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30話 GINJI
俺は何度もヤツの名前を呼んだ。
USHIOやNAOTOが何か言っていたが、耳に入らなかった。
警察が来て、事情を説明するように言われ、USHIOがその役を買って出た。
NAOTOは、この件にハルカが関わっている事は知られないほうが良いと言って、警察が来る前に、目立たぬようにハルカをタクシーに乗せた。
やがて救急車が到着すると、俺とNAOTOが付き添って、病院に向かった。
救急車の中でNAOTOは、聞こえているかどうかわからない頼介を、ずっと励まし続けていた。
俺は自分が何をしていたのか、よくわからない。
ぼんやりしていたようにも思う。
病院につくと、すぐに頼介は処置室に連れていかれ、俺達と引き離されてしまった。
「アイツは大丈夫だ」
NAOTOが根拠のない励ましを言って、俺の頭を自分の肩口に押し付けた。
それで俺は初めて、自分が泣いている事に気が付いた。




