42話 頼介
「将太のバカ…。」
将太の帰った病室で、俺は1人呟いた。
事故に遭ってから10日目。
初めの方こそ、皆、心配して優しくしてくれたけれど、ここ何日かは冷たい気がする。
根が寂しがり屋な俺は、皆が構ってくれるのが嬉しくて、たまには入院も悪くないかな~なんて思っていたのに。
R-GUNや事務所関係の仲間は、忙しいと言って、ちっとも会いに来てくれないし、その上、将太まで…。
「でも兄ちゃんに、会えたしな。」
兄ちゃんと会ったのは、何年ぶりだろう。
ほんの一瞬だけで、ろくに話もできなかったけど、それでも俺は嬉しかった。
兄ちゃんの顔を見た時、一瞬、将太かと思った。
目が覚めたばかりで、ぼーっとしていたせいだと思うけど、やっぱり父子なんだな~って思った。
昔から、俺と兄ちゃんはよく似ていると言われていたけれど、何故か俺と将太は似ていない。
それは、ちょっと悲しい。
でも仕方ないよね。
そんな風に感傷に浸ってみたけれど、とりあえず、俺は当面の問題(メシの調達)を考えないといけない。
俺は、あの事故に遭っても無傷で帰還したスマホを取り出した。
本当は病室で使っちゃいけないんだけど、個室だから大目に見てもらうとして、電話帳を開いた。
俺って、実は友達少ないんだよね。
連絡先が登録されているのは、将太とR-GUNのメンバーと、事務所関係者だけ。
なんか、頼めそうなのいないなぁ。
そう思いながら、スマホを弄っていると、発信履歴に電話帳に登録していない番号がある事に気付いた。
「誰だったっけ?」
俺は記憶を掘り起こす。
この日時は、事故に遭う直前。
その時に電話した相手。
「あ!」
思い出した!
俺は一瞬、迷ったが、その番号に発信した。




