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33話 将太

GINJIさんの口から出たトンデモ発言に、俺はしばし茫然としていた。

頼介のアニキで、俺の実の父親だって!?

ということは、俺と頼介も一応、血がつながっていたのかよ…。

だけど、今はそんな事、構っちゃいられない。


「ともかく、その人に連絡をつけてください。お願いします」

今は頼介のことが一番だ。

社長さんは、渋々といった様子だったが、電話してくると言って、電話が使えるエリアに移動していった。


「GINJIさん、詳しくお話してもらえますか?」


GINJIさんは語りだした。


「蓮介は、頼介の12歳違いの兄貴だ。アイツらはもともと親に恵まれなかった。かなり酷い虐待を受けていたらしい。だから、蓮介は高校を卒業すると同時に家を出た。高校の同級生で、当時付き合っていた律子さん…将太くんのママと同棲し始めたんだ。だけど、まだ6歳だった頼介を置いていくのは心配だったんだろう。頼介も連れて行った。蓮介も律子さんもアルバイト掛け持ちして働いて…生活はギリギリだったと思う。俺も同じ高校だったから、当時から蓮介も律子さんも、よく知っていた」


そこまで、GINJIさんは一気に語った。

俺が今まで全く知らなかった話だ。


「それでも、俺達には夢があった。音楽で成功するという夢が。潮や直人と一緒にバンドを組んで、音楽活動を始めたんだ。ボーカルは蓮介。R-GUNのRは、実は頼介のRじゃなく、蓮介のRだったんだ」


GINJIさんは息を一つ吐いた。


「実際、苦労したよ。だけど、バンドを組んで4年目でようやくデビューの話も頂戴した。ただ…その頃にとんでもない事がおこったんだ」


GINJIさんは辛そうに眉根を寄せた。


「蓮介がクスリをやっていることがわかったんだ。」

「クスリ…ですか!?」

「警察に摘発され、俺達も初めて気が付いた。生活の不安、将来の不安、もうアイツは押しつぶされる寸前だったんだろう。それに気付かなかった俺達の責任だ。それなのに、デビューの話がなくなったことで、俺達はアイツを責めあげた。アイツは姿を消したんだ。俺達も、律子さんも、頼介すら置いて」


GINJIさんはさらに続けた。


「アイツを買っていた社長だけにだけは、もしもの時のためにと連絡先を教えていたらしいけれど、俺達はあえてこちらから連絡をとろうとはしなかった。だけど、その頃には律子さんのお腹には、将太くんがいた。それを教えても、尚、戻ってこようとしないアイツを俺達は見限ったんだ」


「だけど、それから頼介が蓮介の代わりをやると言い出したんだ。ガキが何をバカなと思ったよ…だけど、アイツの歌声を聴いて、衝撃が走った。蓮介以上の才能だった。将太の父親役も自分がやると言い出した。初め律子さんも笑っていたけれど、頼介が15、6になる頃には、律子さんも頼介に本気で惹かれていた」


「そして、とうとうメジャーデビューが決まったんだ。だけど、それが決まった時に、律子さんは急逝してしまった。それ以降はキミの知っている通りだよ」


いっぺんに話されて、俺の頭の中はゴチャゴチャになっていた。

だけど、ひとつだけ確かなことがわかった。

その蓮介ってヤツを連れてくる事ができれば、頼介が助かるかもしれないという事。

それだけわかれば、俺としては充分だった。

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