第六十章 菊子、陽子の子供になる
アヤメは、菊子がこのまま地球に住めば寿命の関係上、親友との悲しい別れに何度も遭う事は間違いなく、可哀想だと考えて、「もう、こんな面倒な事は御免だ!菊子!お前テレジア星に帰って来い!」とテレジア星に連れて帰ろうとしていた。
モミジが、「女神ちゃん、お父様が亡くなっただけで、菊子ちゃんの親友はまだ地球にいるのよ。可哀想じゃないの。」と菊子を庇った。
アヤメは菊子の様子からして呪縛になっている可能性があると判断して、無理に引き離す事は諦めた。
帰ると言った手前、引込みが着かず、「そうか、それじゃ私はテレジア星に帰る。もうこんな事に巻込まれたくないからな。」とテレジア星に帰る事にしたが、菊子の事が心配で、今後の事を見極めてから帰る事にした。
テレジア星人の寿命は約五千年なので、菊子の寿命も二千から三千年ほどあると考えられます。子供の中には両親を亡くした子供などもいて、心には深い傷が残っていますが、大人は心の傷も乗り越えたので大丈夫だと判断し、その子供達の友達になり、微力ながら助けてあげようと考えていた。
同僚達と最後のお別れのつもりで、皆と約束していた宇宙旅行へヴィツール号で行った。
恐竜のような巨大生物が生息している星や原始人などが生息している星や壊滅した星など色々と案内した。
菊子は、「そろそろ地球へ帰りましょうか。」と目ぼしい星は案内したので、地球に帰ろうとしていた。
同僚の一人が、「先日、土星の環を見せてくれると約束したじゃないか。」と土星へ行く事を希望した。
菊子は、「そうだったわね。帰りに土星に寄りましょう。」と先日の約束を思い出した。
菊子は帰りに土星に着陸した。
同僚達は土星の環を見ながら、「土星から土星の環を見るのは初めてだな。先日は、衛星のタイタンに着陸したが、今回は何故土星に着陸したの?何か理由があるの?」と聞いた。
菊子は、「先日は戦闘艦だったからよ。戦闘艦は重力制御ができない為に、土星の重力で内臓疾患などを起こす可能性があったからよ。宇宙戦艦は重力制御が可能な為、直接土星に着陸しました。」と返答した。
菊子は、「小型UFOに乗り換えて、実際に土星の環の中に入りましょうか。」と提案した。
同僚達は、「土星から小型UFOで発進する時に、土星の重力は大丈夫なの?」と心配そうに確認した。
菊子は、「大丈夫よ。土星の環まで宇宙戦艦で移動するから。」と安心させた。
小型UFOに乗り換えて土星の環の中に入り、小型UFOの壁を透明にした。
同僚達は、「土星の環は遠くから見ると神秘的ですが、近くで見ると、ただの石に見えるわね。」と土星の環を観察していた。
その後地球へ戻り、同僚や上司に事情を説明して退職し、皆の前から姿を消して、菊子は再び小学生から生活する事にした。
同僚の一人が、「嘘でしょう?その年齢だと、私の娘の同級生じゃないの。娘の事を宜しく頼むわね。」と依頼した。
菊子は、「同じ学校に通う可能性は極めて低いと思うわよ。」と返答したものの、交流試合など、どこかで会う可能性もある思い、念の為に名前を聞いた。
その同僚は、「そうか。私は他府県から通勤しているから、それもそうね。どこかで会った時の為に、名前は菊池小百合よ。」と納得していた。
菊子は政府と交渉して、戸籍などを用意して頂きました。しかし親がいないというのは不自然なので、親友の陽子が不妊症を理由に離婚されていた為に、一人住まいで淋しい思いをしている陽子の娘として再出発する事になった。
親友の幸枝は、まだ心理的ショックから立ち直れない生徒のサポートで忙しそうでしたので、機会を見て話そうと思っていた。
アヤメはテレジア星に帰ればスケバングループの宇宙戦艦もある為に、宇宙戦艦ヴィツール号を菊子に貸して、フジコ達とテレジア星に帰った。
菊子は陽子に、「陽子の子供になるとは思いませんでしたが、これで一緒に住めますね。今後何かあったら私が助けてあげますからね。」と言ったので、陽子も凄く安心していた。
陽子が、「どこかのアニメに似たような話があるけれども、菊子の場合は、自分の意思で大人になったり子供になったりできるところはアニメと違うわね。」とその感想を菊子に伝えた。
菊子は、「大きさだけではなく、性別も変えられるよ。陽子は一度離婚しているので、遊び相手に丁度良いと思われて変な男に引っ掛からないでね。恋人が欲しければ、私が恋人役になれるかどうか解りませんが、相手はできるよ。」と陽子の事を心配していた。
陽子は驚いて、「えっ!?そうなの?でも今の話では、私の相手ができるかどうか解らないみたいだけれども、それは何故?」とその理由が解りませんでした。
菊子は、「確かにテレジア星人は、女にも男にもなれるし、相手の子供を産む事も可能で、相手に子供を産ませる事も可能です。好きという感情にも色々とあり、異性として好きな感情の他に、親友として好きだったり、自分の子供が好きだったり色々ですけれども、これは地球人も同じですよね?私は陽子を親友として好きですけれども、異性として意識した事はないので、陽子の恋人役ができるかどうか解らないと表現しました。決して陽子に不満がある訳ではないのよ。」と説明した。
陽子は、「解りました。菊子に恋人になって貰いたい気分になれば、その時は頼むかもしれません。」と納得した。
陽子は昔、父親がやくざ絡みの事故を起こし、お金に困っている時に嫌な思いをした事があった為に、金儲の話には興味があり、直ぐに連絡していた。
そのうちに詐欺に遭い、またそれがヤクザ絡みのたちの悪い詐欺でした。
陽子が泣いている所へ菊子の担任の先生が家庭訪問に来て、その様子を見ると男として黙っていられずに、「私がその詐欺師と話を着けます。」と相談にのった。
たちの悪いヤクザだと知ると先生も一歩引き、「警察に相談しましょう。私が一緒に行ってあげますから。」と心配していた。
先に帰っていて、外で友達と遊んでいた菊子がその相談内容を聞いた。
菊子は、“警察に通報すれば解決するまでに時間がかかりそうね。その間に、陽子がやくざに襲われる可能性があるわ。”と判断して家の中に入ってきて、「話は聞こえていたわよ。警察?あれ?先生が話をつけるのでしょう?場所は解っているので行きましょうよ。」と先生の手を引っ張った。
陽子の持っていたヤクザからの書類を確認すると、丸西組でしたので怖がっている先生の様子を考えて、「相手が丸西組なので先生も、怖いみたいね。いいわ、私が話を着けて来てあげる。」と書類を持って行こうとしていた。
先生がそれを止めて、「小学校二年生の菊子ちゃんに、何ができる!辞めとけ。」と殺されるのが関の山だと判断した。
菊子が、「あら?何もできないのは先生の方でしょう!」と指摘した瞬間に、菊子の体が大人に変身して出掛けた。
先生は驚いて、「陽子さん、菊子さんは一体何者なのですか?」と人間でないと直感した先生は菊子の正体をしりたそうでした。
陽子は、「数年前、地球がX星に襲われた時に、テレジア星人とのハーフの子が、戦闘艦で地球を助けてくれた事を覚えていますか?」と聞いた。
先生は、「そのニュースなら良く知っています。宇宙空間だけではなく、地球上でもUFO同士の激戦があり大騒ぎになりましたから。その戦闘艦の艦長は確か、猪熊菊子という名前だったと記憶しています。それまでは地球で暮らしていたらしいですが、その騒ぎで姿を消したらしいですね。あの子は、その関係者ですか?まさか娘とか。」と確認した。
陽子は、「今、見たでしょう?テレジア星人は体の形だけではなく、大きさも自由に変えられます。娘ではなく本人ですよ。私と養子縁組したので猪熊菊子から芹沢菊子に変わりました。菊子は私の同級生です。大丈夫ですよ、菊子は拳銃で撃たれても刃物で刺されても平気ですから。それに猛獣のライオンやトラも素手で倒してしまいますから、逆にヤクザのほうが、菊子を怖がりますよ。昔、私がやくざに絡まれた時に菊子に助けて貰ったのですが、その時のやくざは未だに私を見ると逃げて行きますよ。恐竜に変身した菊子が、余程怖かったようですね。」と返答した。
先生と陽子が色々と雑談していると、子供の姿に戻った菊子が帰って来て、「話は着いたわよ。」と陽子を安心させた。
陽子は、「またティラノサウルスが出たの?」と聞いた。
菊子は、「まあ、そんなところね。陽子が書いた契約書ってこれでしょう?取り返して来たわよ。陽子はいつまでも子供ね。」と小学校二年生の女の子が、大人の女性に言っている姿は何か異様なものを感じた。
先生には口止めして、菊子は、「家庭訪問の内容としてはもう良いかしら、陽子は今まで落ち込んでいたので、どこかに連れ出して気晴らしさせてあげたいので。」と先生に依頼したが、このセリフも先程と同様不自然でした。
先生が帰宅して、菊子が陽子を外に連れだそうとした時に、陽子はタレントの写真を持って来て、「菊子、今日は私の恋人になってくれない?こんな感じの恋人に。」とそのタレントの写真を菊子に渡した。
菊子は、「タレントそっくりに変身すると、マスコミやファンに見付かれば厄介な事になるので、少しだけ感じが似ているくらいに変身します。」と変身した。
菊子は、「映画なんか見るよりも、テーマパークなどでパーっと気晴らしするのが良いかもね。」と陽子を連れ出した。
陽子は菊子とテーマパークに向かいながら、「菊子、恋人役のあなたを“菊子“って呼ぶのは可笑しいわよね。”菊ちゃん“だったら、男性でも可笑しくないわよね。」等と話をしていた。
二人でゴーカートなどに乗り遊んでいると、不良少女らしき二人連れに声を掛けられた。
「良い男じゃん、そんなババアの相手なんかせずに、あたい達と遊ぼうよ。見て、このナイスバディを」とポーズをとり、菊子に迫って来た。
菊子は、「そうだな。良い体しているな。でも中身は空っぽみたいですね。」と馬鹿にした。
その不良少女は、「何だと!どこの中身が空っぽなのだ!」と怒った瞬間に菊子は、「sin六十度を分数にすれば?」と聞いた。
不良少女は、「えっ!?サイン?何それ、分数と何か関係があるのか?あたい達は女子高生だから、・・・・」と返答していると菊子は、「中学校の問題は簡単ですよね。三角関数です。平方根を使用すればできますよ。空っぽでなければね。」と笑った。
不良少女は、「手前!もう一度言ってみろ!」と怒り出した。
一緒にいた別の不良少女が笑いながら、「√3/2よ。空っぽと言われても仕方ないわね。」と教えた。
その不良少女は、「もう、あなたまで、私!帰る!」と怒って帰った。
その不良少女と一緒にいた不良少女が、「御免ね、菊子ちゃん。あの子、いつもああだから。でも悪い子じゃないのよ。許してあげてね。」と伝えて二人とも去った。
その時、菊子は何か違和感を感じたが、何故だか良く解りませんでした。
次回投稿予定日は11月18日です。




