捨てられ令嬢を拾ったら……
「まだ引っ越してきたばかりだから何も無いけど気にしないでね」
私はルミナを家に連れてきた。
このまま放って置くわけにはいかないし詳細な話を聞きたい。
「そもそもなんで妹が婚約者を取る様な行為をしたの? 貴族の結婚は家を継ぐ事が第一だから長女の結婚が最優先の筈なんだけど」
「両親が妹を甘やかしたせいだと思います……、妹は甘え上手なので」
あぁ~、一番質が悪いやつだわ。
「ルミナだって大事な娘な筈でしょ?」
「私は跡継ぎだったので厳しく育てられました。 家庭教師をつけられてマナーとか勉強を学びました。 でも妹は遊び放題で……、私以外で旅行に行った事もあります」
「それ、跡継ぎじゃなくて奴隷と同じじゃない? 貴族としてではなく人として貴女の両親はどうかしてると思うわ」
姉妹兄弟関係無く、子供は等しく育てる様にと法律で決まっている。
特に貴族の教育はそうで、子捨ては厳罰に処される。
「ルミナが国に訴えれば両親と妹は厳しい罰を受ける事になるけど……、あ、だから森に捨てていったのね」
「どういう事でしょうか?」
「つまり、ルミナがショックを受けて家出した事にして森で迷って野獣に襲われて死ぬ事を狙ったんじゃないかしら?」
「そ、そんな……」
「多分、裏で糸を引いてるのは妹じゃないかしら? ルミナのある事無い事を両親に吹き込んで悪者に仕立て上げたんじゃないかしら?」
「どうしてそんな事を……」
「両親の愛を独占したかったんじゃないかしら? 貴族令嬢の中にはそう言う『お姫様気質』なのも多いのよ」
まぁ私も実際に見た訳ではなく、両親や兄達の話を聞いただけなんだけど聞くだけで不快感が沸く。
「それに男爵家は大きな罪を犯しているわ。 我が公爵領に許可なく入り人を捨てた事、その時点で公爵家に喧嘩を売ってる様なものよ」
「あの、どうすれば……」
「私に任せて、そのかわりせっかくだから私の手伝いをしてほしいのよ」
こうして出会ったのも何かの縁だし。
「お願いします、行く所もないのでマリエラ様にお任せいたします」
任されたので、早速手紙を書いて両親の元に飛ばした。




