マリエラ・クリーターは面倒くさがり屋
「私って絶対に生まれた家を間違えたのよ」
私、マリエラ・クリーターは旅行カバンを持ちながらテクテクと田舎道を歩いていた。
「そもそも私が王太子妃になんてなれる訳が無いのよ、国を背負うなんて一番面倒臭い事じゃない。 そんなの私には無理なのよ」
つい一ヶ月前に私の元に城から手紙が来て『王太子の婚約者の候補に選ばれた』と書いてあって即効で破り捨てて見なかった事にしよう、としたらメイドに止められた。
両親からも『とりあえず顔を出しておいて後はお前の判断に任せる』と言われて仕方が無いので城に向かう事にした。
言ってみたらそこには私の他にも候補者がわんさかいて『これは遠慮なく辞退できるわ』と思った。
で、各自それぞれ王太子様と挨拶する事になり候補者達はアピールしていった。
で、私の番となった。
「はじめまして、クリーター公爵家長女のマリエラと申します。王太子様の婚約者候補に選ばれたのは嬉しいのですが私には荷が重いのでご辞退いたします」
そう言ってさっさと会場から出て行った。
周りの反応? 知らん。
で、自宅に戻り両親に報告、お父様は苦笑いしてたけど『まぁそうだよなぁ』と言ってました。
なんせ私の面倒くさがりな性格は生まれながらの物。
両親だって最初は私を立派な令嬢に!と家庭教師をつけてくれた。
でも、結局何にも身にはつけなかった、ていうか興味が無かった。
身についたのは魔法とかの知識だけ、貴族には必要の無いもの。
まぁ家には兄がいるので跡取りとかは問題無し。
ただ、そうなると私の将来が問題になっている。
公爵令嬢失格である私がどっかの家に嫁入り出来るかどうか、といえば答えはNOだ。
間違いなく嫁入りした家で向こうの家族と喧嘩になるのは目に見えている。
なので結婚の道は無い、となるとやっぱり独立するしかない。
しかし、私が社会でやっていけるか、と言えばこれもNOである。
集団行動が苦手な私が働きに出て人間関係が上手くいくかと言ったら自信を持って否定できる。
結局、私は貴族社会からは一線を引き領地の一部をいただき暮らす事にした。
両親も『他人に迷惑をかけなければ問題無い』と言ってくれ兄も『困った事があったらなんでも言ってくれ』と言っている。
問題児な私に優しくしてくれるなんて、持つべきものは家族だ。
まぁ両親も出世とか興味ないらしいので貴族として変わってはいるのだろう。
そんな訳で私は早々に貴族社会からリタイアして田舎暮らしをする事にした。