女性の神秘
女性の神秘(月経、生理)についての話です。
あまりに痛くて気を紛らわせるために書いていました。
男性は今すぐ回れ右してください。
読んでご不快になられても自己責任でお願いします。
「だめよ」
あなたは、いっそ傲然とした声音で言い切った。
「これは、私のものよ」
血の気の引いた、青白い顔。こうして柔らかなソファに座り、ひざ掛けをしていても目眩は襲っているだろうに、それでもその気高さは失われることは無いまま。
「これは、私が選んだ、望んだ、求めたこと。これがあるから私は私でいられる。これを否定すれば、私は私でいられない、絶対に必要なもの」
絶え間なく襲う鈍痛は脂汗を滲ませ、痛む箇所を押さえる手は震えを隠せないというのに、それでも、否、それだからこそ、彼女は笑う。
その笑みは痛みと苦しみに歪んでいるというのに、彼女の誇りとその身からあふれ出るカリスマに、その苦しみを知らない、知れない己が、どうして反せただろう。
「心配するな、とは言わないわ。私の身を案ずることも、この痛みを知ろうとすることも、とてもうれしい。けれど、だめよ」
己のことで手一杯だというのに、彼女はいっそ、残酷なまでに優しく、静かに囁くのだ。
「これは、私だけの痛みなのだから」
「でもそこの薬は取って頂戴……もう限界……」
「姫ぇぇえ!!」
ぱたん、と倒れた主に薬と水を載せた盆を持って駆け寄ったら、「おなかに響いていたいの!!いいから黙って!!」とクッションを投げつけられた。
痛くて不機嫌なのはわかりますが、だったら外に脱走した挙句、水遊びなんぞしないでください。
おとなしくおなかを暖めて安静にしていればよかったものを、初日だからと油断した所為ですよ。
ついたため息は、空を切るクッションの数が増えただけだった。
読んでいただいてありがとうございました。