――汝そのあり方を問う
カラオケオール明けからの二連続投稿
本日二話目ですので前話を読んでない人は読んでからお願いします
七星騎士。
元々は各国に所属していた騎士や冒険者だ。
国の名前は、まぁここでは省く事にする。分からない奴が聞いてもややこしくなるだけだし重要な事でもない。
七星騎士が結成されるに至った原因。それは魔王の存在だ。
俺たちの世界には魔族と呼ばれる種族が居て、その種族と俺たちは昔から敵対していた。
両種族の実力は数で勝り、更には個人で複数の魔族と渡り合える奴も居たために一時期は人類が大きく押していた。
それこそ近隣の国と戦争する余裕があるくらいに。
だが、ある時その関係が逆転した。
魔王が現れた。
魔王はその名を人類に宣言すると、魔王本人が単騎で大国に数えられる強国の一つをたった一日で陥落させた。生き残りは居らず、息絶える前に飛ばしたであろう伝令によってそれは世に知れ渡った。
その事に震撼した人類は、漸く一つになって各国から魔王討伐の為の精鋭を揃えた部隊を作ることにした。
それが七星騎士。
人類が誇る最高戦力であり切り札を携えた七人の騎士。
それぞれが七星武具と呼ばれる最高峰の魔法具を扱う。
全てを凍らせる剣、全てを穿つ槍、全てを防ぐ盾、一瞬で辺りを焦土に変える弓、あらゆる魔法を統べる杖――と言った具合にかなりの性能を持っている物揃いだ。
「それらを十全に使いこなすのも強さの所以だな」
ここで一度区切ると、時々質問したりしながら聞いていた奏が不思議そうな顔で首を傾げて言った。
「それ、槍で盾を突いたらどうなるの?」
「ああ、それは一度試したことがある。純粋な魔力勝負になったぞ。その時の考察によると、概念武装同士の衝突でお互いにその力が打ち消しあって成立しなかったから純粋な力勝負になったんじゃないかって話だ」
「へー、なるほどねー」
「ま、七星武具も基本は限定解放って状態で能力を一段階解放して使うらしいから常に概念武装として行使できる訳じゃないけどな」
「あぁ、それで魔力消費を抑えてるんだねー。納得」
うんうんと奏が頷く。
奏ももう満足しただろうと俺は話を切り出した。
「さて、キリも良いし固有魔術の続きだ」
「あー、そうだね。じゃあ話に戻ろうか。
今からやるのは固有魔術を生み出すための儀式だよ」
そう言って取り出したのは一本のナイフ。
表面にビッシリと何かの文字と刻印が掘られているが全く読むことが出来ない。
「これを心臓に刺すだけ」
「死ぬだろ」
何の迷いもなく突き立てようとしてきた手を掴む。
いやいや、流石にこれは無い。
「大丈夫大丈夫。これは肉は切れないから」
スカスカと自分の手を刺して見せる。
確かに通り抜けるようになっていて傷付いてる様子はない。
「詳しい仕組みは割愛するよー。ってことで」
「……」
いざ。っと言った様子で刃を押し込んでくるのを無言で抑える。暫しの拮抗の末、奏が口を開く。
「大丈夫大丈夫、ちょっとチクッとするだけだから」
「痛いんじゃねぇか! 正直抵抗しかないんだが」
「でも使わないわけにはいかないよー?」
「――分かった、来い」
腹はくくった。正直得たいの知れない刃で心臓を刺されることに抵抗と恐怖以外ないが奏を信じよう。
「じゃあ、一回死にかけるけど頑張ってね」
「は? ――っあ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁァァァぁ゛ぁ゛ぁ!!!」
刺す瞬間に奏が魔力を流し込む。
その直後に凄まじい激痛が全身を貫いた。
――ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。
全身から脂汗が止まらない。この状態が続けば発狂してしまう自信がある程の激痛と悪寒が走る。
目の焦点は合わず、全身から苦しい早く死ねと警報が鳴り響く。
「おっと、【縛式 鎖縛】」
舌を噛み切ろうとした瞬間、奏が放った魔術によって口を閉じれない様さながら猿轡を嵌められたように拘束される。
「ガぁ゛あ゛ァあ゛あ゛あぁあ!」
苦しみから全身から魔力が溢れ出る。過剰な魔力放出によって魔力を拘束しているペンダントに亀裂が走る。
「ちっ――魂魄解放、展開。性質解析――根源展開、転写。我が言霊に従い術を織れ、形を成せ。今――汝そのあり方を問う!」
少し早口で、だが淡々と奏は詠唱する。
朦朧とする意識と全身を貫く激痛。その最中で見た奏の瞳には普段では見られない集中の色が見えた。
「――ここに奇跡を用って、彼の者を再現せよ!」
詠唱と同時にナイフを引き抜く。
身体から刃が抜けるとそれに引きずられる様に術式が引きずり出された。
「――ぁあ゛……。げほっげほっ!」
それと同じくして全身から痛みが引いていく。猿轡が光となって霧散するように消滅すると、俺は地面によつんばえになるように倒れ込んだ。
俺は未だに焦点が合わない目で奏を睨み付けるが本人は涼しい顔だ。
「何がチクッとするだけだ……」
「あはは。魂に干渉する訳だからね、そりゃ並大抵の痛みじゃないよ」
でも、と奏は続ける。
「痛みに発狂して術式が崩れるかと思ったけど一発で成功してよかったよ」
「常人じゃ耐えられないだろこれ……」
「まぁね。でもちゃんと成果は出た。はい、君の固有魔術だよ」
ふよふよとナイフの刃先で滞空していた術式と思われるものが巻き付いた光を此方に向ける。
「私には理解できないけど君が触れたら分かるはずだよ。これはそういう物だからね」
そう言われて恐る恐る光に触れてみる。
すると、巻き付いていた術式と思われる物が身体に流れ込んできた。
「うおっ――」
使い方、魔力の練り方、術式の組み方が一気に流れ込んでくる。それと同時にそれがどんな魔術で自身の本質が何であるか一瞬で理解した。
「凄いなこれ……。解ったとしか表現のしようがないが、理解した」
「へぇ、どんなどんな?」
「そうだな……。魔力を集めて強化するって言うのか? 周りの力を利用した自己強化っぽい」
「曖昧だなぁ」
苦笑しながら奏が言うと、不意に会議室の扉が開いた。
開いた扉から此方を覗くのは緑色の短髪の少女。
「何をしてるのか知らないけど、こんな場所であんな量の魔力を放出したから皆ギョッとしてるよ。ってか僕が作ったペンダント早速壊してるし」
何してるのさ。っと顔を出したのは秋だ。
普段の白衣は着ておらず、黒のジャケット姿で普段よりもキリッとした印象を受ける。
「それの許容魔力量を超えるって中々だね。念のためにその辺りも改良しておいて良かった」
「もしかして、出来たのか」
「ああ。流石に苦労したけどこれくらいは出来ないとね、神位魔術師の名折れだよ」
そう言うと外にチラッと顔を出して問題ないと告げる。
その直後に幾つかの足音が聞こえた辺り、先程の魔力放出で何人か様子を見に来ていたようだ。
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