表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第3話 ママ

夕食は以外にも、和食だった。          しっかりゴハンと味噌汁がついていて、白い湯気をたてていた。       


「私、和食が一番うまくできるから」       


佐奈江さんはいった。  


−−かなり旨い。    


勇輝にとって、母を除く初めての女性の手作りの料理を口にしたからかもしれないが、何度でも食べたいくらい、勇輝は美味しさをかみしめていた。     


「めちゃめちゃ旨いです!」

勇輝が思わず笑顔で言うと、佐奈江は

「ありがとう」とほほえんだ。



勇輝は二人の間に流れる穏やかな空気を満喫しながら味噌汁を飲み込んでいると、その空気を引き裂くような音が鳴り響いた。



勇輝は慌ててポケットを探る。



音の元である携帯の画面を見ると、『自宅』の文字が浮かんでいた。



勇輝は嫌な予感がして、一息ついてから通話ボタンを押した。



「はい、もし−−」

「勇輝?勇輝なのね!?よかったーあんまり遅いから、ママ、警察呼ぶとこだったのよー?」

やっぱり呼ぶ気だったか……。

と思いつつ、母の言葉に疑問を浮かべる。



「でも、連絡いったんだろ?佐奈江さんがしてくれたって言ってたけど…」



「あら、あなた彼女さんのこと、さん付けで呼んでるの?」

「か…彼女!?違う!!」

勇輝はパッと佐奈江に振り向く。

佐奈江は突然目があって、きょとんとしている。

勇輝?と呼び掛けてくる母の声に問い掛ける。

「それ、彼女が言ったのかよ?」         「やっぱり彼女なのね!?よかったわ。あなたにも素敵な人が現れたのね?」 「だから違うっつーの!!代名詞の『彼女』だって…とにかく俺は無事だから心配すんなよ。すぐ帰るから警察だけは呼ばないでくれ…」          「代名詞…?」     「……じゃ」

勇輝は強制的に通話を終了させた。    

それから急いで夕飯を掻き込み、佐奈江さんに別れをつげて走って帰った。

訪ねた理由なんて、すっかり忘れていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ