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空間干渉

誤字脱字、感想等があればよろしくお願いします。

 秋はレッドの呟きにキョロキョロと辺りを見渡すと自身を指さして困惑したように言った。


「ここには僕と君達以外いないはずなんだけど……参ったな、もしかして僕のこと? ……悪いけど誰かと勘違いしているんじゃないかな?」


 困った様に首を傾げるその姿すらも瓜二つと言って良い。違うところがあるとしたら髪の長さ程度だろう。メアリーは髪を背中まで伸ばした長髪を好んでいてあまり括ったりはせず髪を自然に流していたが秋は反対に肩まで伸ばした程度の短髪で前髪をピンで横に止めているだけだ。


 僅かとはいえ決定的な違いがあったが故かレッドの思考は割と早く現実的な思考を取り戻していく。落ち着いて考えてみれば彼女には此方の世界へと渡る方法が無い。あの古い魔法書は師匠が個人で所有していたものだが陣を確認するついでに念のため破棄したのだ、仮に目にする機会があったとしてももう手元に無いのだからいくら【神域の魔女】と(うた)われるメアでも再現することは不可能だろう。


 レッドは大きく深呼吸を一つすると漸く落ち着いたのかゆっくりと口を開いた。


「はぁ……悪い、ちょっと知り合いに似すぎててビックリした。……えっと」


「……秋だよ、寺島秋。ちゃんと一度で覚えて欲しいなぁ、全く」


「……悪い、衝撃過ぎて話聞いてなかった」


「で、君の名前は? ここに来たってことは僕に何か用があったんだろう?」


「あぁ……俺は――」


「まぁその辺の椅子にでも掛けなよ、今コーヒーを淹れるから」



「――と言う感じなんだが……」


 とりあえずお互いの自己紹介を済ませた後これまでの経緯を説明した。秋は眉間に僅かに皺を寄せながら顎に手を当てて聞いていたがその表情からは何を考えているのか読み取ることはできない。恐らく真偽を疑っているのかもしれないが、どちらにせよその表情は重い。


「事情は分かった。……しかし異世界から来たとは中々に信じがたい事だね。少し見せてもらってもいいかな?」


「見る?」


 そう言いながら懐から取り出した眼鏡をかけると魔力が通ったのを感じた。魔法具の類だろうがあれは一体なんだ? 見ると言っていたし解析系の魔法具だろうが……。


「本物には遠く及ばないけどこれも結構な自信作でね? まぁ『擬似神眼(ぎじしんがん)』と言ったところかな」


「擬似……神眼?」


 聞きなれない言葉に俺が首を傾げていると奏が横から捕捉してくれる。


「神眼っていう魔術をアッキーが神器で再現した物だよ。……まぁ簡単に言えば見たものがどんなものか解析して理解する眼なんだけど、これはある程度までしか解析できない以外は殆ど本物だね」


「解析と言っても本物には遠く及ばないけどね。あと、あそこまで無茶苦茶な性能じゃないよ。……ん?」


 此方をジッと見ていた秋が僅かに目を細めた。


「言語理解の魔術がかかってる……? っぽいかな。多分言語が通じるけど読めないし書けないのはこれのせいだね。ちょっと術式が汎用向けじゃないけど……まぁキチンと動作はしてるみたいだ。あと……何かの魔具かな? 君の中に別の魔力が潜んでる、何か心当たりは?」


「いや……今は聖剣も持ってないし、何もないはずなんだが」


「まぁ弱すぎてコイツ(・・・)じゃ反応だけで解析までいけないから放っておいても良いとは思うけど……身体に何か違和感とかは?」


「全くない。言われなかったら気づかなかった位だ」


「なら放っておこう。……それにしても――」


 ――全く彼自身の情報が読めない。


 偽物とはいえ仮にも神眼だ。本来の神眼は視界内全ての物を解析し、空間に干渉して世界そのものから情報を引き出し理解するのを視界に“入った”瞬間で全て行う反則めいた空間干渉魔術。それと並ぶとは言わないがコレ(・・)でも自分が作った“神器”だ。完全に空間干渉することはできないがそれでも高い解析能力を持っている。


 ――異世界人だからこの世界に情報が存在していない?


 そうだと考えれば確かに辻褄は合う。無い情報を引き出そうとしたところで出てくるものなど何もないだろう。この世界と言えども無い袖は振れないのだから。


「アッキー?」


「――あぁ、すまない。ちょっと考え込んでしまった」


 そう言いながら秋が眼鏡をしまうとコーヒーを一口啜る。あれによく似たものなら向こうにもあったが此方の方が味は明らかに良い。……まぁ結局苦いからあまり俺は好きじゃないが。


「さて、何の話だったか……あぁ、そうそう。君の拘束具に代わる物が欲しいんだったね」


 すでに注文は奏から伝えられている。『一定量の魔力を制限しつつ魔術の行使を阻害しない腕輪のようなアクセサリーとして誤魔化せる物を作ってほしい』と言うのが注文だ。


 ……なんど聞いても無茶にしか聞こえないができるんだろうか。


「レッド……と言ったかな。君は僕のことをどこまで知ってる?」


「世界に四人しかいない神位ってことぐらいは道中で訊いた」


「うん、まぁその認識で構わないよ。魔術師には固有魔術を研究する義務があるのは知ってるかい?」


「いや、初耳だ」


「じゃあ順を追って説明しよう。神位を知ってるなら魔術階級については知ってるよね? よし、じゃあそれは掻い摘んで、魔術師の義務を説明しよう。この世界には『汎用魔術』と呼ばれる魔術師のほぼ全員が知っている常識とも言える一般的な魔術と『固有魔術』と呼ばれる魔術師の持つ切り札とも言える独自の魔術があるんだ。汎用は――まぁ、あそこに通う以上はそこで学ぶだろうから固有魔術だけ説明するとしようか」


 そこで一度言葉を切ると、内容を整理しているのか少しだけ間を開けて再び話し始めた。


「固有魔術っていうのは魔術の発展のために自分で開発した魔術の事だ。これを研究して独自の魔術を完成させる事こそが魔術師の存在意義だとも言えるね。

 よって魔術協会はそれを魔術師の義務として定めたんだ。正直魔術師が妖魔から世界を守っているのは半分は自身の技量を上げるためでもあるだろう。

 で、固有魔術と言うのは突き詰めていけば最終的に魔術の真理、空間干渉魔術と呼ばれるこの世界そのものに干渉する魔術になると呼ばれている。その域にたどり着いた者が神位魔術師という訳だ。――まぁ当の神位魔術師(ぼく)からすればその認識はちょっと語弊があるんだけど、それは自分で気づいてこそだ。

 ……ここまで着いて来れてる?」


「……なんとか」


 聞きなれない単語だらけで正直整理が大変だがまぁ何とか頭に叩き込んだ。


「じゃあ話を続けよう。

 今回のことで重要になってくるのは僕の固有魔術――つまりは空間干渉だけど、どんなものかは知ってる?」


「いや、全く。ここに行けとしか言われてないな」


「そうか。まぁ簡単に言うと……あぁ、そうそう。普通は他人に固有魔術は明かさないものだからね? 特級以上にもなれば少し調べればバレるから教えるけど君は固有魔術を決めても周りに教えちゃダメだよ」


「お、おう」


 ズイッと詰め寄ってきた秋に俺はたじろぎながら返事を返すと秋はニッコリと笑顔を見せる。


「うん。で、僕の魔術だけど簡単に言うと創造だね」

「そう……ぞう?」

「まぁ実際にやってみせよう」


 途端に秋の周りに強い魔力の渦を感じ始めた。それと同時に目の前の空間が僅かに揺らぎ始める。

 俺はその光景に息を飲む。


「今日は僕もちょっとテンションが上がってるみたいだ。よく見てるといい、これが魔術の神髄だよ」

誤字脱字、感想等があればよろしくお願いしまs((二回目

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