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47話 頼介

「あれ?」

人の気配がしたような気がして、目が覚めた。

パタパタと、その場を去る足音が聞こえたのだ。

俺は裸足のまま、急いでベッドを下りて、廊下に顔を出した。

すると、小走りに誰かを追いかける将太の後ろ姿が目に入った。

将太が追いかけているのは…。

「兄ちゃん?」

一瞬でよくわからなかったけれど、多分、そうだ。

2人の後を追って、俺は外に駆け出した。

すると、2人が言い争うように話す声が聞こえた。


「待ってください!なんで、会ってやってくれないんですか!?アイツ、絶対に会いたがっていますよ!」

将太の声。

やっぱり、将太と一緒にいるのは、兄ちゃんだ。

「俺がアイツの実のアニキだからか?」

「そうです!」

「じゃあ、君は自分の実の父親に会いたいと思っていたか?」

「あ…。」

将太は会いたいとは思っていなかったかも。

一緒に生活してきた俺ならわかる。

将太は意外とそういう点はドライで、ただ血が繋がっているというだけの理由で、実の父親に会いたいとは思わないと思う。

反対に恨んでいるとか憎んでいるとか、負の感情もないだろうけれど。


「特別会いたかったわけじゃないだろう?」

兄ちゃんが、確認するように、将太に訊く。

「正直に言えば、そうです。今回、たまたま会う事になりましたが、今だって、まるで実感はなくて。別に恨んでいるって、わけではないんです。ただ、なんか展開が早すぎて飲み込めないっていうか…。」

やっぱりね。

多分、それが本心だろう。

「だろう?アイツだって、それは同じだ。イヤ、アイツは多分、恨んでいると思う。無責任かもしれないが、アイツに会う資格は俺にはない。」

俺はそんな事ないんだけど。

兄ちゃん、将太の事はわかっても、俺の事はわからないんだな。

ちょっと悲しくなってきた。

俺は今すぐにでも、駆け出して、兄ちゃんにしがみつきたい気持ちなんだ。


兄ちゃんはそのまま去って行き、将太が取り残された。

俺は将太に声をかけようとした。


だけど、その途端、急に胸が苦しくなった。

そうだ!

俺、まだ歩いたり走ったりしちゃいけなかったんだ。


目の前が暗転する。

マズイ。

だけど、声すら出せない。

俺はそのまま意識をなくしてしまった。

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