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15話 将太
「将太。おーい、将太!」
目が覚めると、オヤジが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
「なんだよ、オヤジ。飯か?」
「うん。腹減ったから、呼びにきた。でもお前、寝ながら泣いてたからさ」
「え?泣いてた?俺が?」
慌てて、自分の頬に手をやると、確かに涙の跡があった。
俺は恥ずかしさに赤くなって俯いた。
そんな俺の顔を覗き込んでいたオヤジは、ポンと俺の頭に手をやった。
「怖い夢でも見たんだろ?しょうがない。今日の晩飯は久々に俺が作ってやるよ」
そう言って俺のエプロンを着けた頼介は、台所に向かっていった。
オヤジの作った飯は美味かった。俺の作る飯は美味いと、いつも頼介は言っているが、本当はオヤジのほうが料理上手なんだ。俺も同じように作っているはずなのに、何故かコクの深さが全くちがう味噌汁をすすり、俺はまた意味もなく泣きたい気持ちになっていた。




