73話 GINJI
「俺、GINJIのものになりたい。」
頼介の告白に、俺は固まってしまった。
「お前、意味わかって言っているのか?」
震える声で問い返す。
「わかってる。」
頼介の声はしっかりしていた。
「俺はお前を恋愛対象として…性的対象として、見ているんだぞ?」
「わかってる。俺、GINJIに抱かれたい。」
もう俺は自分を止める事ができなかった。
頼介の部屋に上がるまで我慢しただけで、上出来だと思う。
玄関の扉を閉めた瞬間、俺は頼介を抱きすくめた。
緊張しているのか、頼介の身体は固かった。
その身体をそのまま抱き上げ、寝室に連れていく。
ベッドに押し倒し、上衣を剥ぎ取った。
痩せてしまった身体が痛ましい。
すっかり肉の落ちた身体を慈しむように撫で上げた。
緊張が解れないのか、頼介はベッドの上でずっと震えていた。
深く口唇を合わせる。
頼介は受け入れてくれたが、応えてはくれなかった。
きっと応え方がわからないんだろう。
俺は上半身への愛撫を続けた。
胸の飾りから、脇腹、そして手は少しずつ下半身に向かわせた。
ジーンズの前を寛げ、頼介の中心に触れる。
その時、頼介の身体が大きくビクンと跳ねた。
予想以上の反応に、俺は頼介の顔を覗き込んだ。
すると…。
「将太…。」
頼介はうわ言のように、その名を呼び、見開いた目から一筋、涙を零した。
俺は頼介の身体を離してやった。
頼介の気持ちがようやくわかったからだ。
頼介は、男だから俺を拒絶しようとしたわけじゃない。
頼介の心の中に、別の人物がいた。
ただそれだけの事だ。
なんで気付かなかったのだろう?
こんなに近くにいる相手だったのに。
俺には、本当にただ傍にいて欲しかっただけなんだ。
だけど、俺の気持ちを知ってしまって、俺の気持ちを受け入れなければならないと思ったのだろう。
そうしなければ、俺が離れていくと思ったのかもしれない。
「ごめん、GINJI…ごめん!」
急に身体を離した俺に、頼介が泣きながら謝ってくる。
俺はそんな頼介に、できるだけセクシャルな色合いを出さないように注意しながら、額に口づけた。
頼介の気持ちはわかった。
俺は頼介の求める俺でいてやろうと決めた。
俺は頼介をベッドに横にさせて、隣で自分も寝転がった。
「何もしない。何もしないから、安心しろ。」
頼介の涙を、親指でグイと拭ってやる。
腕の中に頼介を閉じ込める。
頼介の身体から力が抜けていき、俺の腕の中にすっぽりと納まった。
「GINJI…。」
「朝まで一緒に居てやるから。何処にも行かない。だから、安心して眠れ。お前、夜も眠れていなかったんじゃないのか?今晩はぐっすり眠って、明日になったら、何か少し食べてみよう。もしかしたら、少しは食べられるかもしれない。」
俺は頼介の髪を優しく梳きながら、語りかけた。
それで安心したかのように、頼介は目を閉じた。
しばらくすると、寝息が聞こえてきた。
顔を覗き込むと、安心しきった寝顔がそこにあった。




