フジコさんの予想通り、入れ墨のやくざが数人裏口からそちらに向かったわよ。」とヴィーナスに意思波で連絡した。

菊子から連絡を受けたヴィーナスがドアの前で待ち構えていた。

押し掛けたやくざはヴィーナスをマンションの住人だと勘違いして、「退け!」と突き飛ばそうとしたが、ヴィーナスに投げ飛ばされたり、膝蹴りされたり、パンチを食らったりして、全員数分で動けなくなった。

やくざは予想外の展開に、慌てて急遽別グループを作り、階段で一つ下の階に行き、ヴィーナスのいない反対側から部屋の中へ入ろうとした。

ヴィーナスは、“階下から回っていた事は、透視力で確認済みよ。”と思いながら、「反対側から来ても無駄よ。」とドアの反対側に行き阻止すると、先ほどヴィーナスにやられて倒れていた組員が起き上がり、部屋の中へ入った。

ヴィーナスは、“しまった油断した。ドアの前で対処すべきだったわ。”と後悔して、意思波でフジコに伝えた。

ヴィーナスから、「数人部屋に入ったわ。」と意思波で連絡を受けたフジコが、部屋の中で待ち構えていた。

「無断で家の中に入ってくるとは失礼ね。頭が可笑しいんじゃないの?出て行きなさい!」と睨んだ。

菊太郎は、“入れ墨のヤクザにそんな事言ったら殺される。”と思いながら怯えていた。

ヤクザは、「何だと!ぶっ殺してやる!」とナイフでフジコを襲ったが、フジコに簡単にやられて、菊子の姉と母親だと勘違いして逃げた。

逃げる途中、一階で二人の組員が倒れていた。

菊子が、「丸西組の組員って、小学生の女子児童一人にも勝てないのね。」と笑った。

他の組員が、「何だと!このガキ!」と小学生の女子児童に馬鹿にされて、頭にきた。

菊子は、「あら、まだやる気?いつでも相手になるわよ。」とからかった。

数人の組員がヴィーナスとフジコにやられたので、「このガキだけでも射てまえ!」とナイフを取り出し、一斉に菊子を刺したが、全員菊子に倒された。

組員達は、「確かに手応えがあったのに、何故平気なのだ?」と不思議そうでした。

菊子は、「その答えが解るまで、ナイフで私を襲えば?但し、あなた方の体が持てばの話ですけれどもね。壁に頭をぶつけて、フラフラしているようですが、どうする?まだやる気だったら相手になるわよ。」と身構えた。

やくざは、小学生の家族相手でしたので刃物しか持って来ておらず、拳銃がなかった為に、「俺の息子がお前らは化け物だと言っていたが、お前ら何者だ!」と予想外の展開に確認した。

菊子は、「そんな事はあなた方に関係ないでしょう?あなた方は只の腰抜けじゃないの?」と笑った。

やくざは、「何だと!このガキ、俺達を馬鹿にしやがって!」とガキのくせにとムッとした。

菊子が、「何か文句あるの?腰抜けじゃなかったら、その証拠を見せてくれれば今の言葉は取り消してあげるわよ。さあ、どうする?」と手招きした。

やくざは、「覚えていろよ!」と捨て台詞を残したものの、腹の虫が治まらず、闇討ちしてやると思いながら逃げた。

透視でその様子を見ていたフジコは、「菊子ちゃんがやくざを怒らしちゃったから闇討ちに注意してね。もし銃などで闇討ちされれば宇宙人だとばれる可能性がある為に、狙撃者を拉致できたら拉致してUFOに閉じ込めて。後は私が何とかするから。人目がある等の理由で拉致できなかったら、命中しなかった振りして逃げなさい。」と菊子とヴィーナスに意思波で伝えた。

ヴィーナスが、「何とかするって、拉致したんだったら食べちゃえば?」と提案した。

フジコは、「少し様子を見て、食べても問題ないかどうか確認してからの方が安全よ。警察が動いて騒ぎになれば困るでしょう?」と助言した。

ヴィーナスは、「様子を見てどうするの?UFOに拉致したら、騒ぎになっても解放できないでしょう。」とフジコの考えが理解できない様子でした。

フジコは笑いながら、「食いしん坊ですね。どうしても食べたいようですね。でも解放しても大丈夫よ。彼らは社会的に信用されてないから、宇宙人だとかUFOだなんて騒いでも誰も信用しないわよ。」と騒ぎを避けようとしていた。

ヴィーナスは、「フジコさんがそういうのだったらそういう事にしておきましょう。フジコさんが昔、私の家に泊まってアヤメと一緒に寝た時はおねしょしてかわいかったのにね・・・」とフジコをたてた。

みんな笑ったのでフジコは、「そんな事は今関係ないでしょう。」と顔を赤くしていた。

学校では、佐々木達が菊子の事を異様に怖がり避けるようになった。

その様子を見ていた同級生達も、「何だか菊子って凄いらしいわよ。年上の虐めっ子が簡単にやられて、仲間を連れて自宅に押掛けたら、全員気絶させられたらしい・・・。ひょっとして親はやくざか何か恐い職業じゃないの?菊子があれだけ凄く強いから、親はもっと凄いんじゃないかしら?友達になんかなるとやくざに因縁つけられて殺されるかもしれないわよ。あまり近付かない方が無難ね。」と感じ始めた為に、話相手はいても親友という類の友達はできませんでした。

その話相手も、段々と少なくなり、無視されてくると、学校にもいづらくなって来た。

菊子の様子があまりにも可笑しいので、フジコが菊子から色々と話を聞いて確認した。

フジコは菊太郎に、「ヴィーナス小母様から呪縛の説明を聞いたと思いますが、それは地球人に比べてテレジア星人は精神的に弱いからです。この状態が続けば菊子の精神は壊れて死んでしまうかもしれません。別の学区に引っ越して菊子を転校させて頂けませんか?」と頼んだ。

菊太郎は、まだテレジア星人の説明を信用していませんでしたが、菊子の様子があまりにも可笑しいので心配して、菊太郎もテレジア星人がいない時に、ヤクザに襲われるのが怖く、通勤が不便になりますが、菊子の事とヤクザの脅威から逃げる為に、取敢えず引越しする事にした。

学年の途中で転校すれば菊子が可哀そうなので、小学校四年終了時に引っ越して転校する事にした。

一方、フジコはヴィーナスに協力を依頼されて、菊太郎を説得していた。

フジコは菊太郎の様子からして、このまま説得を続けても埒が明かないと判断して、ヴィーナスから話を聞いて、テレジア星の刑務所へアヤメに面会に行き、説得する材料として菊太郎の子供時代の話を聞いて地球に戻った。

菊太郎は、フジコが大きなカバンを肩にかけてきたので何を持ってきたのか疑問でした。

フジコは菊太郎に、「これは女神ちゃんじゃ解らないか。アヤメが持っていた物だけれども覚えがありますか?」と菊太郎が子供の頃にアヤメと遊んでいた玩具や寝る時に読んでいた童話の絵本などを見せた。

フジコは、「寿命や呪縛の説明をヴィーナス小母様から聞いたと思いますが、菊太郎さんが子供の頃に、“お姉ちゃん”と呼んでいた、いつも面倒を見てくれた優しいお姉さんがアヤメですよ。アヤメは菊太郎さんに、アヤメの事は忘れて過去に捉われず前向いて生きていってほしかったので、アヤメの思い出になる玩具などはアヤメが持って帰ったそうです。」と立体映像を菊太郎に見せながら説明した。

菊太郎もヴィーナスの説明で、アヤメの事をそうじゃないかと薄々感じていましたが、実際に懐かしい玩具や立体映像等を見て、更に、絵本に菊太郎が書いた落書きを見付けると、その当時の記憶が鮮明に甦り、涙が溢れだして、アヤメと最初に会った時に、どこかで見覚えがありましたが、どこで会ったのかはっきりと思いだして、その玩具を握り締め、「お姉ちゃん!早く帰って来て!」と泣いていた。

アヤメの事を知った菊太郎の心も開き、この引越しからフジコとヴィーナスも同居する事になり、四人で暮らし始めた。

菊太郎は、アヤメの親友と母親だと知ったフジコとヴィーナスから、連日アヤメの事を色々と聞いたり、子供の頃にアヤメと遊んでいる様子を、立体映像で見せて貰ったり、眠る時には、アヤメが子守り歌を歌っていたり、童話の本などを読んでいる立体映像で眠っていた。

菊子が引っ越して転校すると佐々木は、「やった~、心理作戦大成功!」と皆を虐めながら、「お前らを虐めようとしても菊子が邪魔するから菊子を先にやっつけようとしたが敵わなかった。菊子の親は、やくざでもなんでもないよ。俺の親父が天下のやくざ、丸西組の組員だ。しかし、やくざも菊子の家族には敵わなかった。俺が案内して、二手に分かれて押しかけたが、母親と姉にやられて挙句の果てに親父は俺に、“菊子には闇討ちも通用しなかった。あいつらはただ者じゃない。あいつらに手出しするな!”と言ったので、直接虐めるのは辞めて、俺が菊子の親がやくざだとデマを流して孤立させただけだ。菊子さえいなければもうこっちのものだ。」と得意そうでした。

同級生達は毎日虐められて、金品を巻き上げられたり、怪我をさせられたりして散々でしたので、堪り兼ねた同級生の良子が先生に助けを求めた。

佐々木は良子に、「よくもチクッてくれたな、親父が挨拶に行くと言っていたから覚悟しとけ!」と良子のスカートを捲って、「良子のパンツは白だった!明日も捲ってやるから、捲りやすいスカートにして、違う色のパンツにしろよ。解っていると思うが、ズボンにしたら、パンツまで脱がして、ストリップショーをさせてやるからな!良子には、もう二度とチクらないように、たっぷりとお仕置きしてやるから覚悟しておけよ!お前らもチクったらどうなるか良子を良く見ておけよ。」と笑っていた。

次の日、良子は、「昨日、やくざと佐々木君が来て、落とし前が何とか言いながら、お父さんが袋叩きにされて入院しました。何を言っていたのか恐くて聞いてなかった。私も顔を殴られて、明日から毎日虐めてやると脅されたわ。猪熊さん、助けて~」と顔にアザを作って泣いていた。

菊子は既に転校した後で、同級生達は、佐々木の作戦とも知らずに菊子に冷たくした事を後悔していた。

菊子はそんな事になっているとも知らずに新しい学校に転校していた。


次回投稿予定日は8月26日です。

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