第三十四章 菊子、虐めっ子を撃退する
アヤメと菊太郎は、菊子が小学校に入学するまで、親子三人仲良く暮らしていた。
肉食のアヤメは、料理本などを買って研究し、たまに親子三人で外食して、味付けなども研究していた。
アヤメは菊太郎の為に、頑張って野菜や果物を使った料理なども作り、不良が現れても、モミジが対応して、何の問題もなく新婚生活を送っていた。
フジコは、“女神ちゃんもやればできるじゃないの。でも料理本は読めても何故教科書は読めなかったのかしら。二次呪縛?まさかね。”と思いながらも感心していた。
やがて菊子が小学校に入学すると、どこの小学校にもいる虐めっ子に遭遇した。
同級生の女の子が、虐めっ子の佐々木にスカートを捲られるなどして虐められていた。
見るに見かねた菊子が、「嫌がっているじゃないの。同じクラスになったのも何かの縁だから、虐めなんか辞めて皆で仲良くしましょうよ。」と仲裁に入った。
佐々木は、「お前、生意気だな!そうか、こいつが嫌がっているから辞めろというのなら辞めて、替わりにお前を虐めてやる。」と佐々木のターゲットが菊子に変わった。
佐々木が、「お前はスカートではないので捲られないとでも思っているのか?世間はそんなに甘くないぞ!今日からお前は俺のサンドバックになれ!」と菊子を殴ったり蹴ったりしようとした。
しかし簡単に片手で受け止められて、蹴っ飛ばそうとした時に、その足を掴まれて反対の足を引っ掛けられると佐々木は簡単に転倒した。
佐々木は、「くそっ!女だと思い油断した。今度は本気出すぞ!」と何度も菊子に殴りかかったが結果は同じでした。
頭に来た佐々木は椅子を持ち上げて、「わーっ」と叫びながら菊子に襲いかかったが、矢張り結果は同じでした。
佐々木は、「覚えていろよ!」と捨て台詞を残して、その日は逃げ帰った。
家に帰った佐々木は、どうしようかと色々考えて、“授業中に後の席から菊子の背中を針で刺してやる。“と考えて、家から針を持って来た。
菊子の後の席の同級生と席を替り、授業中に後から菊子の背中を、“思い知らせてやる。”と針で刺した。
菊子は、“席を替ったのは、矢張りそういう事か。”と全然反応しなかった。
針が折れたので、不信に思った佐々木は、休憩時間に後の席から菊子の肩を叩き、「授業中、背中を虫に刺されなかったか?」と笑っていた。
菊子は後もよく見える為に、佐々木が針で背中を刺していた事は知っていた。
菊子は佐々木の左横に行き、右手を佐々木の背中に回して、指を太い長めの針に変形させて、「そうね、こんな感じだったかしら?」と背中を深く突き刺した。
当然、透視力を使い、内臓や太い血管や神経等は傷付けないようにした。
佐々木は、「ギャー」と悲鳴を上げて飛びあがり、「お前、何をした!俺を殺す気か!」と菊子を怒鳴った。
菊子は両手を見せて、「何も持ってないわよ、虫にでも刺されたのではないの?」と笑った。
夏でしたので菊子は半袖で武器を隠す場所もなかった為に、佐々木は菊子のポケットや周囲を確認したが、それらしい物は発見できなかった。
佐々木は立ち上がり机を叩いて怒りながら、「この糞ガキ!」と菊子に体当たりした。
テレジア星人の血を引く菊子の体重相手ではビクともせずに、逆に佐々木は菊子に投げ飛ばされた。
それを見ていた同級生達に笑われて、頭にきた佐々木は起き上がりながら、「笑うな、黙れ!貴様ら、ぶっ殺すぞ!」と捨て台詞を残して逃げた。
何度虐めても、菊子には歯が立たなかった為に、下校時に不意打ちしようと隠れて待ち伏せしていた。
菊子は透視力で気付いて、その道を避けて、別の道を通った。
菊子が来ないので、佐々木がふと横を見ると、菊子が別の道を通っている事に気付いた。
“猪熊のやつ、いつもこの道を通っているのに、何故今日に限って別の道を通るのだ?隠れていた事がばれたかな?明日は必ず通る道で待ち伏せして、半殺しにしてやる。”と今日はリベンジを諦めた。
佐々木は帰宅後、シャツを脱いで確認すると血が付着していた為に、あの時菊子にやられたと確信した。
佐々木は翌日、一本道で避けて通れない場所で、登校時に隠れて、“先日はよくもやりやがったな。思い知らせてやる。”と菊子にリベンジしようとして待ち伏せしていた。
菊子は透視力で気付いたが、他の道がなく仕方なくその道を通った。
菊子は周りに誰もいない事を確認した上でランドセルを竹林に隠して大型犬に変身した。
竹林から出てきた菊子は鼻歌を歌いながら待ち伏せしている場所を通った。
佐々木が菊子の声を頼りに殴り掛かると目の前に大型犬がいた。
「えっ?」と予想外の大型犬に驚いて動きが止まった。
大型犬に変身していた菊子が吼えた為に、佐々木は慌てて逃げた。
菊子は吼えながら佐々木を追い駆けて、足に噛み付き、前向いて転倒した所を、佐々木のお尻に噛み付き、怪我をさせて逃げた。
足とお尻に噛み付いたのは、足は歩くと痛く、お尻は座ると痛いので、これで少しは反省するだろうと菊子は考えた。
学校で教室に来た先生は、佐々木が痛そうに椅子に座った為に目立ち、足から血が出ている事に気付いた。
先生が、「佐々木、その足はどうした?血が出ているぞ。また喧嘩でもしたのか?」と確認した。
佐々木は、「違うよ、先生。学校に来る途中、犬に襲われて噛まれました。」と俺が怪我したら喧嘩だと決めつけやがってと不愉快そうでした。
菊子は透かさず、「私見ていたけれども、佐々木君が壁に隠れて犬を待ち伏せして、犬に襲いかかったので、犬が反撃しただけです。犬は正当防衛で佐々木君を襲ったのよ。」と証言した。
それを聞いて皆は、「正当防衛では、相手に怪我をさせても良いのかな?」などと混乱していた。
先生は、「皆、混乱しているようですね。正当防衛について説明する良い機会なので説明します。相手の攻撃を躱す為に攻撃するのは正当防衛ですが、相手が攻撃を辞めたにも関わらず攻撃すると、それは過剰防衛といって正当防衛にはなりません。」と説明した。
佐々木は、「俺は逃げていたのに追い駆けて来て噛まれたのだから、犬は正当防衛じゃないぞ!誰だ!正当防衛って言った奴は!」と怒った。
先生は、「どちらにせよ、その法律は人間に適用されるのであって、犬には適用されません。」と説明した。
それを聞いた優しそうな女子児童が、「それは何故ですか?犬が可哀想です。」と質問した。
先生は、「悪い事をした人は、警察が捕まえて、もうこれ以上悪い事をしないように、法律に従い、刑務所で充分反省させます。犬に反省させるのは無理なので、法律は犬には適用されずに保険所で処分される事もあります。正当防衛で無罪になるのは、自分の身を守る為に、止むを得ず反撃したのであって、反省させる必要がないという事です。相手が攻撃を辞めた場合には、先程説明したように過剰防衛といって、自分の身を守る為だとは認められません。」と説明した。
佐々木は、「先生!そんな事はどうでも良いから、あの犬を保険所に連絡して処分して貰って下さい。俺は足などを噛まれたのだから。」と立ち上がって怒り出した。
先生は、「猪熊の説明では、お前が犬に、ちょっかいを出したから噛まれたのだろう?自業自得じゃないのか?しかし犬と喧嘩するとは思わなかったよ。兎に角校長先生に報告するので、足などという事は、足以外にどこを噛まれたのだ?そんな危険な犬が、この近くにいるとは聞いた事ないぞ。」と足以外の噛まれた場所を確認した。
佐々木は、「そんなのどこでも良いじゃない。」とお尻を噛まれた事が恥ずかしく隠そうとしていた。
お尻を噛まれた事を知っている菊子が大きな声で、「あっ!椅子に血が付いている。良く見るとズボンのお尻の部分が破れていて血が出ている!前は噛まれなかったの?後でオムツ買ってきてあげるから、それまでウンチやオシッコ漏らさないでね。でも心配しなくても、最近は人工肛門もあるし・・・」とばらしたので全員大笑いした。
先生が、「佐々木、ばい菌が入るから保健室で手当てして来なさい。」と指示すると佐々木は保健室に行った。
手当て後、佐々木は教室に戻りながら、“畜生!菊子の奴、余計な事を言いやがって、保健室の若い女の先生にパンツ脱がされて、恥ずかしい思いをしたではないか。覚えていろよ、思い知らせてやる!”とリベンジする事を決意した。
菊子には敵わないと思ったが、あれだけ皆の前で恥を掻かされたので腹の虫がどうにも収まらず、佐々木はお兄さんに言い付けて、小学校高学年の佐々木の兄が出て来た。
佐々木の兄は弟から説明を聞いていた為に、金属バットや刃物などの凶器を準備して菊子を呼び出した。
佐々木の兄は菊子に、「おい、お前!俺の可愛い弟に恥を掻かせやがって只で済むと思ってないだろうな!」と脅した。
菊子は、「あいつのどこが可愛いの?嫌われ者の虐めっ子じゃないの?ああ、そうか、あんたも嫌われ者だから同じ嫌われ者が可愛いのか。」と笑った。
佐々木の兄は、「何だと!もう一度言ってみろ!このガキ!」と切れた。
菊子は、「ええ、何度でも言ってやるわよ。この嫌われ者兄弟!」と笑った。
佐々木の兄は、「なめやがって、ぶっ殺してやる!」と怒った。
小学校低学年の女の子を相手に、小学校高学年の佐々木の兄が、力一杯殴ったり、蹴ったりしたが、簡単に片手で受け止められた。
佐々木の兄は金属バットを振り回して、力一杯菊子を殴ったが、矢張り片手で簡単に受け止められて、反対に腕を捩じ上げられて足を引っ掛けて突き飛ばすと、簡単に顔から転倒した。
頬に土が付いている状態の佐々木の兄は、頭にきて刃物を取り出し、「お前、弟にオムツして人工肛門しろと言ったそうだな!それだったら、お前のお尻をオムツと人工肛門が必要にしてやる!死にたくなかったら、ズボンとパンツを脱いでお尻をこちらに向けろ!お尻を刺してやる!」とどうにも原の虫が収まらなくなった。
菊子は、「怪我する前に辞めた方が良いと思うわよ。」とバカにして笑った。
佐々木の兄は菊子の態度に切れて、「どうやら、怪我しないと解らないようだな。」と脅しのつもりで持ってきた刃物で菊子を襲った。
菊子は簡単に刃物を受け止めて、腕を捩じ上げ刃物を取り上げて、佐々木の兄のズボンとパンツを,その刃物で切った。
菊子は、「あなた方兄弟は、余程オムツと人工肛門が好きみたいね。そんなに好きだったら、オムツと人工肛門が必要なお尻にしてあげましょうか?」と笑った。
佐々木の兄は、「や、や、辞めろ!そんな事をすれば、お前も只では済まないぞ!俺の親父はやくざだぞ!」と焦った。
菊子は笑いながら、「どうしたの?家に帰って、そのやくざの親父に、“女の子にやられてパンツまで脱がされた。”と泣いて縋るの?顔が真っ青だよ。あなたの弟は、人前で女の子のスカートを捲っていたのよ。女の子が人前でそんな事をされると、どんなに恥かしいかあなたに解るの?あなたも恥かしい思いをして、その女の子の気持ちを考えて反省しなさい!あなたのズボンとパンツは私が没収します。その姿でここから帰りなさい!」と菊子は佐々木の兄に反省させようとして、ズボンとパンツを持って帰った。
佐々木の兄はシャツで前を隠しながら、“覚えていろよ。今度は仲間を集めて半殺しにしてやるからな!”と半泣きで走って逃げ帰った。
次回投稿予定日は8月11日です。