59話 GINJI
『俺は、今夜は外で時間を潰して、そのまま仕事に行く。お前はここで、頼介の面倒をみてやれ。』
そう言って、蓮介は電話をガチャ切り。
しかも、電源を切ったようだ。
俺はすぐに蓮介の部屋に取って返した。
合鍵で部屋に入ると、俺の布団に頼介が寝かされていた。
顔を覗き込んだが、いつもの幸せそうな寝顔ではなく、どこか苦し気だった。
酒の飲み過ぎで、気持ち悪いんだろう。
俺はそのまま様子を見ていた。
「ん…。」
もう日が昇る頃、頼介がようやく目覚めた。
「あれ?GINJI?ここどこ?」
目覚めたら見知らぬ部屋…という状況では、確かに混乱するだろう。
だが、俺はやはり冷たい態度しかとる事が出来なかった。
「ここがどこでもいいだろう?それより、お前、社会人としての自覚はないのか?アイドル相手に鼻の下伸ばしていたのかもしれんが、酔い潰れる程、飲みやがって。」
「だって…。」
「言い訳は聞きたくない。目が覚めたなら、とっとと帰るぞ。」
そう言って、部屋を出て、裏のコインパーキングに停めてあった俺の車に頼介を乗せた。
車中でも、俺は無言を貫いた。
頼介が何度も話しかけようとしていたが、ことごとく無視をして。
何故、そんな態度をとってしまうのか、自分でもわからなかった。
頼介のマンションの前まで辿り着くと、俺は無言のまま車を停めた。
頼介はドアを開け、出て行った。
「ごめんね、GINJI。だけど、迎えに来てくれたんだよね。ありがとう。」
頼介はそれだけ言って、帰って行った。
頼介にこんな態度を取ってしまう自分に対して、自己嫌悪でいっぱいになりながら、俺は自分の家に向かって、車を走らせていた。
頼介を降して、大して時間も経たない頃、俺のスマホが鳴った。
発信者は、将太君だった。




