表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/90

38話 将太

ICUでの面会は、1時間に10分間、1人ずつと決められていた。

まずは家族である俺が入る事になった。

部屋に入る前に、給食当番のようなガウンと帽子、マスクを付けられ、中に入った。

何だか、昨日まで一緒に暮らしていたはずなのに、久々に見た気がした。


コイツの顔。

いろいろとチューブやら機械やら取り付けられていて、鬱陶しそうだけれど、顔だけ見れば、いつもの昼寝姿と変わりはしない。

特に苦しそうな様子もなく、良く寝ている。


「お前、人の気も知らないで、よくグゥスカ寝ていられるな…。」

思わず、そんな独り言が漏れていた。

「だいたい、お前のアニキで俺の本当のオヤジって、どういう事だよ?フツウに衝撃の事実、隠していやがって。全く、気まずいっつーの!」

俺は、頼介の前髪を弄びながら、1人でブツクサ呟いていた。


こうして、落ち着いて考えれば、確かに衝撃の事実だ。

でも、言っている俺自体、それほど実感を持っているわけではない。

「そもそもあの人の事、どー呼べばいいんだよ?お父さん?うわ、めっちゃ呼びずれぇ。」

弄んでいた前髪を軽く引っ張ってみたが、頼介が起きる気配はない。

ネボスケも大概にしてくれよ…。

「頼むから、起きてくれよ…。」

耳を引っ張ったり、頬を引っ張ったりしてみる。

それでも、起きようとはしない。

そのうち、何だか、子供がするような仕草に思えてきて、手を止めた。


何だか悲しくなってきてしまった。

こういう時は、いつもどうしていたっけ?

それすらもわからなくなって、泣きそうになるのを必死で我慢した。


そうこうしている間に、10分の面会時間はあっという間に終わり、俺は後ろ髪をひかれるような思いで、頼介のもとを後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ