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44話 GINJI

俺は頼介の入院している病院に向かって、車を走らせていた。


頼介が事故に遭って、今日で11日目。

順調に回復しているという連絡は受けていたが、それでも顔を見ない事には安心できなかった。

だが、R-GUNのリーダーとして、やるべき事が山積みされていて、なかなか頼介の所に行けずにいた。

その事に苛立ちを覚えていたが、アイツが元気になった時のための居場所を守るのが俺の役割だと、自分に言い聞かせた。

頼介の世話は、将太くんが焼いてくれるはずだ。


そうして、今日、ようやく面会時間内に仕事を終える事ができ、俺は頼介のもとへ向かっていた。


頼介はもう一般病棟に移っていて、普通に食事もしていると言う。

大食らいのアイツの事だ。

病院のメシだけでは、到底、足りはしないだろう。

将太くんがいるから、ひもじい思いはしていないだろうが、それでもアイツの好きな食べ物を大量に買い込んで、病院までやってきた。


病室の前までやって来ると、アイツの笑い声が聞こえた。

それにちょっと安心して、将太くんが来ているんだなと思い、扉をノックした。


「頼介、俺だ。入るぞ。」

そう言って、病室の中に入っていった。


だが、そこに居たのは、意外な人物だった。


「ハルカ…ちゃん!?」


俺は目を丸くして、まるで頼介か蓮介のような、間抜けな声をあげてしまった。


「あ、GINJIさん!お邪魔しています。」

ハルカちゃんも驚いたように、頭を下げた。


「GINJIも来てくれたんだ!」

頼介も嬉しそうに元気な声をあげたが、俺の頭の中はそれどころではなかった。


「なんで、ハルカちゃんがここに?」

「頼介さんが、食べ物を持ってきてほしいって、お電話くださったんです。頼介さんが元気になって、私に連絡してきてくれて、私、本当に嬉しくって!」

「将太が勉強で忙しくて、あんまり来れないって言うから、春香ちゃんに差し入れ頼んだんだ。そうしたら、お弁当作ってきてくれたんだよ!すっごく美味しいんだ♪」


元気そうな頼介の様子を見て、嬉しいはずなのだが、俺は混乱していた。

ハルカちゃんを頼介に近づけようとしたのは、そもそも俺だ。

それなのに、俺の中で、暗い感情が押し寄せてきた。


「そうか、俺も食べ物を持って来たんだが、余計なお世話だったかもな。」

つい棘のある言い方をしてしまう。

だが、頼介は気を悪くした様子もなく

「そうなんだ!じゃあ、皆で一緒に食べようよ。」

と俺を手招きした。


それでも俺は

「イヤ、2人の邪魔をするわけにはいかないから、やっぱり帰るよ。」

と素っ気ない言い方をして、そのまま病室を出てしまった。

ハルカちゃんの引き留めようとする声にも、聞こえないふりをして、俺はそのまま病院を後にした。

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