なんと再び訪ずる朝廷の人、少女は期待に胸膨らませ、眠る。
あの衝撃の事実から二日後の夜の事である。
宮は専属侍女兼世話係の間々に就寝の準備をしてもらっていた。
「そういえば宮様、先日の朝廷の方がまたお見えになるようですよ」
間々は敷き布団を床に広げながら宮に言った。
「そうなんですのっ!?」
「ええ、朝廷の命を完遂して都に帰還する途中で旦那様が声をおかけになったようです」
「じゃ、じゃああの謀反人はもう?」
宮はほのかな不安を匂わせながら期待しながら質問を口にする。
「そうですね、もう捕らえられましたよ。今しがた聞いた話だともうとっくに都の牢に繋がれているようです」
宮はその言葉に胸を撫で下ろした。
間々は微妙に口角を上げながら、
「宮様ご安心なさいませ。これで夜も怯えずに寝ることができますよ」
そう言うと、宮は即座に反応した。条件反射さながらの反応の速さである。
「お、怯えたことなんてありませんのよ!?」
間々はふふっと少し微笑んだ。
「はい、わかりました。そういうことにしておきますね」
「だから、違うって言ってるじゃありませんのー!」
……というか、数日前にもこんなやり取りありましたわ!
宮は先程のやり取りで憔悴したのかその様な様子で間々に質問を投げかけた。
「と、ところで間々その朝廷の人から何かお話って聞けますの?」
宮は少なからず期待を目に乗せて言う。
それは無理だと思いますよと間々。
「それはどうしてですの?」
「ええとですね、やはり旦那様がお声をおかけになった時点で旦那様がその朝廷の方と何かしらのお話があるのだと思われます」
それに、
「やはり、朝廷の方は多忙と聞きます。もし、旦那様が幾日かここに泊まる様に言い、実際にそうなったとしても、お仕事や朝廷への報告書?などでしょうか、まあ、とにかくそういったものの処理もあるでしょうし。宮様のお話し相手になる余裕は無きにしも非ずと言ったところでしょう」
つまり、
「無理だと判断できます。お諦めください」
間々は宮の気持ちを汲んではいたが、ここで敢えての希望を持たせるのは逆に悪いと判断してきっぱりと言った。
「……そう、なら仕方がありませんわね」
宮はしょんぼりとして言ったが、間々はそこを見計らったように続けた。
「でも、補佐であったり護衛であったりといったような方達からは運が良ければ何か聴けるかもしれませんよ」
「……どういうこと、ですの?」
宮は顔を伏せたままの上目遣いで聞く。
「これも先程の事と一緒に聞いたのですが、大半の兵は補佐の方に命じて帰還させているようです。つまり、今回来るのは二十数人といったところでしょうか。ですからその中の幾人は答えてくれるのではないのでしょうか、護衛や補佐の方は何もなければ暇なようですし」
宮はそのことを聴くと、大層うれしがって、
「なら、それにかけてみますの!」
と言うと、早々に敷かれることを完了した布団に潜り込んだ。
「じゃあ、私は明日に備えてもう寝ますの」
「そうですね、ちゃんと聴けるといいですね。お休みなさいませ、宮様」
「ええ、おやすみなさいですの」
間々は返事を聞くとあたりを照らしていた燈台に近づきその灯を消した。
「では、私はこれにて失礼します」
間々は薄暗くなった部屋をかすかな月明かりを頼りに歩いて、入り口まで行くと、そのまま廊下に出て、宮の部屋を後にした。




