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魔術講義

 俺は今机とパイプ椅子、それにホワイトボードしかない簡素な部屋に居た。

 本来の使用目的は分からないが、部屋の中にある物から会議などの集団での話し合いを行う場ではないかと推測する。

 何故俺がそんなところに居るのか、それは数分前の事だ。


「よーし、今日は魔術の講義をしようか」


 そんな軽い調子で部屋にやってきた彼女は、そのまま嵐の様に俺を連れ去っていった。――言うまでもなく奏である。


 午後からは魔術の鍛錬をしようと思ってたんだが、それは叶いそうにない。

 まだ数日しか関わりのない俺にでも普段からマイペースで自由に生きているのだと言うのがよく伝わってくる。

 というか連日俺に構ってくる辺り暇なのだろうが、これを相手にしていてよく疲れない物だとここにはいない剣士に感心した。


「講義って、もう四日もすれば入学するんじゃないのか?」

「予習だよ、予習。いくらなんでも予備知識程度は入れとかないと授業にすらならないだろうって支部長がねー」


 なるほど。確かにそれならば知っていて損は無いだろう。

 【強化】も大分板について来たし、ここらで少し休むのも悪くないかもしれない。


「分かった。それならよろしく頼む」

「任されましたー。ってことで、固有魔術と汎用魔術について詳しく説明するね」


 そう言いながら奏はホワイトボードに大きく固有魔術、汎用魔術と書いていく。


「固有魔術ってのは確か各々が開発した固有の魔術の事でそれを極め、研究することが魔術師たちに課せられた義務……じゃなかったか?」


 秋の言葉を思い出しながら言う。

 確かそんなニュアンスだったはずだ。


「まぁ大体あってるけど、それは一部の高位の魔術師に限った話だねー。まず普通の魔術師は自分単独で魔術を構成する原理である術式を組めないから」

「――? それって変な話じゃないか。固有魔術を持たない魔術師は半人前以前の問題って前に言ったよな? なら今の話を踏まえると術式を組めるようになってからが一人前って意味になるんじゃないのか」

「そうだねー。でもそれだと数年は半人前以下になるし、それまで義務を全うできないからそもそも魔術師とすら呼べない。というか、その状態じゃそもそも魔術師としての活動が認められない。階級云々以前に無免許と一緒ってことだねー」


 つまり固有魔術を持たない魔術師はそもそもスタート地点にすら立っていないのにそこに立つためにはある程度の魔術師としての技量が必要ということになる。

 それでは目的と結果がちぐはぐではないか。

 結果を生み出すために結果を伴った過程が必要だと言う話になる。

 というか、そもそもそれでは魔術師に成れる奴など居はしない。


 そう思って俺が問うと、奏は満足そうに頷いた。


「うん。だから、普通の魔術師はまず自身の存在にその特性を問うんだ」

「それってどういう――」

「当たり前の事だけど、人はそれぞれ違う。というか、この世に全く同じものなんて特定の神秘でも使わない限り存在しえないんだよ。

 ――だから個人で違うであろう特性に性質をや色、形、根源、その者の原点、存在そのもの問い魔術として形にする。つまりはそれが――」

「――固有魔術か」


 なるほど。

 秋の言ったように魔術師の目的が魔術の発展だと言うのなら、これほど合理的な手段は無いだろう。

 それこそ魔術師の数だけ魔術が存在すると言う話になるのだから。


「そう。で、汎用魔術っていうのは本当に誰でも行使できるように簡素化された魔術の事で、定義的には『二節以内の詠唱で行使でき、現象が五大元素の範囲内であること。』ってだけ。

 まぁ正直あったら便利ってだけかなー。基本は皆固有魔術で戦うから」

「五大元素?」


 また聞き慣れない言葉。

 魔法にも世界に存在する四つの要素から魔法を組み立てられるって理論が存在するのは知っているが、それと似たような物だろうか。


「世界を構成する五つの要素って言えば分かりやすいかな。地、水、火、風、空の五つだね。この空は空間という解釈や空であるという解釈もあるから一概には言えないんだけどねー」

「此方ではそうなってるんだな。詳しくは知らないけど魔法にも似た解釈があったな。地、水、風、火によって構成された世界より魔力を用って力を引き出すとかなんとか」


 記憶の奥底に眠っている情報を何とか引き出しながら伝えるがイマイチ要領を得ない。まぁこの辺りはメアが専門だから俺がうろ覚えなのは仕方ない。


「随分曖昧だねー……。魔法も結構使えたんでしょ?」

「いや、必要そうなのを厳選して覚えたって感じだな。それぞれの七星騎士から得意分野を厳選して叩き込まれていたから魔法をそこまで覚える時間はなかった」


 メア曰く「強化魔法に関しては天性の才がある」らしい。師匠には技の吸収の早さをかなり買われていたが、魔法に関して別だ。

 ただ模倣すればいいって訳じゃないからな。


「その時々聞く七星騎士って何?」

「ああ、それは――って、かなり脱線してるけどいいのか?」

「まぁ時間はまだまだあるしねー。そんなことより、話の続き続きー」

「はぁ、まぁいいけど長くなるぞ?」

「どんとこーい」


 ほんと自由だコイツは。さて、どこから話したものか。


誤字脱字、感想等があればよろしくおねがいします。

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