39話 GINJI
頼介との面会が許された。
俺は真っ先にアイツの顔を見たい気持ちだったが、ここは将太くんに遠慮しなければならない場面だ。
最初に将太くんが頼介と面会した。
その間、全員で将太くんが出てくるのを待っていたが、その時間がやたらと長く感じられた。
将太くんが出てきた時、泣くのを堪えている様子だったので、どれだけ痛々しい姿なのだろうと想像してしまった。
そして、次の面会の順番が回ってきた時、将太くんは俺を指名した。
「次はGINJIさん入ってください。」
「あ、でも…。」
一応、頼介の血縁で、頼介を助けた張本人もその場にいる。
俺で良いのかと思い、蓮介のほうを振り返ると、コイツは嫌がるかのように、俺の視線を外しやがった。
なんて奴だ!
お前の可愛い弟だろう!
お前がそう思うなら、俺は遠慮せん。
「次は俺が入るぞ。」
俺は、蓮介に向かってそう言ったが、奴は無言だった。
そうして、次の面会時間が近づいて来たが、俺は人知れず緊張していた。
事故直後の血みどろのアイツの姿が、頭の中に蘇る。
泣きそうになりながら出てきた将太くんの事もあって、必要以上に痛々しい姿を想像してしまった。
だが、実際に顔を見てみると、愛おしさがこみ上げた。
額に触れると、少し熱っぽく感じたが、それ以外はいつも通りだ。
コイツは、いつでもどこでも寝る奴なんだ。
俺は、頼介のアニキ代わりだと自負していた。
本当のアニキに見捨てられた分、俺が力になってやるのだと。
NAOTOやUSHIOや社長だって、そういう気持ちでいるのは知っていたが、一番にコイツの事を思っているのは俺だ。
だけど、その気持ちが最近、揺らぎかけていた。
別の気持ちが入り混じっている事に気付いたのだ。
だから、たまに寝ているコイツにイタズラしていた。
今もただ、寝ているだけ。
邪魔な酸素マスクがあてられていたが、一瞬なら、大丈夫だろう。
そう思い、一瞬だけ酸素マスクをずらし、素早く口唇に口唇を触れさせた。
柔らかな感触も、いつも通りだった。




