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夜叉

先日とある競技で全国二位になってきました、みなさんお久しぶりです。


加筆修正しました。

「なっ……!?」


 瞬きをした時にはそこは別世界だった。

 先程までは薄暗い森の中だったのだが、今は何もないただ広いだけの空間にレッドは転がっていた。


「くそ……油断はしてないつもりだったんだけどな。……確実に師匠に怒られそうだ」


 頭に強烈な一撃を二度も喰らって視界がグラつくが、動けない程では無い。油断をしたつもりは無かったが、魔法を出し惜しみしたのは事実だ。このことに関して後にアイギスから叱咤されるだろうと思うと自然とため息を吐いてしまった。


「まずはこれを何とかしないとな」


 自身を縛る鎖に目を向ける。

 感じる魔力的には無理やり物理的に切れないこともないような感じだ。そもそも解呪や魔法式の破壊は俺の専門ではない。


 ならば、力押しでいこう。


「『我を構成せし全ての力よ。今その力の真価を発揮せよ』【セカンド・フォース】」


 レッドは自身に掛かっていた身体強化の魔法である【フォース】の上位互換を発動させる。

 本来であれば詠唱等不要な魔法だが詠唱して発動させることで完璧に発動させ、より自信を強化する効果を強めたのだ。


「よっ……」


 全力で腕を広げようとすると鎖はミシミシと悲鳴を上げだす。だが、そのまま千切れてくれる程この【縛式】と呼ばれる拘束魔術は甘くない。

 鎖縛は綻び出した部分を高速で修復しながら更に縛る力を強めていく。


「くっ……そういや抵抗したら締まるんだったな。だったら……!!」


 レッドは全身から大量の魔力を放出すると、魔力の圧力によって鎖が内側から押されていく。


 それだけでは無く大量の魔力により鎖縛自体の術式が綻び始めていた。


「らぁあ!!」


 そうしてついに鎖は砕け散り辺りに四散した。


「――ふぅ」


 大きく息を吐く。

 疲れたと辺りを見渡すと、目の前にはいつの間にか一人の少年が立っていた。


 黒髪黒目で野球帽を被った切れ目で整った顔立ちのおしゃれ甚平を着た少年。ふむと顎に手を当てながらこちらを観察していた。


「誰だお前……ってか何時から居た」


 異様な雰囲気の少年にレッドは身構える。目の前に居てもまるで気配を感じない不気味な少年だ。


 だが少年は、ふむふむと一人頷くだけでレッドの事など意に介してはいなかった。


「おい聞いて――」

「お主、面白いな」


 レッドの言葉を遮るように少年が言う。


「この世界にありながらこの世界の加護を受け取らんな。まるで異物を避けているかのようにお主に沿って加護が弾かれておる」

「世界の……加護?」


 何を言ってるんだコイツは。

 レッドは警戒を強めながら訝し気な視線を向けた。


「世界に存在するだけでこの世の者は全て何かしらの影響を受ける。それは世界を運営する神でさえ、ここに降りてくればそうなるのだから面白いものだ。意思の無い力のみを持った空間風情が神に干渉するなど、おこがましいと思うがな」


「お前さっきから何を言って……」


「あぁ――すまんな、お主に解る話ではなかったか。……ところで、縛式を掛けられてここに送られたということはお主罪人か?」


 罪人という言葉にレッドは一気に警戒心を高める。


「らしいな。何の罪かはよく分からんが……しばらくすれば人が来るか。なら暇つぶしがてらに捕縛し直すのもまた一興」


 瞬間少年の魔力が大きく膨れ上がる。

 子供の物とは思えない質と量の魔力に思わず舌打ちする。



 少年が魔力を大量に込めた手をレッドに翳すと同時にレッドが後ろに跳んで距離を取った。


 瞬間、目の前には闇が現れる。


 深淵とも呼べる漆黒の闇を見て、咄嗟に背中に手をやるがそこにいつもの聖剣は無い。


「チッ! 『その障壁は堅牢にして頑強、我に干渉せし全ての外敵を遮断し我が身を護れ』【プロテクション】」


 腕を交差させて身を守りながら高速詠唱によって、今の魔力量でできる最大強度の上位魔法【プロテクション】を放つ。鎖縛を破るのに魔力を惜しまなかった以上、この後も戦闘を続けることを考えればこのレベルの障壁が限界だ。


 レッドの魔法が発動すると同時に闇から巨大な拳が飛んでくる。


 それはプロテクションと数秒拮抗したが、直ぐに障壁に亀裂が走り粉々に砕け散った。だが幾分威力が落ちていたのか、その急襲はレッドを数m後退させるだけで終わった。


 レッドが正面を見ると、そこには先ほどの闇から大きな人影のような物が出てきているところだった。


 体長は三メートル程度。筋肉隆々の身体は鎧のようなもので覆われており、その腰には大太刀が差さっていた。顔からは2本の角が伸びており、その顔は見る者全てに恐怖を与える顔だ。


「お前……召喚士か」


 何時の間にか宙に浮いてる少年にレッドは顔を向ける。元の世界にも召喚と呼ばれる魔法は存在した。使役した魔獣や高位の精霊などを召喚し、使役する魔法だ。それによって呼び出された通称使い魔の実力は、ピンキリではあるが精霊の中には七聖騎士と互角の者もいた。

 まぁ燃費が悪すぎて顕現させて居られる時間に制限があったり、召喚条件が厳しかったりで魔王相手には切れなかったカードだが。


「召喚……とは少し違うな。これは己の眷属だからの。名を夜叉、この鬼を相手取ってみよ」

「上からだなクソガキ……。ボロボロにされて泣くんじゃねぇぞ」


 夜叉が大太刀を抜くのを見届けながらレッドは魔法の詠唱を開始した――。

誤字脱字、感想等があればよろしくおねがいします。

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