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29話 GINJI
「RAISUKE!」
俺は無我夢中で、アイツのもとへ駆け寄った。
うつ伏せで倒れていた頼介の上半身を抱え起こして、仰向けにさせる。
瞼が僅かに震えていて、まだ息があることがわかった。
「すぐに病院に運んでやる!しっかりしろ!」
そう言って、後ろを振り返ると、既にUSHIOが救急車の手配をしており、NAOTOのほうは、茫然自失のハルカのほうへ向かっていた。
「RAISUKE、頼介!」
何度も呼びかけると、アイツが何か言おうとしている事に気が付いた。
必死で口元に耳を近づける。
「春香ちゃんは…大丈夫?」
なんでコイツは、今日初めて会った、大して興味を持っているわけでもない女の心配なんかするんだ。
そもそも、なんでそんな女のために、自分がこんな目に合わなければいけないんだ。
それでも俺は、安心させるために、無事である事を伝えた。
すると、ふっと頼介の身体から力が抜けた。
「頼介!」
完全に意識がなくなってしまったようだ。




