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51話 蓮介

不思議な現象が起きている。


俺の部屋に物が増えていく。

まず、酒しか入れてなかったはずの冷蔵庫に、野菜やら魚やら牛乳やらが投入されていた。

次に、どこからかちゃぶ台が搬入された。

別に、俺は床で食っても不便は感じていなかったのに。


そして、今、そのちゃぶ台の上には、昭和の匂い漂うオカズが並べられていた。


「で、なんでちゃぶ台なんだ?」


俺は、目の前で茶碗にメシを盛っている人物に疑問を投げかけた。


「この狭い6畳間にデカいテーブルセットが置けると思ったのか?」

銀司は当たり前のような顔でそう答えた。


それはそうだなと納得しかけて、頭を振る。


「そうじゃなくて、なんでお前が、俺の部屋にちゃぶ台と食材持参で、メシを作りに来るんだ?」

という俺の真っ当な疑問は

「お届け物でーす。」

という宅配業者の声にかき消された。


銀司が応対する。


そこでコイツが応対する時点で、何かが間違っているのだが、届いた物を見て、俺は冷や汗をかいた。


「送り付け商法か!?俺は頼んでないぞ!こんな高級そうな羽毛布団!」

「いや、いいんだ。これは俺用だ。流石に男2人でせんべい布団一枚じゃ、キツイぜ。」


確かにそうだ。

男2人で寝るには、狭すぎる。


と、納得しかけて、また俺は頭を振った。


この状況が良く飲み込めない。

銀司が何故か俺の部屋に通ってくるようになって、10日間。

というより、俺が銀司を無理やりヤッてしまって、10日間。


仕事で夜遅くに帰ると、何故か銀司が夕飯を作って待っている。


2人でちゃぶ台を囲って、食事をして、寝る。

朝起きると、奴はいなくなっている。


「お前、酒とコンビニ弁当くらいしか食べていなかったんだろう?生活の乱れは食生活の乱れからだ。生活習慣病になる前に、俺がお前の生活を叩き直してやる。」


そうこう言っているうちに食べ終わると、銀司はちゃぶ台を片付けて、布団を敷いて、さっさと寝てしまった。


「通い妻…イヤ、押しかけ女房?ヤッちまったから、責任とれって意味か???」


本当に何を考えているか、わからない。

イイ年したおっさん2人で、ボロアパートで共同生活。


実際、俺は律子が生きている頃から、銀司には気があった。

律子は愛していたが、それとは別の次元で、銀司の事も好きだったんだ。

それが、突然、再会して…。

目まぐるしい状況の変化についていけず、勢いで手を出してしまった。


当然、もう二度と顔は見せてくれないと思ったのだが、何故かその日から、奴の押しかけ女房が始まった。


意味がわからない。

本当にわからない。


俺は、羽毛布団に包まって、寝入ってしまった銀司の寝顔を見ながら、頭を抱えていた。


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