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ペンダント

 空間が揺らめくと同時に感じる力強い魔力。支部長の魔力ほど禍々しく底が見えない物ではないが、それでもかなり洗練された魔力だ。七聖騎士と同列かそれ以上であることは間違いないだろう。


 秋の手の上で紅い光が煌めき始めると紅い粒子が周囲から集まるようにして固まっていく。そのまま段々と形を創っていくとやがて何が出来ていくのか見えてきた。


 やがて光が収束し魔力が収まると、掌には一本のナイフがあった。


「これが……創造」


「そ。無から有を生み出すのが僕の空間干渉魔術、【空間創造オーダーメイド】。その気になれば神器すらも創造することが出来る。まぁ制約が無い訳ではないんだけどね」


 そう言いながら秋がナイフを渡してくる。


 質感も重さも普通のナイフ。今目の前で魔術によって創られたとは思えない。


「すげぇな……。何でも創れるのか?」


 俺がナイフを秋に返すと、秋が握った瞬間に先から紅い光の粒子となって消えていった。もう必要なくなったから消したのだろう。


「創るだけなら……ね。制約は僕も明かしたくないから教えないけど」


「アッキー、創れそう?」


 奏が話を本題に戻して切り出した。


 秋は得意げに笑うと。


「全く問題ないね」


 清々しく言い切った。



 目の前に置かれた紅い宝石があしらわれたペンダントが置かれる。


 たった今目の前で創られた新しい魔力拘束具だ。


「前に着けてた拘束具は魔力を外に出さないように抑制するものだったけど、これの特徴は魔力を抑えながらも魔力を外に出せるようにしてる所だね」


 俺がそれを手に取ると、秋は嬉しそうに説明を続ける。


「いわば抵抗だね、これは。電気の回路で言えば分かりやすいんだけど……伝わるかな?」


「でんき?」


「……異世界には電気が無いみたいだね。まぁ君の服装的に文明は中世くらいかなと思ったけど……やっぱりか」


「ちゅうせい? 分かる言葉でお願いしたいんだが」


「まぁ簡単に言うと魔法にしろ魔術にしろ発動するには魔力を外に出す必要があるよね? これはつけてる対象が魔力を外に出そうとするときに自動的にこのペンダントが一定量魔力を吸収して発動できる魔法のレベルをかなり落すようになってる。吸収した魔力は魔具を動かす魔力に少し消費して残りは君の身体に戻る仕組みになってる。そして、これの凄いところは魔術以外にしか反応しないことだね。君が魔法を使ったりすれば発動するけどそれ以外の時はただのペンダントだよ」


 そんな凄い物を数分で創った辺りは流石の神位魔術師と言ったところか。 


 奏が俺の腕輪に触れて何かを呟くと、バキンっと音を立てて腕輪が外れた。


「早速使ってみるといい、その効力にきっと驚くよ」


 そう促されて、それに従うように首に掛けた


 少しして、石がほんのりと一瞬輝くと身体に異変が訪れた。


「うおっ……」


 ぐっと身体から僅かに漏れていた魔力が抑えこめられたのだ。


 人間は普通生きている限り魔力を放出している。意図して抑えていれば話は別だが何もしていなければいかに修練を積んだものでもほんの僅かには魔力を垂れ流している。


 普通はそれでも自然回復する魔力の方が出る方よりも多いため問題は無いのだが。


「どうやら、ちゃんと動作してるみたいだね。よかったよ」


「あぁ、こっちこそありがとう」


「いやいや、僕としても久しぶりに旧友と会えた上に新しい友人が出来たんだ。……神位魔術師なんて魔術に精通すればする程人外だと理解されるからね、殆ど友人と呼べる者なんて居ないんだよ。だから、さ」


 そこで一度言葉を切ると秋は大きく深呼吸を一つ。そして意を決したように。


「――これからもたまに遊びに来てくれないかな? 僕も暫くはこっちに居るから、奏が居ればここに来るのに苦労はしないだろう?」


「あぁ喜んで。これからよろしく、アキ」


 俺は秋が差しだしてきた手を強く握り返すと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。



「【同調】」


 ――バチッ


 奏が小さく呟くと何やら手に持っていたコーヒーカップにバチバチやっていた。


 そう言えばあれは何の魔術なのだろうか。


「さ、レッド君。戻ろうか。支部長にレッド君の私室として使っていい部屋のカギを借りてきたからちょっとの間はそこが仮住まいになるからね」


「またいつでも来てくれていいよ、お茶をする相手はいつも不足しているからね。――あぁ、そうだ。たまには顔を出せと優に言っておいてくれないかな。刀の調子も見たいしね」


「うん、分かった。またねアッキー」


 そう言って笑うと急に奏が俺の肩に手を置いてくる。


「よし、まだ切れてないね。ギリギリ一回はいけそうだ」


「何が?」


 ――――バチッ


 放電音と共に二人が部屋から姿を消す。


 また部屋に一人になった秋はコーヒーを一口啜ってほぅっと息を吐いた。


「僕としたことが、久しぶり過ぎてつい饒舌になっちゃったな。……さてさて、彼はこれからどうなるのかな? ……どうか潰さないでくれよ? 天草」

誤字脱字、感想等があればよろしくおねがいします。

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