prologue Ⅱ 現実問題と最初の夢
まだ書き溜めの範囲内です。意外に早く書き終わりました。
昨日。母はあたしのテスト結果を見て、溜息をついて話し出した。
「アンタ…そんなんで桐葉高に入れると思ってんの?」
桐葉というのは、件の名門校である。
「もう6月なんだから、本気でやんないと入れないわよ?」
「…やってるよ。ちゃんと」
「そうは見えないから言ってるの。どうしてこんな点数しか取れないの」
「お母さんが思うほど、あたしは頭良いわけじゃないって言ったじゃない」
「そんなわけ無いでしょう。そんな事言って、サボっていたいだけなんじゃないの?」
「違うよ」
「違うように見えないから言ってるのよ。桐葉に入るんだったら、もっと…」
「あたしは桐葉に入りたいなんて言ってないじゃない!」
思わず叫んでいた。爆発していた。日ごろのいろいろが一気に噴火した。
「お母さんが言ってるだけでしょ?
あたしは、入りたいなんて言ってないしむしろ入りたくない!」
「入ってくれなきゃ困るのよ!」
何度も繰り返されて来たやり取り。いつもと違うのは、今回はあたしの大声で始まったってことだけ。
「鈴香。何度も言ってるでしょう?高いレベルのところに入って損は無いって。
低いレベルのところに入ったら、鈴香も私も困るのよ」
「なんでお母さんが困るの?」
「馬鹿な子の親なんていうレッテルを貼られかねないからよ」
「…もういいよ。何でも。」
嫌になったあたしは背を向けて部屋を出る。これも、いつもとは違うこと。
お母さんが後ろで何か言っている。もう聞いてやるもんか。
自分の部屋に戻って、枕に顔からダイブする。涙があふれてきた。
そのままの勢いで泣いているうちに、気づけば眠ってしまっていた。
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夢を見た。
天を覆いつくしそうな程大きな樹を前に、自分が立っている。
その太い幹の向こうから、すらっとした綺麗な女性が顔を出した。
「あ、もう起きてたんですね」
そして女性が、優しく微笑む…
次の瞬間、視界が暗転し、夢は終わった。