表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/31

第五十六章 菊子、モミジの正体に驚く

アヤメもスケバングループの事にけりを着けて、テレジア星から菊太郎の元へと帰って来た。

菊太郎は、アヤメと菊子と親子三人で仲良く幸せに暮らしていた。

数年間平和が続き、陽子も菊子も大学を卒業して社会人になっていた。

陽子と菊子は別の会社に就職したが、教師になった幸枝共々、親友として付き合っていた。

そんなある日、陽子が中学校で陸上部でしたので、それ以来続けていた早朝ランニングをしていると轢き逃げに遭い、意識が遠のく中、辛うじて菊子に携帯で連絡した。

菊子が携帯に出た時には意識不明になっていた。

返答がないので不信に感じた菊子は嫌な予感がして心配になり、まだ通話中になっている携帯の発信源から陽子の現在位置を割り出して直ぐに駆け着けた。

菊子は、血だらけで倒れている陽子を発見し、驚いて直ぐにタイムマシンの一種で治療したが意識が戻りませんでした。

何故意識が戻らないのか不信に思った菊子は、意思波でアヤメに確認した。

アヤメは、「タイムマシンでは死人を生き返らせる事はできません。でも方法はあるのでそこで待っていてね。」と返答して、あるテレジア星人と連絡を取り、事情を説明して応援を依頼した。

菊子は泣きながら陽子を抱きかかえていると、菊子のUFOが何者かに攻撃された。

菊子はそれどころではなく、謎の敵を遠ざける為に、UFOのスクリーンを最大にして、無人状態で反撃した後に、大気圏を離脱させた。

案の定、謎のUFOも後を追い駆けて行った。

アヤメが駆け付けた後、天使が空から舞い降りて、陽子の胸と額に手を当てると、陽子の顔色が徐々に良くなって行くのを見て菊子は驚いた。

菊子は、「母ちゃん、この人は、まさか今行方不明になっている、死人を生き返らせる事ができるテレジア星人なの?」とテレジア星で捜している、行方不明の少女の行方を、何故アヤメが知っているのか不思議そうでした。

陽子が話声で気付いて、「あっ、天使だ。天使のお迎えという事は、私は死んだのね。えっ、菊子もいる。菊子、私は死んだの?死ななかったの?」と混乱していた。

菊子は、「私にも解らないわ。」と返答した。

菊子は、「あなたのような、優しく綺麗な心を持ったテレジア星人が、何故母ちゃんと知合いなの?」と不思議そうでした。

アヤメは、「菊子、それはどういう意味だ!私が知合いで、その居場所を知っていれば可笑しいのか?」と不機嫌そうでした。

菊子が、「母ちゃん、天使や幽霊の正体など、どこから情報を入手しているの?矢張り宇宙をフラフラしているモミジさんからの情報なの?あんな野蛮人と付き合わないで!」と怒っていた。

陽子の意識が戻った事を確認したアヤメは冷静に、「でも、そのお陰で陽子さんが助かったのでしょう?私は、お父さんの出勤準備があるので帰ります。」と菊太郎の元へと戻った。

菊子は否定できなかった為に、天使に、「あなたのような優しいテレジア星人に会えて、本当に感激しています。でも、テレジア星人でしたら、何故意思波を使わずに喋るのですか?それに、いつもどこに居られるのですか?」と何故テレジア星と連絡を取らないのか不思議そうでした。

その天使は、「私はいつも菊子ちゃんの傍にいますよ。残念ながら、あまりゆっくりと話をしている時間がなさそうですね。女神ちゃんも肝心な時にいないのだから。」と陽子が生き返った事に気を取られて、回りを見ていない菊子に現状を説明した。

菊子はその理由に気付いて、“やばい!”と思った瞬間、菊子達の体が宙に浮き、上空に透明シールドを張って待機させていたUFOに吸い込まれた。

その天使は意思波でUFOを操り、先程菊子のUFOを攻撃したUFOと、その仲間のUFOを撃墜した。

菊子は、その天使の意思波がモミジの意思波だった為に驚いて確認した。

モミジは天使の姿から、いつもの戦闘服のモミジに変身して、「私で悪かったわね。もう大丈夫よ。陽子さん、生き返ったわよ。あと少し遅かったら間に合わなかったかもしれないわね。」と陽子の事を説明した。

菊子が、「死人を生き返らせるのに、間に合うも間に合わないもないのではないですか?」と間に合わない理由が理解できませんでした。

モミジは、「菊子ちゃんに質問があります。私が恐竜の化石から、恐竜を生き返らせる事ができると思いますか?」と聞いた。

菊子は、「幾ら何でもそれは無理ではないの?」と返答した。

モミジは、「そうね。それが解っていれば、ある程度時間が経てば、生き返らせる事は不可能だと解るわよね?死後硬直が始まり、体が動かなくなれば無理です。陽子さんは死後硬直が始まったばかりで、体はまだ動く状態でしたので間に合いました。」と説明した。

陽子は驚いて、「えっ!?ひょっとして、私は一度死んで死後硬直も始まっていたの?」と自分の耳を疑った。

モミジは、「そうよ。陽子さんが電話したのが消防署や警察署ではなく菊子ちゃんだったから良かったのよ。菊子ちゃんもタイムマシンで生き返らなかった時に、諦めなかったので助かったのよ。あの時、陽子さんは死んだと諦めていれば、今頃は霊柩車の中にいたわよ。」と説明した。

菊子は、「別に諦めなかったとか諦めたとかそういう事じゃなくて、陽子が血だらけで倒れていたので、気が動転して陽子が呼吸しているのかなどを確認する事が頭に浮かばなくて母ちゃんに相談したのよ。」とその時の心境を伝えた。

モミジは菊子と陽子を地球に降ろし、ハリアット号で飛び去った。

菊子は家に帰り、家事をしているアヤメに、「母ちゃん!白旗を無視するようなあんな艦長が死人を生き返らせる事ができるのは何故?」とモミジの事が解らなくなった。

アヤメは、「お父さんは出勤したわよ。ほら、菊子も早く出勤しないと遅刻するわよ。」と菊子の疑問に答えようとしませんでした。

菊子は、「気になって仕事など手に付かないわよ。」とモミジの事が気になっていた。

アヤメは、「何?菊子、会社でそんな難しい仕事をしているの?お茶を入れたりコピー取ったり掃除をしたりで、頭を使わなくても良いような馬鹿でもできるお茶くみOLではないの?」と馬鹿にした。

菊子は、「何、その人を馬鹿にしたような言い方は。OLでも色々と頭を使うのよ。」と馬鹿にされたようで不機嫌そうでした。

アヤメは、「少しからかっただけなのに何でそんなにムキになるの?まさか仕事に誇りを持っているだなんて言うんじゃないでしょうね?」と聞いた。

菊子は、「自分の仕事に誇りを持つ事は大切よ。」と返答した。

アヤメは、「そんなに仕事に誇りを持っているのでしたら早く出勤したらどうなの?」と指摘した。

菊子は、「あれっ、何か誤魔化されたみたい。この話術で、いつも警察を誤魔化してきたのね。」と諦めて出勤した。

その夜、帰宅した菊子は食事しながらアヤメに、「今朝の私の質問に答えてよ。今日は一日中、気になって仕事にならなかったじゃないの。」とモミジの事が、まだ気になっていた。

時間を空けてもダメだったか。説明するしかないかと諦めて、「解ったわ、菊子。でも、そんなに気になるのだったら、何故タイムマシンで調べなかったのよ。」と不思議そうでした。

「何を調べれば良いのか解らなかったからよ。」とじらさないで早く教えてほしいようでした。

「モミジが野蛮だと決めつけるからでしょう。戦闘艦の艦長ライセンス取得テストの時、実戦経験が艦長ライセンスに必要なので、戦地に行って戦闘に参加した時の事でしょう?モミジが野蛮ではないと考えると解らない?」とヒントを与えた。

「そんな事は考えられないわ。」と拒否した。

「テレジア星の戦闘艦はコンピューター制御で、一部指示するだけで戦闘も可能で性能が良いから、他のテレジア星人は殆ど菊子の事を気にしていませんでしたが、モミジは優しいので気にかけていて、菊子が危険だと判断して攻撃したのよ。」とヒントを与えた。

「特に危険な事はなかったわよ。」と考えていた。

「敵が白旗を出して、菊子が油断している時に、敵がこっそりと主砲の発射準備をして照準を菊子の戦闘艦に合わせていた事に気付いていた?モミジが攻撃しなければ菊子は今頃死んでいたわよ。」と教えた。

「えっ?本当に?気付かなかったわ。」と驚いていた。

「菊子が敵の惑星に近付こうとした時も、モミジが話もせずに突然攻撃したと怒っていましたが、あれは惑星ではなく惑星に見せ掛けた要塞で、自爆装置を起動していた事にモミジが気付いたからよ。あのまま近付けば、菊子は一緒に木っ端微塵になるので、その前にモミジが破壊したのよ。」と実戦について、説明した。

「えっ?あれは要塞だったの?」と確認した。

「菊子は博士同様、まだ実戦は無理ね。それとテレジア星人は病気にはならないので、体調を崩して菊子にハリアット号の指揮を任せたのは、私がモミジにそうするように頼んだからよ。」と実戦以外でも教えた。

「そうか。後で考えると、何故モミジさんが病気になったのか不思議でしたが謎が解けたわ。でも一緒に乗っていた子が地球で、母ちゃんの幽霊になって犯罪を重ねていたわよ。」と指摘した。

「そのころのニュースで、丸西組に脅し取られた金品を現在版ねずみ小僧が取り戻してくれたって聞いた事ない?その子は金品を取り戻して持ち主に返していただけよ。」と説明した。

「えっ?そうなの。鼠小僧が幽霊の正体だったのか。」と鼠小僧がやくざに捕まらなかった事を納得していた。

「最後に戦闘艦の艦長ライセンスを取得する時に、モミジに助けられたので本当は不合格だったのよ。ほら、地球の自動車教習所でも教官がブレーキを踏むと不合格になるでしょう?」と教えた。

「えっ?不合格だったの?じゃ何故合格したの?」と不思議そうでした。

「モミジが、“菊子ちゃんは地球に一人で住んでいるから、何とかならないか頑張ってみます。”とモミジが合格できるように色々と動いてくれたのよ。だからモミジは菊子が一人前の戦闘艦の艦長になるまで銀河系や太陽系など近くにいて、いつでも来てくれるのよ。」と教えた。

菊子は驚いて、ハリアット号と連絡を取りモミジに、「今、行方不明になっている優しい少女というのはモミジさんの事なの?」と確認した。

モミジは、「私の両親は、正体不明の宇宙人に拉致されました。行方不明というより、両親を捜す旅に出ていると言ったほうが良いと思います。今はいつも菊子ちゃんの近くにいます。お母さんは菊太郎さんの世話で忙しいので、間に合わない時にはいつでも呼んでね。直ぐに助けに行きます。」と返答した。

菊子は偶然モミジの正体を知って驚いたが、実はモミジがアヤメに、「女神ちゃん、アネゴが呪縛で地球に滞在している時に、松田長官が女神ちゃんを見て、乱暴な言葉使いの端々に優しさを感じたそうです。菊子ちゃんも女神ちゃんと同居しているから気付くかも知れないわよ。菊子ちゃんは女神ちゃんの血を引いていても、地球人の血が混ざっている為に死人を生き返らせる能力はないと思います。この事は内緒にしておいた方が良いかも知れませんね。機会があれば、私が死人を生き返らせる能力を持った、行方不明の少女だという事にするわ。行方不明の理由については、両親が拉致されて捜しているとでも説明するわ。」と相談していた事を、菊子は知りませんでした。

モミジは、“死人を行き返らせる事ができる行方不明の少女は女神ちゃんで、死後硬直が始まってからでも死人を生き返らせる事ができるのよね。女神ちゃんを守る事が私の任務なので、菊子ちゃんでも、これだけは言えないわね。”と思っていた。


次回投稿予定日は11月3日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ